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オリジナル小説『白刃の女神』

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オリジナル恋愛長編小説『白刃の女神』です。全編十三部構成で、第一部は試し読み程度の文字量に分けてあります。
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2018年8月の記事一覧

白刃の女神 (第六部 嫉妬) 前編

 日曜日の夕暮れ。僕はスーパーの袋を手に家路へと向かっ ていた。少し距離はあるが、僕は車…

大吉
6年前
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白刃の女神(第五部 決戦) 後編 第五部完

 なんとも気まずい雰囲気が漂い、それがさらに夫人の靴音 を際立たせた。  夫人は彩香に歩み…

大吉
6年前
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白刃の女神(第五部 決戦) 前編

 中庭の芝生に寝転がっていると、遠くの屋上から僕を見て いる子に気がついた。手の振り方か…

大吉
6年前
3

白刃の女神(第四部 決戦前夜) 後編 第四部完

 部屋にドレッサーを買った。爽香の言う綺麗めな服はまだ ない。ワンピースが一枚、かけてあ…

大吉
6年前
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白刃の女神(第四部 決戦前夜) 前編

 風に揺れる午後、彩香と僕は屋上にいた。ふたりして壁に もたれながら、何を話すでもなく、…

大吉
6年前
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白刃の女神(第三部 復縁) 後編 第三部完

 「なんや、まだ誰もおらへんのか」  静まり返った体育館に柊の声が響いた。  「いつものこ…

大吉
6年前
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白刃の女神(第三部 復縁) 前編

 最寄りの駅から快速区間で5つ離れた先の場所に国立公 園があった。それは、駅からさらにバスで15分程かかる のだが、僕はひとりでそこに向かっていた。  休日の晴れ渡る日曜日。僕はひとりだった。  爽香は車を使って友達とどこかに出かけていたし、柊た ちとも遊ぶ気にはなれなかった。そんな気分じゃない、と いうのもあるにはあるだろうが、恐らく、本当はいまの僕 は笑うことが許されないと、心のどこかで感じていたのか もしれない。  それにしても、爽香の奴……、あんなマニュアルの車乗 り

白刃の女神(第ニ部 破局)後編 第二部完

 爽香は意地悪だ。いつも私のことを目の敵にして、ことあ るごとに私をいじめようとする。理…

大吉
6年前
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白刃の女神(第ニ部 破局)前編

 僕には未だに付き合うという意味がわからなかった。ただ、 イメージというものは僕の中にも…

大吉
6年前
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白刃の女神(第一部 告白 ⑮)第一部完

 私は爽香の言葉をずっと考えていた。愁が私のことを……。 あれから何千と繰り返した言葉だ…

大吉
6年前
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白刃の女神(第一部 告白 ⑭)

 「ふざけないで!」  一瞬、足がすくんだ。いったいどこからこんな声が聞こえ てくるのかと…

大吉
6年前
2

白刃の女神(第一部 告白 ⑬)

 私はもう隠すのをやめた。いくらだって攻撃してこればい い、もういま以上に傷つくことなん…

大吉
6年前
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白刃の女神(第一部 告白 ⑫)

 私の友人たちは私が一人で体育館に行く本当の理由を知っ ている。だから、私がみんなとご飯…

大吉
6年前
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白刃の女神(第一部 告白 ⑪)

 「なに言ってんだよ、あいつとはずっと仲が良かっただけ だ」  僕の臆病は致命的だった。その声にすら、僕はそれがなん であるのかを認めようとはしなかった。それでも、恐らく、 爽香はこの答えにならない答えを聞いて、それが答えである ことを悟った。  爽香は勢いよく部屋を出ていった。  僕はステージでひとりになった。そこを狙ってなのか、あ のずっと頭をもたげていた疑問が僕を襲った。  ――どうして、告白を受けなかったのか。  だが、その答えがなんであるのかはしっかりと認識してい