白刃の女神(第三部 復縁) 前編
最寄りの駅から快速区間で5つ離れた先の場所に国立公
園があった。それは、駅からさらにバスで15分程かかる
のだが、僕はひとりでそこに向かっていた。
休日の晴れ渡る日曜日。僕はひとりだった。
爽香は車を使って友達とどこかに出かけていたし、柊た
ちとも遊ぶ気にはなれなかった。そんな気分じゃない、と
いうのもあるにはあるだろうが、恐らく、本当はいまの僕
は笑うことが許されないと、心のどこかで感じていたのか
もしれない。
それにしても、爽香の奴……、あんなマニュアルの車乗
り