村上大樹

人 作家 小さな出版社「チイサイカイシャプレス」https://chiisaikaish.thebase.in/ chiisaikaisha@gmail.com お問い合わせはこちらまで

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マガジン

  • 死ぬまでつくった人たち

    死ぬまでつくった人たちの人生から芸術、創作を論じます。アートだけではなく何かをずっと続けたいという切なる思いがある人に読んでほしい。

  • 家賃0円ハウス

  • 生きづらくない人 無料版

  • 生きづらくない人

    いまの窮屈な社会でも自由に生きている人がいる。ぼくはそんな「生きづらくない人」を想い出したりインタビューをして言葉にした。生きづらさに向き合うのに疲れた人たちに贈りたい。もしかすると生き延びるヒントが、この連載どこかにあるかもしれません。

  • 子どものような文の教室

    子どものように無邪気に、言葉を書くためのエッセイです。言葉で何かを説明するだけの人生に疲れた人は、気楽になれるかも知れないよ。全10回くらいの予定。

最近の記事

ある暇人(狂人)の日記 最終日

 ニ◯ニ四年五月七日。朝5時にiPhoneの目覚ましがなる。今日はすぐにベッドから起きあがる。カラダが軽い。昨日、スタジオに入って爆音でギターを鳴らし、ゴブさんの力強いドラムのリズムを吸収したから、カラダとアタマが自由だ。人間の肉体を超えていく表現は音楽だけだと誰かが言っていたが、身体という膜の外に何かを響かせることは幸せなことだ。杜仲茶ラテをいれてアトリエの書斎でそんなことを考えながら、鼻で空気を四秒吸って、口から八秒かけてゆっくり息を吐く。繰り返す。吸って吐く。口から吐い

    • ある暇人(狂人)の日記 4日目

       ニ◯ニ四年五月六日。朝5時にiPhoneの目覚ましがなる。疲れている。暇つぶしで日記を始めたが、推敲せずに草稿をそのままアップしてるとはいえ本気で原稿を一日十枚書いていた。以前は毎日それくらいかいていたが、いまは一日原稿三〜五枚くらいにそれくらいだと毎日続けられる。今日はまじ日記風に出来事だけを手短かに書いてみよう。続けるためには手抜きも必要だ。布団なかでそんなことを考えていた。雨がざあざあ降っているので、今日の鳥たちの鳴き声は小さい。アトリエの窓から畑の手前にある駐車場を

      • ある暇人(狂人)の日記 3日目

         ニ◯ニ四年五月五日。朝5時にiPhoneの目覚ましがなる。しばらく布団の中で山々で鳴いている鳥の声に耳をかたむける。ヒー、キキキ、ヒャユュ、フヒィヒョ。朝の鳥たちの鳴き声は深いリバーヴがかかっていて、ぼくのカラダに残響する。アトリエの布団から出て家にもどって、杜仲茶ラテを今日は冷たくして飲んでみる。ドーナツと一緒にこの毎日飲んでいる美味しい杜仲茶ラテも、マルシェで飲んでもらいたい。五月やから暖かい飲み物売れへんで、と弟のたかちゃんに言われたから、アイスを今日は作った。美味し

        • ある暇人(狂人)の日記 2日目

           ニ◯ニ四年五月四日。朝5時にiPhoneの目覚ましが起こしてくてる。アトリエのベッドから起きて、家に向かう。家のキッチンで杜仲茶を牛乳で割ってラテをつくる。ハチミツを入れた。暖かい味がする。家からアトリエまでは徒歩15秒。空はうすい水色だ。山々の緑もうすいグリーン。朝日が当たったところは燃えるような黄色で、影になったところはモノノケでもいそうな深い黒色をしている。空には細くて尖った三日月。野菜の苗は朝露と朝の光を浴びて生き生きとしている。  生まれてからいままで日記は書いた

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        • 死ぬまでつくった人たち
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          3本

