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叶子の顔のほくろは次第に増えていった。 幼いときの写真を見ると、そんな兆候は見えなかった。右目の上に小さなほくろがひとつあるだけだった。 大きくなるにつれ、十台の中ごろからだろうか、その小さなほくろを起点に、ほくろが増えていった。ほくろとは言っても、体表が膨らむわけではなく、肌の黒い面積がじわりじわりと増えていくのだった。 二十台のはじめのころには、顔のほとんどはほくろになっていた。 もう叶子に言い寄る男はいなかった。話しかけてくる者もいなかった。 叶子が街を歩く
突如霊峰富士の火口より巨大な鬱血した男根が背を伸ばしそのまま大気圏を通過し月に向かって背を伸ばし続けとうとう月に突き刺さった。 人々は男根の内部の血管の流れを利用し月へ行く計画を立てた。 しかし男根は痛みに弱いようで血管に異物が入ると海綿体の膨張も収まりふにゃふにゃになってしまい月からも先っちょが抜けてしまい宇宙空間をふにゃふにゃ漂うだけになってしまうのであった。 だがそこは変態大国日本である。ふにゃちんの周囲360度に全世界が仰天する大きさの巨大プロジェクターを据え
ひょうきんな男がいた。 毎日楽しそうだった。 周りからも「毎日楽しいでしょう」と言われた。 しかしその心のうちはどす黒かった。 男は大金を払って白血球を雇った。 心の煤を削り取ってくれと頼んだのだ。 白血球は心に向かった。 ところが間違えて胃に行ってしまった。 胃にはガンポリープがあった。 仕事を終えた白血球は男にレポートをした。 男は心の煤が消えて気持ちよかった。 ただガンレポートは受けていなかった。 白血球にその義務はなかったからである。 白血
空は青い。 なぜ青いのか。 科学的には、太陽光が待機中の成分に反射し、その際の放射線濃度が人間の網膜には青に見えるからである。 でもそれはどうでもいい。 天気がいいと空が青い。 悪いと黒い。 夕方は黄色か赤。 黄昏は青紫。 夜は黒。 そういうことである。 これまでもそうやってやってきた。 これからもそうだと安心する。 たとえば明日、空が緑色だったらどうするか。 それもおもしろい。 みんなパニックになる。 なんで緑か! とか。 パニックにな
休みがないとストレスが溜まって死ぬ。 仕事がないとストレスが溜まって死ぬ。 というあほみたいに面倒なのが、哺乳類。 中でも最も知能が進化しているとされるヒト。 面倒極まりないですね。 カメムシはどうなのかな。 カメムシにストレスはあるのか。 ただ我々はカメムシではなくヒトです。 うまく己を律しないとストレスで死ぬわけです。 特に現代は隣人と比べられる共存社会。 周りが気になる。 うまくやるために人を合わせる必要がある。 かつ自己のイデアも通したい。
脳みそがね‥‥ ジャンベを叩くベトナム人 地球から地球が見える! 町工場に就職が決まって生活保護が止まっても 公転は止まらない! 絶望的な状況下において チェ・ゲバラに バナナを供給した フィリピン人が アマゾンの奥地に行っても 変わらないものがある それは納豆が AカップをDカップにする可能性と 彼氏からの愛! ホストが 多くの病院のそばで 小ゲロを吐くのを見た サラリーマンは 二十歳年下の部下が 父親と関係を持っていることを知り
エイリアンが来た。 転校してきたのだ。 エイリアンはひ弱だった。 地球を侵略しようとしたが返り討ちにあいほぼ殺された。 エイリアンの身長は3センチで体重は66キログラムだった。 ぜったいにいじめられる。 転校初日にまず担任がエイリアンをいじめた。 エイリアンが消化できない給食の肉じゃがを口に詰め込んだ! エイリアンは泣きながら便所で吐いた。 それが女子便所だったということで保護者が教育委員会に訴える。 エイリアンに性別という概念はない。 保護者はそんな
だから言っただろう。 お前はな、パーなんだ。
