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第68回町村議会議長全国大会
昨年の振り返りですが、第68回町村議会議長全国大会に出席しました。
地方の財政基盤強化、デジタル化推進、そして災害に強い地域づくり。町村議会議長全国大会では、これらの喫緊の課題に対し、国への力強い要望が提出されます。地方の声を国政に届ける重要な場となるこの大会の要望を勝手に抜粋して勝手にコメントしていきます!
大会の詳細は以下からご覧になれます。
https://www.nactva.gr.jp/php/topics/detail/1537
要望書詳細はこちらから
https://www.nactva.gr.jp/php/files/20241115013139_2.pdf
第1 議会への多様な人材参画及び議会の機能強化
以下抜粋
Ⅰ 議会への多様な人材参画
2 低額な議員報酬の改善 ⑴ 町村議会の議員報酬はそれだけでは生計を維持できないほどの低水準であること から、若者や女性、会社員などが議会に参画できるよう、議員報酬に生活給的要素を 加味するとともに、長との権衡を考慮して定めることを地方自治法に規定すること。
4 休暇・休職・復職制度の整備 若者や女性、会社員など多様な人材の議会への参画を促進するため、議員への立候補 や議会・議員活動のための休暇・休職制度と議員退職後の復職制度を整備すること。
6 手当制度の拡充 期末手当のほか、例えば育児手当、所得損失手当、世話手当(育児・介護にかかる 費用保障)等の支給を可能とし、手当制度の拡充を図ること。
7 政治分野の男女共同参画の推進 政治分野の男女共同参画推進法に基づき、議会が実施する家庭生活との両立支援 のための環境整備、セクハラ・マタハラ防止に資する研修の実施や相談体制の整備等 に対する支援を行うこと。
10 地方議会議員に係る選挙制度の改正 ⑴ 国民の幅広い政治参加や地方議会への多様な人材参画を促進する観点から、被 選挙権年齢を例えば23歳に引き下げること。
以下私見
個人的には報酬は調査費や出来高で設定するべきと思っていましたが、経済的理由や仕事との両立の難しさで議員になることを諦めていた人々も参画しやすくするためには報酬の底上げは必要かと思ました。
特に、若者や女性など多様な背景を持つ人材が議会に参画することで、これまで反映されにくかった視点や意見が議会に反映され、より多様な民意を反映した、活性化された議会運営が期待できると思います。
また、育児や介護と議員活動の両立がしやすくなることで、より多くの人が議員として活躍できる環境が整いそうです。
第2 大規模災害からの復旧・復興、原子力発電所事故への対応、防災・減災対策の強化
以下抜粋
4 頻発化・激甚化する自然災害からの復旧・復興 ⑴ 近年、気象の急激な変化に伴う自然災害の頻発化・激甚化の傾向が顕著であり、 集中豪雨、大規模な土砂災害、浸水被害等により、ライフラインやインフラに大き な被害が生じている。 こうしたことを踏まえ、被災町村が、道路、河川、砂防等の災害復旧事業及び被 災者の生活再建、地域産業の再生等の復興対策に着実に取り組むことができるよう、 十分な財政措置を講じること。 ⑵ 光ファイバ等の情報通信基盤の災害復旧事業について、デジタル社会を支える 重要性を踏まえ、道路等の公共インフラの復旧と同様の財政支援を行うこと。
5 防災・減災対策の強化
⑸ 災害時において中枢的役割を担う役場庁舎や避難所として使用される体育館等 における耐震化、空調設備の設置及び非常用電源の整備等に対する財政支援を強 化すること。
以下私見
東日本大震災に続き、能登半島地震や大雨災害など、近年大規模な災害が頻発しており、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。災害からの復旧は、被災者の方々の生活に直結する重要な課題であり、復旧のスピードに対する感じ方はそれぞれあるかと思いますが、一日も早い復旧を切に望みます。お願いします。
