脱力願望
日本人の欲求が生み出す進化は止まらない。
ゲーム画面が映るスコープを装着し、模擬銃を持ち、自分が兵士になった目線で戦争を追体験するバーチャル?ゲームが流行った。
同じくスコープの他、女性器を模した器具を用いたバーチャル・セックスのゲームが流行りだした。
そして、今度はスコープ及び、全身の筋肉を人工的に弛緩させ、高齢者の感覚を体験できるバーチャル・オールドマンが発売された。
発売当初、誰もそのゲームに見向きもしなかった。光の速さのごとき時速のこの社会で、だれがそんなものを必要としようか、と。
しかし、その後しばらくしてから、バーチャル・オールドマンは飛ぶように売れた。日本でだけ。
人々はゆっくりと時間を過ごせるようになった。働けるだけ働いて、疲れたら休んで、眠かったら寝て、茶を飲んで早く寝る。ストレスフリーな毎日だ。
ある民族の問題性質を科学が解決した好事例である。