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男子更衣室で5歳の娘を着替えさせるというシチュエーションで初めて体験する類の恐怖というものがある
娘が最近言い出した。「バレエをやりたい」
何がそうさせたのか全く心当たりがないのだが、突如そんなことを言い出して、本人結構やる気になっているし、なんか体に良さそうだし、ちょっとやらせてみようかってことでとりあえず近所のスポーツジムでやっているキッズバレエに入会してみた。
まさか自分がバレエに関わる人生を送ることになるとは。全くもって何が起こるかわからんものである。
まぁそれはともかく、とりあえず入会したが、仕事のタイミングとバレエ教室の実施曜日との兼ね合いであたしが毎度送り迎えしている。
さて、この記事はそういうバレエの送迎が毎週のタスクとなったことで実感したある種の恐怖について書こうとおもう。もちろん言いたいことはタイトルでほぼ尽きている。バレエをするのに必然的に伴ってくるお着替えに関する問題だ。
この記事の読者がいたとして、読者の方々がバレエと聞いてどれくらいの想像力が働くかよくわからないが、とりあえず普段着のままではやらないということはご理解いただけるだろう。
そう、バレエはタイツを履いて、レオタードを着た状態で行うスポーツだ。そして、Tシャツや短パンなどと異なり、5歳児が1人でタイツを履いてレオタードを着るのはとても難しい。もう少し大きくなればきっとできるようにもなるのだろうが、入会したての5歳児ではほとんどまともに着られない。
付き添いはあたしがするので、着替えも当然あたしが手伝うことになる。となると、必然的に男子更衣室に娘を連れて入ることになるのだが、これがなかなか恐怖なのである。これはあたしの人生でこれまで体験したこのない類の恐怖であり、おそらく世の女性たちが日々感じている恐怖に通底するものなのだろうと思った。
残念ながら、世の中には頭のおかしい男性というのが実在している。ただ、当方成人男性なので、よほど攻撃的で実害を与えてくるような奴でない限り、そういう頭のおかしい男性の存在によって発生する恐怖というのはこれまで感じたことはないし、今後も感じることはないと思う。
しかし、女性はそうはいかない。
いや、この表現は正確ではない。このようなフィルターの無い断言は男性のあたしにはできず、あくまでも「女性はそうないかないのだろうな」という想像力による補完が必要だ。
ところが、娘を男子更衣室に連れて行ったことで、そのフィルターが極限まで薄くなったのを感じた。伝聞として、想像として知っていた恐怖が、具体的な実感を伴うものとして急に感得せられたのである。
5歳の娘を男子更衣室に連れて行き、パンツ以外の全ての衣類を一度脱がせてから、タイツとレオタードを着せて更衣室内を歩かせる(もちろん、プールで使うような全身に巻くタイプのタオルは使っている)。おそらく、実際にやってみない限り、これがいかにある種の恐怖を伴うものであるかはわからないだろう。
それは、直接的な暴力といったことを原因とする恐怖ではなくて、例えば視線とか、例えば撮影とか、例えば撮影したものを使った妄想とか、そういう種類のものである。断言していいかどうかはわからないが、少なくともそういう類の恐怖をあたし自身は感じたことはない。しかし、娘を連れて更衣室に入った瞬間に、これがあの「女性はそうはいかない」ということの一端なのだと悟った。
あらかじめ断っておくが、あたしは何もその更衣室にいる男性がそうしたペドフィリア的な性癖を持つ人たちであると言いたいわけではない。おそらく全員そうではないだろう。むしろ、娘を連れて男性用更衣室なんかに来てしまって、迷惑かけて申し訳ないとすら思っている。
しかし、そういうことが問題なのではない。実際問題として幼児を狙った性犯罪が日常的に報じられる世の中にあって、誰がそういう人なのかが分からない中で生活することの恐怖がある。そしてそれは世のほとんどの男性には、こういう状況でなければ実感として理解できないということが言いたいのだ。
もちろん想像はできる。状況としてそういうことがあるだろうな、と一応の納得をすることはできるだろう。しかし、おそらくそれは女性が言う「そうはいかない」という想定に対して全く芯を食っていない反応だ。これはその立場になって初めて意味がわかり、実感が伴って初めて寄り添うことができる類の問題なのだと思う。
だからどうだということも言えない。あたしがそれを実感したからとて、その恐怖の根源を社会から消し去ることなどできない。また、知ってほしいと訴えたいわけでもない。知るのは不可能だからだ。あたしも娘ができる前、いや、5歳という年齢になった娘を男子更衣室で裸にするまで知らなかったのだ。
しかし、そういう恐怖が実在することをこういう形で実感し、なんというか、妻をはじめとする自分の周りにいる女性に対する距離感というか、日常の中に自分がまったく対応する必要を感じなかった種類のリスクや恐怖があるということを知った。言い方が適切ではないだろうが、世界がある意味で広がった。曲がりなりにも人付き合いが重要な職業でもあるので、こうした知見を今後も生かして行きたいと思うし、娘と妻を適切に守っていきたいと思う。
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僕が大学教員として、また家庭の主夫として日々考えていることのまとめです。内容は育児とダイエットと読書感想文が多めで、分野はあまり統一されて…
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