カードコーチングのススメ
最近大人気のTOILAB(カードコーチング)のクラファンのリターンで
ゲストトーク 「コーチング脳」×TOILAB
というイベントに参加しました。
そこでも話したのですが、コーチングにカードを使うと良いことがいくつもあるので、今回の記事ではそれを紹介したいと思います。
ちなみにTOILABってどんなもの?って言う方は↓をどうぞ!僕も開発時に協力していますので、僕のコーチングが好きな方にはお勧めできます。
解説の前に
カードコーチングのカードには、いろんなものがありますが、大別すると
「コーチングクエスチョンが書いてあるカード」
「イラスト/写真カード(ポストカードやオラクルカードみたいなもの)」
の2種類があります。これは全く違うものであり、それぞれに素晴らしい利点があります。別に「絵/写真カード」の使い方や利点も解説しますが、
今回はコーチングクエスチョンが書いてあるカードの利点や使用上の注意を解説します
前提として知っておきたいこと
何も知らずにカードだけつかってもコーチングはできるのですが、確実に結果を出していきたければ知っていたほうがいいことがありますので、まずはそれをお伝えしましょう。※これらは「イラスト/写真カード」を使う場合にも役に立つ考え方です
①脳科学の教え
脳には保守的な側面があります。変化に対して慎重なのです。だから特に無理やり変化させられそうな状況になると、脳は警戒します。具体的には不安や恐怖を感じると、脳はその高次機能を低下させて「闘争Fight」「逃走Flight」「麻痺Freeze」の3Fと呼ばれる反応をしがちです。動物的な反応ですね。戦うか、逃げるか、死んだふりをするか。。。
私たち人間の脳も、不安や恐怖を感じると、
戦う(無理やり突破する、力技で対応、がむしゃらに取り組む、責める)
逃げる(距離をとる、誤魔化す、隠れる、免れる)
麻痺する(固まる、無反応、思考停止、心をころす)
みたいな対応になりがちですね。
コーチングでは、コーチはクライアントに変わって欲しいと「善意」で思っているわけですが、この「変わって欲しい」が相手に伝わり、
微かにでも不安(恐怖)を感じると相手の脳機能は低下する
このように思っていたほうが良いのです。では代わりにどうしたら良いか?
安心!楽しい!できる!
この3つを感じられると脳はクリエィティブモードになることを覚えておいてください。
だからカードを使ってコーチングするときも、相手の現在の感情がどんなものかに気を配り、
不安や恐怖→安心!楽しい!できる!
で、セッションをするようにするのがうまくいくコツです!
世の中では「心理的安全性」などと言われます。もちろん大切なのですが、もっと積極的にいくなら「安心!楽しい!できる!」がオススメです
②相手が勝手に変化する関係性
コーチングやカウンセリングの始祖の一人であるカール・ロジャーズは「治療的人格変化の必要十分条件」(1957)という論文で指摘したことを超訳しましょう。
ということで、この理論から言えば、あなたが何を使ってコーチングしても構わないし、コーチングしようがしなかろうが構わないのです。
それよりも大切なのは、あなたが誰として相手と関わっているかということなのです!!
逆に言うと、どんなに良いコーチングツールを使っても
・あなたが「自分を偽っている」と結果が出にくい
・あなたが「相手をジャッジしている」と結果が出にくい
・あなたが「相手を理解したつもりになる」と結果が出にくい
ということなのです。ぜひコーチングをするときには、セルフチェックしてみてください
③アドラーが考える教育の指針
アドラーは言います。
・褒めるな
・叱るな
・教えるな
じゃあ、どうしたらいいのでしょう?