島嶼部において、本土と陸続きでないため、物資運搬の主要な手段は海運です。また、災害によって港湾施設が損壊したら、物資の輸送は空輸に大きく依存せざるを得ません。そのため、緊急時における海や空からの物資輸送を受け入れられる強靭な港やヘリポートなどの整備が不可欠です。また、外部からの物資供給が途絶した場合に備え、島内で食料やエネルギーをある程度自給できるような循環型の体制を構築することも重要です。例えば、食料の備蓄はもちろんですが、地産地消の推進で自給率を上げることや再生可能エネルギーの活用などがあるでしょう。
以上のインフラ整備や自給体制の構築は、災害に強い島社会を構築し、住民の安全・安心を守る基盤となるでしょう。災害時だけでなく、島内の資源を有効活用し、地域経済の活性化に繋げていくことが重要だと思いました。
第3 地方創生の更なる推進
以下抜粋
1 東京一極集中による地方の人口減少は、国民のライフスタイルや価値観の多様化 を踏まえた「一人ひとりの多様な幸せ(well-being)」の実現を妨げる要因の一つにな るだけでなく、我が国のあらゆる方面に多大な影響を及ぼす、国のあり方に関する重 大問題である。 よって、国は、こうしたことについて、国民に対し丁寧かつ積極的に情報提供を行 うこと。特に中高生をはじめとした若年層に対して、SNS等も活用し、きめ細かな情 報発信を図ること。
5 地方創生の実現に向け、デジタル技術を活用した新たな発想や創意工夫を活かし た事業に柔軟かつ積極的に取り組んでいけるよう、十分な支援を行うこと。 特に、地方創生に係る交付金については、当初予算ベースで倍増を図るとともに、 更なる制度の拡充や取扱いの弾力化など、できる限り自由度の高い仕組みとするこ とを通じ、地方の取組を後押しすること。
8 都市から地方への移住・定住・交流を推進するため、若者を中心としたUJIターン 対策の強化、副業・兼業を含めた多様な働き方の推進、関係人口の創出・拡大、テレ ワークの活用、サテライトオフィス等の開設、国民の関心を惹きつける効果的・戦略 的な情報発信等の取組に対して、十分な支援を行うこと。
10 地方移住やリモートワーク等を推進するため、市街化調整区域制度をはじめとす る土地利用制度の見直し・柔軟化を図ること。
以下私見
東京一極集中という言葉が多く出てきましたが、東京(大都市)と地方(田舎)の人口や経済のバランスを取るべきだと解釈しています。
東京にも「島」が存在し、東京の区市とは異なる特性をもってます。島嶼部は独自の産業や文化があり、これらは地方創生の推進において重要な資源となります。要望にある「人の流動化」や「柔軟な働き方」を島嶼部に導入し、その魅力を発信することで、地域経済の活性化に大きく寄与できるでしょう。
施策を通じて、島嶼部が持つ固有の魅力を最大限に活かし、東京の中でも循環できる持続可能な地域経済の発展に繋げていきたいです。
第7 少子化対策及びこども・子育て政策の推進
以下抜粋
1 こども家庭庁において、「こどもまんなか社会」の実現に向け、こども未来戦略方 針に基づき、子育て支援、母性の福祉の増進、虐待・いじめの防止、安全対策等の政 策を強力に推進すること。 また、こどもに関する各種施策の多くを担っている地方への財政措置を拡充する とともに、事務負担に十分配慮すること。
以下私見
子ども家庭庁について概要を以下にまとめました。
子ども家庭庁(こどもかていちょう)は、日本の行政機関で、2023年4月1日に設立されました。
この機関は、子どもに関する政策を一元的に管理し、子どもとその家庭の福祉や権利を守ることを目的としています。具体的には、以下のような役割を担っています。
1. 目的と役割
子ども中心の社会の実現 :子ども家庭庁は、子どもが中心となる社会を目指し、子どもの意見を尊重し、最善の利益を考慮した政策を推進します。
福祉と健康の向上:子どもとその家庭の福祉や健康を向上させるための支 援を行います。
権利の保護:子どもの権利を守るための政策に強力なリーダーシップを発揮します。
2. 組織構成
子ども家庭庁は、内閣府の外局として設立され、従来は内閣府や厚生労働省が担っていた子どもに関する業務を統合しています。これにより、より効率的な政策の実施が期待されています。
