とんがりコーンゲーム(かなり残酷なゲームです。読書注意)
スナック菓子のとんがりコーンを人差し指の先にいくつまで積み上げられるかを競うゲームであった。とんがりコーンのタワーが高くなりすぎてバランスを失い崩れてしまったら負け。他愛のないゲームである。
参加者は17歳の女子高生・美樹と、彼女とまんざらでもない関係の、同じ塾に通う一つ年下の男子高校生・真。そして、パプアニューギニアからやってきたウバンギ族の青年・ウベベであった。
時計回りに一つずつ、思い思いの相手の指の先にとんがりコーンを重ねてゆく。
美樹と真はまだ打ち明け切っていないお互いへの愛を確認するかのように、お互いの指にとんがりコーンをはめていった。
一方ウベベは自分の指にはとんがりコーンをはめてはいけないというルールから、美樹か真のどちらかの手にそれをはめてゆくものの、彼の指には一本もとんがりコーンがはまらないまま、ゲームは進んで行ったのだった。
美樹のとんがりコーンタワーが高くなりすぎてバランスを失い出した。しかしそれが崩れる前に、真はタワーの先端からいくつかのとんがりコーンを口の中に屠り、ポリポリと食べてしまった。美樹に対する素直な愛、そして彼女がゲームに負けないようにという思いやりからの行動だった。
一方でまさか自分たちが積み重ねているものが食べ物だったとは微塵も思っていなかったウベベは、さきほどから鼻にツンと突き上げてくる香ばしい匂いの大元が、自分たちが弄んでいた小さな何かだと知り、さらにはパプアからきてここ数日、ろくなものを食べていなかったので腹が減っていたこともあり、美樹の人差し指の先から伸びたとんがりコーンを、美樹の指ごと噛み砕いた。
そして悲鳴を上げる美樹を見て絶句し尻餅をついている真のもとに歩み寄ると、彼のとんがりコーンも人差し指ごと噛み砕いて咀嚼して飲み込んでしまった。
悲鳴を上げる2人を見ても、ウベベの表情筋はぴくりとも動かなかった。指を喰われて泣き喚くのは、同じくウベベらの部族に捕らえられて手や足の指、さらには四肢をゆっくり食い減らされていく他部族の戦士が上げる叫び声を聞いて慣れていたからである。
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