何が良いかを自分で考えて動き、自分で検証して学ぶ。そして結果に責任を持ち、自分には自信を持つ。
もしそんな風になってもらいたいなら
・自分で考えてもらう
・自分で動き、その結果から学んでもらう
だから
「絶対できると思うから、自分で考えてみてね。そして何でも試してみないとわからないから、失敗なんて気にせずどんどんやってみよう!」
と言って見守っていればいいのです。そして相談されたときにだけ協力すれば良いわけです。
コーチング業界には「1つ教えると1つ無責任になる」という言葉があります。教えられると
・結果が出ても嬉しくない
・結果が出ないと教えた人のせい
・結果が出るまで工夫しない
・結果が出なくても気にしない
みたいなことが起こりがちなだからです。
自分が「助けてあげたがり」「教えたがり」「正したがり」「褒めたり叱ったりして相手を変えたがり」になっていないか要チェックですね!!
逆に大切なのは「勇気づけ」です。相手がどんどん動きたくなる言葉がけや関わりこそ大切にしましょう!!
④コーチングは思考の補助線
相手に相談されたときに、なるべく教えずに自分で考えてもらうためには、どうしたらいいのでしょうか?
そこで使うのが質問なのです。質問は相手が答えることを求めるコミュニケーションなのですが、
答えを探す中で、相手が考え始めることがあるわけです。だから質問は相手の思考を促すツールなのです。
そして質問を組み合わせるともっとパワフルなことが起きます。
以下の一文を覚えておいてください。
高いパフォーマンスを出す人は、思考プロセスにも秘密があります。役に立つことを役に立つ順番で考えています。逆に役に立たないことは考えていませんし、おかしな順番でも考えていないのです。
どうしたらそんな人たちの思考術を自分のものにできるのでしょうか?その答えの一つがコーチングを受けることなのです。
コーチは「使う質問とその順番に工夫」することで、クライアントが「役に立つことを役に立つ順番で考えられる」ようにサポートしているのです
どんどん答えに近づくように思考の補助線を引いているといってもいいのです。
ですから、クライアントの思考プロセスがうまく繋がるように質問を組み立てたいのです。
ですので、GROWモデルや僕の「基本モデル10」などコーチングモデルの質問を辿ってみて、
「なるほど!いつもと違った感じで思考が流れてまとまっていくぞ!!」
という感覚を実感して感覚を掴んでください
※コーチング基本モデル10については↓こちらをどうぞ!オススメ
⑤コーチングのゴールは「一致」
みなさんも体験があると思うのですが、自分で質問に答えたからと言って、その答えにいつでも納得感があるわけではありませんよね。
コーチングでも、クライアントが質問の答えに納得感を持っていないのに、そのままになっていることがいっぱいあります。
納得感がない答えのままだと
・行動しない
・行動しても欲しい結果がでない
などが起こりがちですよね。それなのにそれをチェックしないコーチもいるわけです。勿体無い!!!
コーチングやカウンセリングでは納得感のことを「一致」と呼ぶことがあります。言葉と感覚(無意識、身体)の一致ですね
うまく言葉になっていなかった感覚やイメージが、ピタッと言語化されること
それがコーチングで求められているものですし、実は「傾聴」というのはそのための技法なのです。ただ相手の話をきいているだけでは、相手は一致しません。そしてそれは傾聴ではないのです!!