3. 主な施策
子どもの貧困対策:経済的な理由で健やかな成長が妨げられている子どもたちへの支援を強化します。
教育政策:学校でのいじめやメンタルヘルスの問題に対処するための施策を推進します。
このように子供たちが、安心して生活、成長、学習できることの寄与に期待します。
また、これまで複数の省庁に分かれていた子ども関係の政策が一元化され、子どもの福祉・健康の向上、権利擁護がより効果的に進められそうです。
自治業務の軽減にも繋がるかもしれません。
第8 デジタル社会の実現に向けた施策の推進
以下抜粋
2 行政のデジタル化の推進等
⑴ 町村行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進に当たっては、 財源の確保や専門人材の確保・育成が課題となるため、十分な財政的・人的支援を 行うこと。
⑵ 国の制度改正に伴う情報システムの開発・改修について、町村に超過負担が生じ ないよう、国の責任において財源を確保するとともに、十分な作業期間を確保する こと。
⑺ 町村においても、今後ますますサイバー攻撃や情報漏洩等に対するセキュリテ ィ対策が必要となることから、万全の技術的・人的・財政的支援を講じること。
以下私見
これらの支援が実現することで、町村はDXを円滑に進め、住民サービスの向上である、オンライン手続きの拡充や行政手続きの簡素化、業務効率の向上、情報セキュリティの強化、そして国と町村間の情報格差の是正といった効果が期待できそうです。
利島村は人口300人の小さな島です。役場職員も限られた人数で内地と同じようなサービスを提供しなければなりません。そういった業務軽減の一役になることを期待します。
第9 脱炭素社会の実現等に向けた環境保全対策の推進
以下抜粋
1 脱炭素社会の実現に向けた取組の推進
⑴ 地域の特性・実情に応じた省エネルギー対策や再生可能エネルギーの普及など の取組を支援するため、地方が自由に使える財源を確保すること。
⑷ 町村においても、新築住宅に係るネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の 導入、既存住宅に係る高断熱性能の確保や太陽光発電設備等の設置、並びに建築物 のネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化が促進されるよう、十分な支援策を 講じること。
3 循環型社会システムの構築
⑴ 循環型社会形成推進基本計画に基づき、循環型社会形成に関する取組を総合的 に推進すること。
⑵ 容器包装、プラスチック、家電及び使用済小型電子機器等のリサイクルの推進に 当たっては、分別収集・選別保管を担う町村と事業者・製造者の費用負担の適正化 を図るとともに、町村に対する十分な財政措置を講じること。
⑶ 廃家電及び自動車等の不法投棄物について、町村が回収した場合の回収費用が、 町村の財政負担とならないようにすること。
4 廃棄物処理対策の充実強化
⑴ 廃棄物処理施設整備計画に基づき、一般廃棄物処理の3R〔リデュース(発生抑 制)、リユース(再使用)、リサイクル(再利用)〕の推進や廃棄物系バイオマスの 利活用を図るなど、廃棄物処理施設の計画的な整備を推進するとともに、財政措置 を充実強化すること。
⑸ 海岸漂着物等地域対策推進事業については、今後とも継続し、町村の財政負担が 生じないよう、万全の措置を講じること。 なお、漂着木造船等については、回収・処理に当たる町村の実情を十分に考慮し、 迅速な対応ができるよう、財政支援の早期確定等、弾力的な運用を図ること。
以下私見
島においてゴミとエネルギーの問題は重要な課題です。
島では、自給できない物資を外から持ち込む時点で、それは将来的に外へ排出せざるえない、ゴミとなります。
焼却処理を行う場合はエネルギーを多く消費しますし、処理施設の負担も大きいです。一方、リサイクルするために分別収集での換金は、必ずしも全てが黒字化できるわけではありません。輸送コストなど、様々な要因が影響するためです。
