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評価制度ってなんのため?
私はこれまで20年ほど人事に携わっていますが、経営メンバーと一緒にいろんな制度を導入しては試行錯誤を繰り返してきました。現在は、評価制度の見直しをしています。今回は恥ずかしながらかつてのしくじりについてです。
360度評価
かつて、良いと思って導入したものに「360度評価」制度がありました。
一般的な評価制度と比べて、部下・同僚ほかなどから評価を受けるため偏ったフィードバックにならない、というメリットがあります。
導入まで
私の会社(Web制作)では、1人が複数のプロジェクトに参画し、さまざまなメンバーが入り乱れて仕事をしています。なので1人の上司ではなく、一緒に仕事をするメンバーそれぞれからフィードバックを受ければ偏りがないのではないか?そんな考えでした。
私も人事ぽい仕事を始めたばかりで、導入したらうまくいくだろうぐらいに楽観的でした。
見ようとして見ていない問題
実際に360度評価をやってみて難しさに直面します。
そもそもみんなフィードバックに長けていないのです(私も含め)。
なので、一緒に仕事をしているとはいえ、普段から評価対象をフィードバックしようという目で見ていないので、半年に一度「〇〇さんの評価をしてください」といきなり言われても、「頑張っていたと思います」(笑)というぐらいしか言えません。
一般的な上司と部下というのは、部下のことは上司が見る、という暗黙知があるので、半年後フィードバックをしてください、と言われても大丈夫です。
このときの失敗のひとつは、誰が誰を見るというのを後付けにしたことでした。
今思えば、先に〇〇さんを見て〇月になったらフィードバックをしてください、ということもできたでしょうし、プロジェクトが終わったときにフィードバックを残しておく、ということでクリアできたのではないでしょうか?
こうして、1年ほど運用した後、360度評価に意味を感じられなくなり、やめることにしました。
偏りがなければ良いのか?
360度評価は評価が公正になる、と思い導入に至ったわけでしたが、そもそも偏りがない状態を目指すべきなのでしょうか?
評価制度とはなんのためにあるべきなのでしょうか?
仮に心理的安全性が低い職場では、誰かが誰かを監視するさしずめ江戸時代の5人組の様相を呈してきます。恐ろしいですね。
評価制度は誰のため?
大きな会社では評価制度があるのが一般的なので、なぜ評価制度が必要なのか?ということを考えることもないかもしれません。
1人だったら評価制度はいらない?
1人で仕事をされている個人事業主さんや1人親方のような方に評価”制度”は必要ありません。しかし、取引先の方などから仕事のフィードバックは受けているのではないでしょうか?
自分の仕事っぷりが良ければ次の新たな仕事がいただけますし、良くなければ次の仕事がいただけなくなります。
自分を省みて成長を続けることが大切です。
評価制度は社員のため
結局のところ、私が会社にもたらしたかったものは何か?
いろいろ議論を続けたのちに出た結論は「持続可能な成長」でした。
いろいろな評価制度はありますが、今いる社員に目を向けて、制度が難しすぎればシンプルにし、身の丈に合ったことをするのを重要視しています。
もしかしたら、組織が成長をした先にまた360度評価を必要とするときが来るかもしれません。