        記事

          ある暇人(狂人)の日記 1日目

           ニ◯ニ四年五月三日。朝五時にスマホの目覚まし時計が鳴る。起きて島で手積みした杜仲茶の乾燥した葉っぱを煮出した。アトリエの書斎の長机にカフカの日記を置いてパラパラとめくる。  ぱら読みしながらざざっと書き写したので、漢字がひらがなになっていたりはするし、何度も読み直さないので、だいたいだがそう書かれていた。作る前に考えない。書き始めると事前に考えていたことと違うことが浮かんでくる。この現象とどう向き合うのか、というのが小説を書くことで必要な誰も教えてくれない真実です、みたい

          ある暇人(狂人)の日記 1日目

          仮住間(カリスマ)第ニ回|世界に風穴をあける

           こんにちは。作家の村上大樹です。わたしはこのプロジェクト『仮住間(カリスマ)』の単なる窓口なんですが「窓」とはどういう存在なのか考えています。  わたしは絵を描いていますが、額に入って壁に飾られた絵も「窓」だと感じています。絵という窓か描かれた風景をわたしたちは眺めています。壁に飾られた絵は外に風穴をあける「風の通り道」になります。そしてわたしたちを外側にある開かれた世界へ連れていってくれるのです。  仮住間(カリスマ)の活動は、あなたがいま抱えている寂しさに光を届ける窓

          仮住間(カリスマ)第ニ回|世界に風穴をあける

          仮住間(カリスマ)|いろんな場所に依存して楽しく生き延びる方法

          このプロジェクトの名は『仮住間(カリスマ)』といいます。東京、神戸、尾道、鳥取と4つの街の各シェアハウスの部屋をあなたは自由に行ったり来たりできます。一つの場所や家にとどまるという概念を消失させて、スナフキンやしゃぼん玉のように旅するように暮らす。アドレスのパクリぽい企画ですが、まったく異質なところがあます。それは無料でお金まったくかからなくてもできる方法があるからです。 このプロジェクトは真面目になりすぎてしまって窮屈な社会の幅をゆるゆるとひろげるという戦わない抵抗です。

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          仮想⇆現実の幸福論|第1話|家族を楽しい共同体(ファンタジー)にする

          こんにちは作家の村上大樹といいます。うちの家は、ぼくと、妻のミワコちゃん、娘のユモちゃん、ぼくの弟のタカちゃん、犬のエマ、ワタとの、合計6匹(人)で住んでいる。2年前までは法律上も家族でしたが離散した。 ミワコちゃんは本名のキスミワコという名前に愛着を感じていた。ぼくと法律上で結婚していたときは村上ミワコになってしまった。大変な違和感を感じていたそうなんです。 「村上キスミワコに変名するねん!」 と裁判所にいって名前変更の申し立てをしましたが、前例がないという理由で却下

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          死ぬまでつくった人たち|第1話|10ドルあれば映画は撮れる|ジャン=リュック・ゴダール

           去年、ゴダールは自ら命を絶って亡くなった。スイスの法律では利己的ではない理由の自殺は認められている。ゴダールは身体に複数の疾患を抱えていた。2、3年ほど前のインタビューで、2本の脚本を手がけていてその作品が完成したら、映画人生を終えてもいい、というニュアンスのことを語っていた。その脚本を書ききったときに 「さよなら映画」 と言える日が来ると。  ゴダールへの追悼の文が著名人たちから次々と寄稿された。蓮實重彦が書いていたことを要約すると、映画界に革命をもたらしたゴダール

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          死にたいときに読む本|第1話|白と黒の感情に苦しんでいるあなたへ

           友人Pが死んでからもうすぐ7年という時間が経過しようとしている。Pのカラダとココロは風が強い日に歌とともに大きな橋の上から河に向かって落っこちた。Pは自ら命をたったのか、事故だったのかいまだに死因はわからない。  ぼくはいまゴッホについて書かれた本や、ゴッホの弟テオや、ゴッホとゴーギャンの弟子であるベルナールに宛てた手紙を読み耽っている。ゴッホを生涯を残された言葉や少ない手がかりから推測すればするほど、Pはゴッホに似ている。Pはミュージシャンをしていて、いつも音楽に没頭で

