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インバーカーギル

11月14日晴れ。今まで天気もそこまで悪くならずになんだかんだ順調に行っていたこのレンタカー旅も、このインバーカーギル付近でごたごたすることになる。
午前中滞在先のバッパーでゆっくりしすぎたせいでダニーデンを出発するのが10時すぎになった。インバーカーギルに向けて車を走らせながら、ダッシュボードに置いてあるパンフレットをちらりと見る。「Catlins Coast」と書いてあった。
ケトリンズ・コーストとは、ダニーデンからインバーカーギルに向かう途中にある海岸沿い地域一帯の名称で、道すがら青い海を見渡せるナゲットポイント灯台、海食洞(カセドラル洞窟)、駐車場から歩いていけるマクリーン滝など他にも幾つかの魅力的な観光スポットがある。
インバーカーギルまではケトリンズコーストを通るより少し早い道が上を通っているのだが、今回は色々回りながら行きたかったのもあってケトリンズコーストを通ることにした。
まずはナゲットポイント灯台に正午に着いた。
駐車場から20分ほど歩いたあたりで、灯台が見えたので写真を撮っていると、手前を歩いていたアジア人夫婦が振り返る。実はこの夫婦、ダニーデン駅で一度会っていたので「また会ったね」と笑いながら挨拶した。

海が綺麗で1時間くらい滞在してしまい、インバーカーギルに着いた後もクラシックモーターサイクルメッカなどの施設を回りたかったのでカセドラルド洞窟を諦め先を急ぐ。
次のスポットマクリーン滝へ向かいながら運転していると、雲行きが怪しくなってきた。
滝に着きそうだというところでついに雨が降ってきた上に、マクリーン滝までの道が舗装されておらずレンタカーでいくには少々際どい道だったので滝を諦め、そのままインバーカーギルに向かうことに。

結局ケトリンズ・コーストは通りがかる程度になってしまったが、インバーカーギルに着いたらその分楽しもう、そう思い雨の中車を進める。

そしてインバーカーギルには3時半頃に到着。
着いて思ったのは、高い建物がなく、住宅街が一面に密集しているような街だった。都会に近いダニーデンの後に来たからか、どこか落ち着いた雰囲気に感じる。
先にこの先の旅で必要なものを買い揃えるために日本でいうホームセンター的なスーパーに入ると、キャンプで使うODガス缶を発見。ガス缶、トマトソースとパスタ、ピーナッツクリーム、食パンを購入して街の目的地に向かった。
クラシックモーターサイクルメッカ。古いバイク好きからすると名前からして気にならないわけがない。しかし入り口まで来てしばらく呆然とした。入場料35ドル。そしてもっとびっくりさせられたのは営業時間17時まで。先に調べなかった自分が悪いが、早すぎる。現在時刻16時半、30分で35ドルは割に合わないと思い諦めたのだった。まさかとは思いもう一つの目的地、クラシックカーの展示されているビルリチャードソントランスポートワールドを調べてみると入場料35ドル、こちらも17時閉店。
外側から建物を眺めながらインバーカーギルにおける全ての観光を切り捨て、次の街テ・アナウに向かうのであった。
実際インバーカーギルに滞在して翌日観光も考えたが、そのあとの旅程に響く。時間は17時すぎ。急いでbooking.comでテ・アナウの宿を予約した。チェックイン時間21時まで、まあ何事もなく順調に行けば19時あたりに着くだろう。

しかし旅にトラブルはつきものだ。インバーカーギルを出発して約30分後、ウィントンという街を過ぎたあとで車の異変に気付く。ガタガタという音が聞こえ、どうも振動が大きい。道はフラットだしおかしいなと思って車を止めて見てみると、後輪が一つペシャンコになっていた。

やってしまったなーと思いながら、そういえば先ほど通り過ぎたウィントンにガソリンスタンドがあったのでそこまで戻ることにした。

ウィントンのガソリンスタンドは既にしまっているようだったが中に人がいる、話しかけてみた。

不幸中の幸いで、整備士だった。
彼も自分がいなかったら困っただろう、運が良かったなラッキーガイと言っていたがほんとにその通りでこの辺りは他に頼るあてもなさそうで最悪インバーカーギルまで戻る羽目になっていたかもしれない。

修理が終わるまで待ちテ・アナウのドミに着いたのは午後21時ちょうど、日暮れだった。
予約フォームから少し遅れると連絡していたおかげで受付の髭面のおじさんが待ってくれていた。
簡単にどこに何があるかの説明を受けたあと、「そこに置いてあるボート俺のだから使ってもいいよ、使う時は言ってね」と気さくなおじさん。
ドミトリーの目の前には湖があり、後にも先にもこのドミは立地もオーナーの人柄も1番居心地のいい環境だった。
すぐに自分の指定された部屋に行くと既に寝ている人が数人。真っ暗の中物音を立てないように気をつけながら荷物を置いてシャワーを浴びた後、二段ベッドの上に戻って眠りについた。

拠点の街テ・アナウ