巫女は神のお告げを聞いて、みんなにそれを伝えるのが仕事である。 あとは、司祭様の夜の相手をするのが仕事である。 あと、犬に餌をやったり、畑を耕したりするのも仕事である。 巫女はそんな風に暮らしていた。 ある日、司祭様から夜に手渡された「明日のお告げ」にこう書いてあった。 「今日から全員裸で過ごすこと」 巫女はこれを翌日の交霊会にてみんなに伝えた。ぐるぐると踊り狂いながら「今日からみんな全裸で過ごすこと。そうしないと大地は裂け、天は唸り、子は絶え、米は実らぬ」 とい
死 小さな国があった。暑い国であった。 その国は戦争に負けてしまった。勝てるはずもなかったのだ。 物資がなくて、バナナしかなかった。 でも、その国ではバナナは邪悪な精霊が宿るものだと思われていたから、誰もバナナを食べなかった。身につけもしなかったし、だからみんな裸で暮らしていた。 若者ナブタは飢えていた。親兄弟も飢え死にした。 ナブタは運を天に任せ、バナナを食べようとした。見つかったら死罪だし、死ぬよりはましだとバナナを食べようとしたその時、神のお告げを聞いた。 バナナを食
サメは考えた。 なんでお腹が減るのかと。 基本的にサメは考えないので、考えるサメは初めてであった。 サメは思った。目の前に獲物がいるからでだと。 ということで、目の前の獲物を片っ端から食べてしまって、そうしたらどうなるかと思った。 サメは来る日も来る日も、目の前の獲物を食べ続けた。しかし、獲物は無尽蔵におり、食べ尽くしたらどうなるかという結論には至らないのであった。 つまり、サメはただのサメのままであった。 誰も、それが考えることができる賢いサメであるとは思わなかった。 人間
飲み会 ビールがやってきた。 おつまみが集まって来る。 一杯やろう、ということになる。 ビール「みんな、あつまったかな」 おつまみ「そうみたいですね」 ビール「じゃ、一杯やろうじゃないか」 おつまみ「いいですけど、お酒のアテはどうするんですか」 ビール「お前に決まっているだろう」 ビールはおつまみを犯した。おつまみは孕んだ。 こうして産まれたのが、人間である。
宝石強盗だ! 強盗犯確保のために、警官隊が巨大な宝石店の中になだれ込む。 警官隊の先頭を切るのは、バナナ警部である。 バナナ警部は、これまで幾度となくヘマをやらかしてきた。 万引き犯を捕まえようとして、バナナの皮で転んで、犯人を取り逃した。 人質を盾に取る凶悪犯に銃を向けたとき、バナナの皮で転んで骨折した。 赤信号を渡ろうとしていたおばあちゃんを助けようと走っていたとき、バナナの皮で転んでしまった(結局おばあちゃんは刑事がこけているのを見てその場で笑っていた
「次の停車駅はー、地獄ー。地獄でございます。到着までしばらくお時間がかかりますのでー、車内にてー、ゆっくりおくつろぎください」 夏樹が目をこすりながら立ち上がったときには、すでに電車は前の駅のプラットフォームから離れて走り出していた。 「あ、あ‥‥」 夏樹の声も虚しく、列車はどんどんスピードを上げていく。 車両の中を見渡してみる。夏樹以外、誰も乗っていない。 思わず立ち上がり、荷物をつかんで、車両連結部の扉を開けて隣の車両へ。 誰もいない。蛍光灯だけがぼうっと灯
大気汚染や地球温暖化が進んだ未来。 人間はもはや、そのままの体では、この世界に住めなくなってしまっていた。 そこで、科学者たちは種としての人間を改造し、変動した気候に対応できる身体能力を身につけさせようとした。 「博士、どうですか」 「だめじゃ。うまくいかん」 「いかなる生き物でも」 「うむ。すべての哺乳動物、それに鳥類や爬虫類、魚類や果ては菌類、バクテリアと人間を合体させようとした。しかし、結果は見ての通り、しばらくは生きているが、そのうち死んでしまうのじゃ
「ママ」 「どうしたの」 「あの大きな川の向こうには、なんで誰も住んでいないの?」 「ああ。昔は住んでいたのよ」 「今は住んでいない?」 「そうよ」 「どうして?」 「川の向こうに、町が見える?」 「うん。ボロボロの町でしょ? 誰も住んでいない」 「そう。その街の真ん中に、高い建物が見える?」 「ぼく知っているよ。あれ、電気を通すための鉄の建物でしょ?」 「そうよ。鉄塔っていうの」 「あれがどうしたの?」 「今ね、あそこは、宇宙から飛来した高度知性