          死にたいときに読む本|第1話|白と黒の感情に苦しんでいるあなたへ

          家賃0円ハウス|将来に悩む若者のために住まいを無料で届けたい

           こんにちは因島に住む作家の村上大樹です。おとなりの生口島・瀬戸田町で家賃0円ハウスというプロジェクトを開始します。9月29日から改装工事が始まります。  昨今の若者をふくめた日本国内の自殺の原因のほとんどは、鬱など精神的な健康の問題です。続いて経済や生活面のお金への不安を多いそうです。わたしはまず若い人たちのお金の不安を軽減して、土にふれたり、やりたいことや楽しいこと(鬱の軽減効果のあるもの、病理を超えた創造的なもの)に集中できる場所に0円ハウスをしたいと強く感じています

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          家賃0円ハウス|第4回|行動する or dieではありません

           いまジル・ドゥルーズの書いた『フーコー』という本を読んでいます。フランスの哲学者ミシェル・フーコーについてドゥルーズが独特の解釈で書いた本です。フーコーは「人間の死について何も悲しむことはない」と書いていたそうです。ドゥルーズはフーコーが何を書きたかったのだろう? とペンを走らせながら思索します。  とドゥルーズは問います。人間の力は外部からの攻撃(または攻撃されているという思い込み)とのネジれで群れの中に権力という輪郭を現します。その力を人間は神と呼んだり経済だと思い込

          家賃0円ハウス|第4回|行動する or dieではありません

          家賃0円ハウス|第3回|0円生活の楽しいお金儲けの話:初級編

           こんにちは。因島に住んでいる作家の村上大樹です。わたしは家賃0円の2つ借りています。アトリエの譲っていただいた家で0円でもらいました。  いまわたしは因島に家賃0円のシェアハウスをつくろうとしています。この場所の名前はそのまま「家賃0円ハウス」といいます。ソーラーパネルで発電して、ガスの変わりカマドをつくります。予定地の物件では井戸水が水道の蛇口からでます。まき風呂もついています。薪木は天使の大工さんC○さんが優しいので、現場からでた廃材をくれるはずです。土地は1000坪あ

          家賃0円ハウス|第3回|0円生活の楽しいお金儲けの話:初級編

          家賃0円ハウス|第2回|誰でも探せる0円空家の見つけ方

           キルケゴールの『死に至る病』でこんなことが書かれていました。  いまそのページを探そうと本をパラパラとめくっています。どこにもありません。隈なくさがても見つかりませんでした。もしかするとそんなこと書いていなかったのかもしれないです。わたしのつくり出したミュトス(創作物語)かもしれない。もしくは今、精神に浮かんだ神秘なのかもしれないです。    こんにちは。作家の村上大樹です。わたしはいま因島に家賃0円のシェアハウスをつくろと企画しています。光熱費もゼロです。まったくお金が

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          家賃0円ハウス |第1回|楽しくテキトーに生きるための設定

           これはプラトンが書いた『パイドン』のなかに登場するソクラテス先生の言葉です。詩人は不安や恐れに敏感ですが、恐怖で人々の意識を統治しようとはしません。詩人は森羅万象の神秘をミュトスによって言葉で表現します。  わたしは村上大樹という作家です。因島の家賃0円の家に住んでいます。もう一軒、家とは別にアトリエも持っています。アトリエも0円でもらった空家でした。さらにもう1軒、家を借りています。そこは広い庭と空き地つきの家です。空き地を畑にしています。この家も家賃0円です。ラッキー

          家賃0円ハウス |第1回|楽しくテキトーに生きるための設定

          散歩する幽霊たち

          1  ぼくは死んだ。実際のところは、何も憶えていないからわからない。  ロン婆さんが畑で種まきをしているとき、あぜ道を歩く何かを指差した。   「アウラは生きていたのか」  ロン婆さんはそう呟いた。  真夏の夜。夜は夏なのに真冬並みに寒い。満月は激しい黄を放っている。いままでに見たどの月よりも、大きな球を象っていた。ぼくに眼球はない。でもこれまでとは、どうやら違うカタチで世界を見ることができている。この感覚を説明する術をぼくは持っていない。  ニチは何故か、なかなか寝

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