以上の現状を踏まえ、島ではゴミの発生抑制、再利用、そして島内での循環をいかに実現していくかを考える必要があります。具体的な案はありませんが、単にゴミを減らすだけでなく、資源として捉え、島内で有効活用する仕組みづくりが求められます。
また、地域の生活を支えるエネルギーについても、100%自給は難しいですが、再生可能エネルギーの導入や地域資源の活用など、自立に向けた取り組みを積極的に進めていくことは大きな課題です。
第13 地域商工業等振興対策の強化
以下抜粋
2 地域産業の育成及び人材の確保
⑴ 地域経済の活性化を図るため、地域の産学官金ネットワークの強化によるイノ ベーション創出環境の整備や研究開発、地域資源を活用した新たな産業の創出や 起業等を積極的に支援すること。
⑵ 伝統的工芸品産業の振興を図るため、技術の承継、意匠の開発を図るとともに、 製作、販売の場の提供などに対して、積極的な支援を行うこと。
⑶ 生産年齢人口の減少やグローバル化等の地域経済における構造変化の影響を強く受けている中小企業に対し、人材の確保及び育成に係る支援策を拡充すること。
⑷ 農林水産業との連携により新商品の開発や販路の拡大を図る農商工連携について、地域経済の活性化につなげるための支援策の強化を講じること。
以下私見
各島の独自性を活かした産業振興が重要だと思っています。各島には固有の文化や産品があり、それらを磨き上げ、産業として発展させることが地域活性化につながります。
例えば利島の椿油産業では、海外展開に向けたFDAやGMP認証の取得支援、各国の法規制対応へのサポートなどが必要とされています。こうした支援を通じて、島の特産品の高付加価値化や、独自の文化を活かしたサービス展開など、新たな産業創出の機会を広げていくことが期待します。
第24 特定地域の振興
以下抜粋
4 離島の振興
⑴ 離島振興基本方針及び離島振興計画に基づき実施する事業に対し、所要額を確 保するとともに、離島の自立的発展を促進し、島民の生活の安定及び福祉の向上を 図り、人口の著しい減少の防止と定住の促進を図るための施策等を積極的に推進 すること。 ⑵ 離島の実情に即した離島活性化交付金等事業計画を十分尊重し、離島活性化交 付金及び離島広域活性化事業を拡充・強化すること。
⑶ 離島の活性化と定住促進のため、離島特別区域制度の詳細設計を定めた新たな 法制度を早急に検討すること。
⑷ 離島航路・航空路は、離島住民にとって生命線であり、人の往来及び生活に必要 な物資等の輸送に要する費用が他の地域に比較して多額である状況を改善するた め、全ての離島航路・航空路を安定的に維持存続するための支援策の抜本強化を盛 り込んだ「離島航路・航空路支援法(仮称)」を早期に制定すること。
⑸ 有人国境離島法に基づく特定有人国境離島地域社会維持推進交付金により、雇 用機会の拡充、全ての利用者を対象とした航路・航空路運賃低廉化、カーフェリー 等自動車航送料金低減の対策等を強化するとともに、所要額を確保すること。
以下私見
離島振興市町村議会議長全国大会をはじめ、離島もしっかり見ていただいていることに大変感謝しております。
離島には本土とは異なる独自の課題が多くありますが、日本は島国であり、その特性を生かして成長していくことが重要です。要望書にあるように、航路・航空路の維持存続は離島住民にとって生命線であり、運賃低廉化は生活を支える上で不可欠です。
また、雇用機会の拡充や産業振興は、若者の定住を促進し、地域の活性化に繋がります。これらの施策が推進されることで、離島の課題解決と持続的な発展が期待できます。日本の島々がそれぞれの個性を活かし、多様性豊かな国づくりに貢献していくことを願っています。
最後に
私見を勝手ながらコメントさせていただきましたが、島には固有のメリット・デメリットがあります。
それらを十分理解しながら、島の持続的な発展に寄与していきたいと考えています。そのための一助として、今回の情報共有が皆様のお役に立てれば幸いです。
写真もなく文字をだらだらと書いただけですが、最後までお読みいただきありがとうございました!