人は思い込みに支配されている
4月〜7月生まれの高卒Jリーガーが多いことはよく知られていると思います。それはなぜかというと、早く生まれるということは、遅く生まれた子たちよりも身体的な成熟度が早いと考えられているためです。しかしデータを追いかけると、20歳頃にはその身体的な有意差はなくなっているといいます。
なぜJリーガーの生まれ月に影響が出るのか?心理学では、スポーツを始めた時期を問題提起しています。サッカーを始めた時に、4月生まれの子と3月生まれの子では11ヶ月も差があるので両者の間には身体的な差が出ます。そこでコーチや親は4月生まれの子に対してこう言うでしょう。
「君、サッカー上手いね!」
言わないにしても、本人の「僕はサッカーが上手いんだ」という”思い込み“によって高校を卒業する18歳までその差が出るというわけです。かく言う私も4月生まれ。周りから「サッカー上手いね!」と囃し立てられ育った人間ですので、サッカーが上手いと勘違いして人生を過ごしてきました。
人は何の根拠もないのに思い込むことで偉大なことを成し遂げる力を秘めているのかもしれません。逆に言うと、人をマネージメントする側の人間は、メンバーを思い込ませることで素晴らしい成果を出せる可能性があるのではないかと考えています。
監督としてデビューした昨年を振り返ると、この”思い込ませる“力が足りなかったと実感しています。他競技のある指導者の方からこんなアドバイスをいただきました。
「はったりでもいいから、”世界一の練習を毎日必死にやってるんやから絶対勝てるに決まってるやろ!”と背中を押してあげたらどうだ?」
この言葉には勝てる根拠は何もありませんし、世界一の保証は見当たりません。しかし、言われた本人は世界一の練習やってる気になって試合でいつも以上の力を出してくれるかもしれません。私がサッカーを始めた頃、サッカー上手いねと言われ勝手にサッカー上手いと思い込んだあの時のように、次は私が選手たちを”思い込ませる”番のようです。
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