旭山動物園ってやっぱり凄いところだと改めて思った話。
仙台市には八木山動物公園という動物園がある。
八木山という名の通り、山の上にある動物園だ。仙台市は結構複雑な地形をしていて、平地よりも傾斜地や山がちな土地が多く、八木山もいわゆる山!という山ではなく、小高い丘より高いがスキー場になるほどではない感じの微妙なラインである。札幌だと円山よりは少し高いかなっていう。旭川だと、旭山な感じだ。
そんなところの動物園なので、僕がこの三月まで住んでいた旭川市の旭山動物園と環境がちょっと似ている。(「旭川市」にあるのに「旭山」動物園なのがややこしく、他の土地の人からはだいたい「旭川動物園」と間違われるか、旭山動物園の方が知名度が高く「旭山市」と間違われるか。そういうあるあるもある)
特に傾斜地に沿って建設されているところは、両動物園で全く共通している。
そんなこともあり、動物園内を散策しながらなんとなく比べてしまった。
そして思った。
旭山はすげぇ。
いや、旭川に住んでいた時から十分その価値はわかっていると思っていたのだけれど、改めて他の動物園と比べてみると、その凄さを再認識、というかより強く感じた。
行ったことのある人にしかわからないと思うし、写真もないので旭山動物園を知らない人に伝わるかどうか分からないが、
旭山動物園には、ほとんど檻が無い。これは本当にびっくりするが、檻がほとんど無いのだ。
もちろん、要所要所に檻はある。でも、多分檻が無い展示の方が多い。いや、わからない。本来なら檻があってしかるべき動物の展示に檻が無かったりするので、その印象が強く檻がほとんど無いと思ってしまうのかも知れない。
特に、テナガザルとかクモザルのようなサルの展示に檻が無いのはびっくりする。こんなに開放的にしちゃって逃げたりしないの?と思うが、動物の行動特性をきちんと把握して、逃げないように設計されているのだ。とても開放的で、自然な動物の行動を見ることができる。距離は近くはない。距離を近づけてしまうと、当然容易に逃げられるので、距離はとても遠い。でも、檻がないので心理的近接感はとても高く、檻がないことすら忘れてしまうほどだ。
レッサーパンダの展示にも檻が無い。檻が無い上に、展示スペースと人間が歩くスペースに生えている木に架橋してあって、レッサーパンダは展示スペースと木を行き来する。人間のスペースに入ってくるのだ
そうした展示に人間は驚き、その運動能力が解放された動物たちを見るにつけ、僕らはいつも感動する。
動物への深い愛情と、その行動に関するこれまた深い理解と、何よりも人間のスペースを冒すかもしれないというリスクを引き受ける勇気が無ければできないことだ。
八木山動物公園が見劣りするというのではない。おそらく、八木山動物公園のような動物園はむしろスタンダードだろう。動物園の動物は檻に入っているものだし、人間のスペースと動物の展示スペースの間には厳密に線引きがされている方がお互いにとってある意味では安心できる。
その境界線を溶かして人間のスペースと展示スペースを曖昧にした旭山動物園。
他にも様々な工夫がされていて本当に驚かされる。特に、傾斜地であることを逆手にとった様々な展示方法はまさにイノベーションだと思う。旭山動物園を一躍有名にしたアザラシの展示も、円柱形の水槽にばかり注目が行くが、あれが動物園内に自然に収まっているのは傾斜地ならではである。
書くことはいくらでもあるのだけれど、長くなったしムッスメの髪の毛も拭いてあげないといけないのでこの辺で。旭山動物園は本当に価値ある動物園だなぁと思った日でございました。
では。
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