星空と氷河-前夜
11月9日14時30分、飛行機はフィジー経由でクライストチャーチ空港についた。
早速日本で購入しておいたe-simにネットを繋げる。
レンタカーの予約をするときに、到着後空港で拾ってくれるとのことだったが、何せ2週間で4万円以下の格安レンタカー会社を選んだのでどうかな、とおもいながら電話をかけてみる。
2週間後の結論からいうと、ちゃんとした会社だった。担当してくれた人もフレンドリーで、空港行き帰りの送迎付き、車種は日産のラティオで乗りやすい、と最高だった。(保険を最低ラインに設定したおかげで整備されてない砂利道にやたら気を使ったが)
とはいってもそれは終わってみないとわからないこと。車を返す時に何か言われないように、もともとついている傷の写真を数十枚とってから出発する。
車の慣らしも兼ねてクライストチャーチのホリデーパークに向かう前に食料や必要なものを調達する。道路は日本と同じ左側走行で安心だが、交差点なんかはラウンドアバウトで新鮮。
その日は飯を作る気力がなかったので近くにあったスーパーで夕食の弁当と朝食用に日持ちしそうなフルーツグラノーラ的なやつ、ミルクを購入してホリデーパークに向かう。ここでキャンプ用にODガス缶も探したが売っていなかった。
無事前日に予約しておいたホリデーパークに着くも、受付の時間が過ぎていたため、管理者の建物のドアに張り紙がされていた。そこにはホリデーパークの使用要領とマップが載っていて、マジックでテントが張れる場所を示してあった。
パークにはロッジ、キャンピングカー用の電源サイト、普通車OKのオートキャンプサイトがあった。ちなみにNZでは普通車では泊まれないキャンプ場(ホリデーパーク)もある(どこか適当なパーキングでの車中泊も禁止されていて見つかれば罰金対象)ので、キャンプ場を探すのが多少面倒だ。(Campermateというアプリを使って探していた。)
パーク内のキャンプ場に向かい車を停める。気温は3度程度でテントを張るか迷ったがNZにはキャンプを名目に来たので謎のプライドでテントを張った。たいていホリデーパークにはキッチンやシャワー室がある。ついでに言うと、焚火はできない。環境保護の観点からほどんどのホリデーパークやキャンプサイトで禁止されている。そう、もはやキャンプとは別のもののようだ。
悔しくもNZ旅行をするに至ったのは「大自然が美しくキャンプには絶好の国、キャンプ大国」だという浅い認識からで、皮肉にもその大自然を守るために、当初思い描いた、theキャンプの絵はそこにはなかった。まあしかし、今思えばキャンプに重点を置くと料理や焚火に時間を割かれて他の事はまずできない。結果的によかったと思う。
テントサイトでは同じようにソロバックパッカーが数名とキャンピングカーが一台。テントを適当な場所に立てて夕食をすませてシャワーを浴びる。ゆっくり浴びていると急にお湯が冷たくなりこごえる。「SHOWERS WILL RUN FOR 6 MINUTES BEFORE GOING COLD」。
バンドックのソロドームに、Amazonで買った各安エアマットを膨らませてワークマンのダウンシュラフに包まれる。十分すぎる装備だった。コールマンのハンギングランタンの明かりを消したとき、暗闇と静けさの中、ここにきてはじめてNZにいるんだという実感が湧いてきた。そして一日目が終わり、眠りにつく。明日はテカポ湖だ。
翌朝、昨日の夜シャンプー類を忘れたことに気づきシャワー室に向かうも、そこには2週間分計算して詰めてきたシャンプーやボディソープたちの姿はなかった。代わりにこれと交換だといわんばかりにスーパーなどでよく売っている無駄にでかいボディソープだけが置いてあった。
朝食をさっさとすませた後、タイヤの空気圧を調整して車でレイク・テカポに向かう。