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PARCO STAGE 8K FES

PARCO劇場で「笑の大学8K版◎内野聖陽×瀬戸康史」を観劇しました。
映像なのに2時間全編、生の役者が舞台で演じているかのよう。
私はPARCO劇場の客席にいて、周囲の笑いとむせび泣きに包まれていました。映像なのに生の舞台として錯覚させ没入させる。
これぞ8Kによる文字通り“イマーシブシアター”だと思います。

演劇は生で伝えることを主眼とした演出メディア

演劇人は、TVで放映する劇場中継やDVDで2次元映像にしてしまうと感動は百分の一の退屈なものになってしまうものだから)この一過性のコンテンツをなんとかアーカイブできないものか、演劇の臨場感を映像に収められないかと努力してきたわけです。今から20年前に「ゲキ×シネ」が出て来たときは目から鱗でした。劇団新感線の活劇を出演者ひとりひとり人数分のカメラで撮影して、台詞言う人から言う人へバストアップで繋ぐ編集。映画館の大画面で見ると、生の迫力が伝わってきて、興奮している観客の視界に近い。これはイケる!と思いました。しかし。20年経って8Kの時代。EPADが次から次へとアーカイブする『8K演劇』はゲキ×シネとはベクトルが違います。映像編集しないで、演劇そのものに「肉薄」しようとしているのです。

PARCO劇場2024年秋


実際に舞台公演を実演したPARCO劇場の、観客にとっての舞台視界となるフレームにフルスクリーンを立て、等身大の役者が今演じているかのように超解像度8Kで見せる。スゴイです。

三谷幸喜さんがアフタートークで、8Kを見た演劇人として「悔しいけど嬉しい」「これを見ると、生の演劇の面白さにかなり近いので、逆に生の演劇をもっと観たくなる」と言っていました。

「笑の大学」について少し触れると


戦時中の警察による演劇公演台本の検閲ルームでの話で、脚本家と検閲官のふたり芝居。セリフが不謹慎だと改訂を求める公権力に抗い、もっと笑える別のセリフに改訂してゆく喜劇。三谷脚本の中でも私が大好きな作品で、舞台版「西村雅彦×近藤芳正」も映画版「役所広司×稲垣吾郎」もどちらも笑って笑って沢山笑った記憶しかない。普遍的なテーマでわかりやすいので、海外の演出家たちも上演したがり、各国の演出と役者で、公演が重ねられた名戯曲である。wikiで調べると、ロシア、ベラルーシ 、カナダ、イギリス、韓国、香港、リトアニアで海外VERとして上演されている。

わたしはパルコの客席で、劇団「笑の大学」の劇作家が全編を書き直してきた検閲室クライマックスのふたりの8K立ち姿に、思わず泣きそうになりました。

PARCO劇場でやっている「パルコステージ8Kフェス」


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