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胃カメラを飲んだ話
先月末のことである。人間ドックに行ってきた。
先日43歳の誕生日を迎えたあたしだが、この歳になっても初体験はドキドキだ。
ましてやそれがあの胃カメラとの対戦だというのなら緊張感もひとしおである。40歳を過ぎたらカメラを飲めとは人生の先輩方から都度言われてきたことだが、先輩方からの助言より遅れること3年。齢43にして初めて胃カメラを飲み、これであたしも無事に後輩たちに胃カメラを飲めと言う側に回ることとなったのである(実際には鼻から突っ込まれたので、飲んだという感覚ではないのだが。)。
誰しも、程度の差はあれ鼻に何がしか異物を挿入したことはあるだろう。
しかし、だいたいの場合それは人差し指の第一関節くらいまでの長さのもので(そしてだいたいの場合それは人差し指の第一関節である)、それを超える長さの異物を鼻に挿入するのは何らかの事故か事件、あるいはプレイだろう。
それが全長1mはあろうかという物体を鼻に挿入するのである。これは前代未聞の身体侵襲だ。したがって万全の準備が求められる。というわけで、鼻からの胃カメラ挿入にはいくつかの準備作業がある(当然口からの挿入でもあるだろう)。
鼻の粘膜を保護する薬の塗布
鼻の奥と喉の上部への麻酔薬の塗布
喉への麻酔薬の噴霧
1と2については、なにやらジェル状のものが看護師さんによって鼻の前に差し出され、まな板の上の鯉状態のあたしはそれをズズッと吸い込む。
塩分濃度がきちんと調節されているので特に痛くはない。あとぶどうっぽい味がする。1の薬は保護剤なので特に感覚に変化はないが、2は麻酔薬である。したがって、だんだんと鼻の奥から喉の上部にかけての感覚が無くなってくる。これは、多分人によってはちょっと恐怖を伴う。
歯医者で麻酔をかけられる時の感じなのだが、なんせ鼻の中の感覚が失われるので、呼吸がちゃんとできないのではないかと不安が一瞬よぎる。
もちろんそんなことはなくきちんと呼吸できるのだが、看護師さん曰く、いつもと感覚が違うのでパニックを起こしてしまい、呼吸がうまくできなくなってしまう人がいるらしい。
そして、この時点で鼻の中全体の感覚は麻痺しているので、何をされても痛くない。というわけで、ここで謎の棒をぶち込まれる。カメラと同じくらいの太さの棒とのことで、鼻の穴を拡張しカメラを通りやすくするためのものである。調べたわけではないが、この棒を約10〜15センチは差し込む。
自分の鼻の中にそんなスペースあったんかい!とツッコミを入れたくなるほど棒を奥へ奥へと差し込んで、その状態で5分〜7分くらい放置される。その間にも先に吸い込んだジェルが鼻からつるつると出てきたりするし、「なるべく唾液は飲み込まないでください」と言われるので(むせるから)、口からも唾液がだらだらだ。だいぶ面白い状態で放置された後、喉に麻酔を噴霧する。
これは口から入れる。カメラを鼻から通して喉のごっくんとするときに動く部分をスムーズに通すためにそこの動きを麻痺させるのだ。
こうなると、より呼吸に疑問が出てくる。鼻も喉も感覚がないので、空気が通っているのかどうかもよくわからないし、何かを飲み込んだらちゃんと食道へ誘導されるのかもかなり怪しい。故に、唾は飲み込むなと改めて注意がされる。感覚の有無に関わらず、唾液は相変わらず分泌されつづけ、あたしはそれを分泌されるがままに口外へと垂れ流し続ける。
そうやって約25分間ほどの準備を経てようやくカメラ挿入の運びとなる。
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