とは言え、本物の傾聴をするのはなかなかに難しい。だから簡単なのは
みたいなやり方で、納得感を持てるように、答えをブラッシュアップしていくことです。
ぜひ「納得感が大切」ということを忘れずに関わってください
そして繰り返しになりますが、何よりも大切なのは③で伝えた
・自分で考えてもらう
・自分で動き、その結果から学んでもらう
なので、一応の納得感が得られたら、クライアントにはどんどん行動してもらい、その結果から学び成長してもいましょう。そのためにも勇気づけが大切なのです。
カードコーチング5つの利点
次に、カードを使ってコーチングをするのがなぜオススメなのかをお伝えしましょう。
①簡単で安心なのに実践的
カードゲームってどちらかというと楽しいイメージですよね。だからなんかカード使ってるだけで楽しくなりがちです。クライアントが楽しくなればコーチングは簡単になります。
コーチもカードに質問が書かれていたら、覚えることも減りますし、コーチングが簡単に行えるようになります。コーチがリラックスすると安心感もでますし、カードコーチングの質問は安全で結果が出やすいものが選ばれているはずですから、その点でも安心です。
でも簡単なだけでなく、カードだから、相手に合わせて、質問を抜いたり、足したり、順番を変えたりもできますね。ですから実践的で効果的なコーチングにもなるのです。
②協働関係がつくりやすい
クライアントに主体的になってもらい、コーチはヨコの関係でサポートする。そんな関係が生まれるとコーチングは機能しやすいのですが、カードコーチングはその点でも有効です。
カードに書かれた質問について考えてもらうので、コーチがリードしているという感じが生まれにくいですし、カードの質問を考えてもらうわけですから、コーチに対する抵抗も生まれにくいのです。
質問を見ながら一緒に考える感じが協働作業的なんですね。このことによって、クライアントが依存したり反発したりすることが起こりにくく、クライアントとコーチの関係はより生産的になっていきます
③マインドフルに関われる
コーチは本当にクライアントの話をきいていないことが多いです。でもこれは仕方ないのです。頭の中でこれまでの流れを整理したり、次の展開を考えたりしていると、うっかり聞き漏らすのです。
クライアントの話をきいていない。クライアントの様子の変化に気づいていない。。。。これは結構致命的ですね。
でもカードコーチングなら、質問やプロセスに関して考えることなしで済むので、いつでも安心して、マインドフル(いまここで集中)にいることができるのです。
ベテランコーチもカードを使うと、今ここに集中して話を聴くレベルを上げることができると思いますよ
④相手に問いが残りやすい
毎回適当に質問を作るのではなくて、良い質問は同じ形で繰り返して使って欲しいのです。そうすると
問いがクライアントに残る
のです。クライアントは繰り返し投げかけられた質問を無意識に覚えて、自分に問いかけるようになるのです。
同じ質問。しかもカードなら目でも見ているので、心に刻み込まれやすいのです。
価値ある質問をクライアントの中に残しましょう。そうしたらセッションの後も、クライアントの脳は動き続けます!!
⑤アンラーン問題をクリア
コーチングを指導しているとつくづく感じるのですが、みんなコーチングに余計なこと持ち込みすぎです。
じつは僕たちのコミュニケーションは、無意識の習慣に支配されているのです。なにも考えずに、普段のノリでリアクションしたり、なにかコメントしたり、自分の内側から出てきた質問を投げかける。
これって、普段のコミュニケーションを無意識的にコーチングに持ち込んでしまっているのです。
せっかくコーチング的に価値ある質問をしているのに、そこにコーチの無意識の習慣が紛れ込んできて、コーチングが崩れていく。。。先生はそれを砂浜に書かれた文字が消えていくのを見るような気持ちで眺めています(涙
コーチングを学ぶときにはラーン(学ぶこと)とアンラーン(身についていることを手放すこと)の両方が大切なのです。
でもカードコーチングなら、質問はカードに書かれているものを読み上げるだけなので、あとは「お口チャック」でうまくいきやすいのです。
もちろん僕はあなたの習慣や着想を阻害したいわけではありません。しかしあなたの習慣や着想は、そのほとんどがこれまでのコーチング以外の体験から出てきているものなのです。だからコーチング的にはマイナスになるものも多いのです。
ぜひピュアコーチングワールドで何が起こるかを体験してください。そのためにもコーチングカードは役に立ちます。クリーンルームで実験するようなものなので、結果が出やすいし、自分のコーチングの仮説検証もしやすいはずです!!!
最後に
ツールに頼るのは邪道だ!と思っている人もいるかもしれませんが、ビギナーからベテランまで助けてくれるものですし、何よりもクライアントにとって役立つものなら使ってみて欲しいです。
興味のある人は、まずカードを使ったコーチングセッションを受けてみるのも良いですね!!!
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