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コーチに向いている人

 よくされる質問があるのですが、その一つが「コーチに向いているのってどんな人ですか?」というものです。

 僕はそう質問されたら「コーチになりたいの?」って逆質問をします。そして「なりたい」が答えだったら、

 ・どんなコーチになりたいか
 ・どうしたらそんなコーチになれそうか

 を考えればいいのです。なぜならコーチになるには「コーチになりたい/コーチでありたい」って気持ちが一番だと思うからです。

 もちろん、コーチに必要とされる能力というのもあると思います。けれどもそれらは基本的に開発可能な能力ですから、まずは「なりたいか?」どうかが大切だと思うのです。

 短時間で小器用にコーチング学ぶ人もいますが、しっかりと人の役に立つレベルで自分のものにしようとするなら、それなりに時間もエネルギーもかかるものです。「好きこそものの上手なれ」ではありませんが、好きでないとやっていくのは難しいと思います。

 「向いてるならなろうなかな。。。」もダメではないと思いますけど、コーチは相手に「本当はどうしたいの?」などと問いかける仕事ですから、自分がやりたいことをやってないので一貫性に欠けますね。なので、コーチングをやりながら「コーチングをやりたい理由」を探すことをおすすめします。

 ということで、今回の記事のテーマは、コーチに向いている人についてです。

 とはいえ、すでに言っているように、自分がなりたいコーチになればいいので、当てはまらない項目があっても気にすることはないと思います。必要性を感じたらトレーニングを受けたらいい。それだけのことだと思います。

他人に関心がある

 人にまったく関心がないかたは、そもそもコーチになんてなろうと思わないでしょう。ただコーチになろうと言う人の中にも他人に「強い関心がある人」と「そうでもない人」がいるんですよね。

 他人の話を聴いていて面白い。他人のチャレンジを応援したい。他人の変化成長が嬉しい。

 そんな風に感じる人は、やっぱりコーチに向いてますよね。というかそうじゃないとコーチングがうまくいかなかったり、何よりもコーチングしていて面白くないんじゃないかな。

 とくに専業コーチになると、基本的には人の話をきいているのが仕事になるので、それが苦痛だとしんどいのでお勧めしません。毎日フルタイムで人と話を聴いていても、楽しいと思える人はコーチング向いてるかもしれませんね。

自分の人生を生きている

 僕はコーチング業界にきてまもなく20年ですが、当初驚いたのはコーチには好き勝手生きている人が多い。

 いい意味でわがままなんですよね。わがままって「我がまま=私のまま」ってことですから、単に自分らしいってことなんです。

 横並びが重視される世界では、

 わがまま=よくないこと

 とされますが、基本はわがままに生きていいと思うんですよね。

 ・人の邪魔をしない
 ・必要なときは協力しあう

 をすれば何も問題ないんだと思います。

 多くのクライアントは自分らしい人生を生きることを望んでいたり、自分を押し殺して生きていることに苦しんでいるわけです。そのときにコーチである私たちには「自己一致」していることが求められます。

 自己一致とは、自分の本心を理解し、それに従って生きていることです。

 これは対人支援者の必要条件の一つだと言われることもあります。特にコーチとして人と関わるときには大切なことです。コーチングのゴールの1つはクライアントが「自己一致」することだからです。そのためにはまずコーチが自己一致していることが求められるのです。

 他人の目を気にしすぎて、自分がしたいことをしていない。いつの間にか、自分が何をしたいのかわからなくなってしまった。というような人は、コーチになる前に、まずはコーチングを受けて、自分らしい人生を生きることをお勧めします。

情緒的、共感的である

 感情豊かな人、まずは相手に寄り添うタイプの人。コーチやカウンセラーに向いていると思います。

 なぜなら、上にも書いた通り、コーチングのゴールの一つは自己一致です。自己一致するとは、まだ言葉になっていない身体(無意識、心)の声に気がついて、それとともに生きることです。

 なので、まずは身体や心に関心を向ける、それとともにいようという姿勢が問われるのです。

 相手に気持ちに寄り添うこと。さまざまな感情を受け入れ、つながり、その真意を知ろうとすること。すぐに答えがでなくても焦らないこと。一緒に泣き、一緒に笑えること。

 すぐに相手のことをわかった気にならないことも大切です。相手は自分ではありませんし、これまで会ってきた誰とも違う存在です。わかったと思った時点で、理解はそれ以上進みません。

 わからない。という状態のまま、より理解したいと思い続けられること。そういう資質がある人は、それを活かしてコーチングやカウンセリングを進めていくことができると思います。

率直に向き合う勇気がある

 自分のこと、相手のことを信じているからこそ、相手に強く向き合うことができる。そんな人もコーチに向いています。

 ききにくいことでもズバッと質問する。言いにくいフィードバックも率直にできる。クライアントにおもねることなく、その成長に必要だと思うことを躊躇なくできる。

 僕が駆け出しコーチのころ。先輩から「クライアントに喜ばれたい」と思うことには、良い面と危険な面がある。と教わったことがあります。

 もちろんコーチングも仕事ですから、クライアントに喜ばれるような関わりは大切です。でも「喜ばれたい」と思うことで、

 ・言わなくてもいいことを言う
 ・言った方がいいことを言わない

 ようなことが起こっていないかはチェックするべきである。そんな話でした。これも『嫌われる勇気』ですね。本当に人の役に立とうと思ったら、相手からどう思われるかに縛られていてはいけないのです。

 苦手な人は、ズバッと関わってくれるコーチに質問やフィードバックを受けながら、率直な関わりの良さを体感してください。そして相手に事前に知らせた上で、ズバッと関わる練習をしていきましょう。

冷静、論理的である

 コーチングでは冷静であることも求められます。クライアントが冷静に自分の状況を捉える必要があるとき、それを支えるコーチにも冷静さが必要だからです。

 クライアントの言っていることを尊重しつつも巻き込まれない。そのためコーチには理性的、論理的であることも問われます。クライアントが言っていることでおかしな部分には気がついて、それをフィードバックしていくことも必要なのです。

 そもそもコーチングは、新しい現実を作っていくために行うものですから、

 ・目的とゴールがつながっているか?
 ・取ろうとしている手段は効果的か?
 ・落とし穴はないか?

 などを検討する必要があり、そこで論理力が問われるのです。論理力はトレーニングを受ければ比較的身につきやすいものですから、不足を感じる方はぜひトレーニングを受けることをお勧めします。

 論理力以前に、理解力が不足していると感じるコーチに出会うこともあります。クライアントの言っていることを正確に理解できていない場合は、コーチングになりませんから、その場合はトレーニング必須です。まずは中学校の国語の読解問題など解いてみると良いと思います。案外捉え間違えをしている部分に気づいたりします。これも鍛えれば伸びていく能力ですから安心して取り組んでください。 

動きながら学ぶ人

 学ぶことは良いのですが、コーチには実践も問われます。仮説ができたらすぐに実行すること、行動を通じて真の学びを得ること。そんな実験的なスタイルが好きな人はコーチに向いています。

 なぜならコーチングは実験的なプロセスだからです。コーチングでは人生に関する仮説をつくり、行動を通じて検証する中で、クライアントは学習/成長していくのです。

 人生では手を動かしてみなければわからないことだらけですし、手を動かしてみないことには何も手に入らないのです。クライアントも完全な答えがない中、新しい動きをしていくのです。それを支えるコーチも、暗がりの中で行動していく勇気があり、そのやり方を知っている必要があるのです。

 致命的な事故が起こらない範囲で、どんどん行動し、どんどん失敗しましょう。

失敗はなくフィードバックがあるだけ

失敗はない

 と考えて、どんどん行動結果からフィードバックを得て、成長していきましょう。

変わることを恐れない人

 自説に囚われない。過去に止まらない。不変なものなど存在しないと思って、新しい自分になること、新しい世界に生きることを恐れない人はコーチに向いています。

 自分が信じている自分。自分が信じている世界。それは過去の限られた体験からできたものにすぎません。私たちは自分の、世界のごく一部しか知らないで決めつけをしているのです。

 50年生きようが100年生きようが世界について完全に理解することはありませんし、自分についてすらそうなのです。

 新しい体験をすればそこに新しい自分が発見されます。そこに目を向けて、理解を更新し続けましょう。

 自分の考えに固執していてはその範囲でしかコーチングできません。自分が変わることを恐れない人が、他人が変わることを支援できるのです。

やっぱり愛情

 ここまでコーチが持っているとよい幾つかの要素についてみてきました。他にもあげることができますが、このあたりでやめておきます。列挙された項目を見て「何項目満たしているから何点」「あと1項目で満点」みたいな世界ではないからです。

 人にはみな個性があります。能力もバラバラです。得意不得意があります。コーチもそうです。

 そんな私たちが幸せに生きていくために、必要なのは愛情です。自分を、相手を愛しむことです。大切に思い、幸せを願い、手を差し伸べることです。そして相手の様子を見て、余計なことはしないことです。

 そんな姿勢をもって関わることが一番大切なのだと思います。相手の幸せを願い、そのためにできることを考え、実際にとった行動とその結果から学ぶ。そうやって愛情をもって人と関わり、どうすれば人と一緒に幸せになっていけるのかについて学ぶこと。やはりそれが一番だと思います。

 そして。。。あなたなりのコーチングのスタイルがあるはずです。そしてそれはどんどん発展していくはずです。それを信じて、クライアントと共に成長していけたら良いですね。

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だいじゅ@コーチング脳のつくり方
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