概説『タイムライン・ポジションチェンジ自由自在』(PC編)
タイムライン・ポジションチェンジ自由自在のケースは、9回にわたるとても長いシリーズになりました。全体像が掴みにくいかと思いますので、コーチングがどんな構造で行われたのか概観してみましょう。今回の記事では、どのようにポジションチェンジを使っていったかについて解説してみます。
実際のセッションの動画は↑こちら。ノーカットでセッション動画が公開できるのは、クライアントの厚意によるものです。ぜひ感謝して活用ください。セッションが行われたのは2013年です。僕はコーチング8年目でした。(アドラー心理学、NLP、ブリーフセラピー、エリクソン催眠、PCA、フォーカシング、ゲシュタルト療法、プロセスワークなどのトレーニングを受けていました)
ということでスタートしましたが、コーチは、以下の記事で解説したように、30から40年ほどのタイムラインを歩きながら、キャリアの指針を見つけるセッションをしようと思っていましたし、実際そうしました
僕はタイムラインとポジションチェンジを組み合わせて使うことが殆どですので、このセッションでもさまざまな登場人物とのポジションチェンジを試みました。
この記事では、どのようなポジションをどう使うことで、セッションで何が起こっていったのかを解説していきたいと思います。
まずは全体図です。
椅子はそれぞれの時代の自分を表しています。そしてイラストで描かれているのは、本人以外の登場人物(コーチングおじさんだけは本人)です。クライアント本人以外のポジションとしては「黒木メイサ好きの子」と「恩師」そして「(コーチングおじさんが関わる)新人」の立場に入っています。さらに「黒木メイサ好きの子」と「新人」に関しては、ポジションチェンジした上で、その人のタイムラインを歩いてもらっています。
こんなポジションを①から⑳の順に進んできたわけです。なかなか複雑ですね。では順に解説していきましょう
原点回帰から
①キャリアの指針を得るために、まずは原点(原体験)とも言える学生時代の出来事を思い出し、そこにあった価値観に気づきました。
②次にIT企業に入ったときの自分。クライアントは「オエー」と何度も言っていましたが、自分の価値観とは合わないことがあったわけです
③なので思い切って、大学時代にやれなかった「教育実習」にチャレンジしたわけです。楽しくはあったけど、やりきれなかった思い出として「黒木メイサ好きの女の子」のことが出てきました。なので、本当はどう関わりたかったかを考えてもらった上で
④黒木メイサ好きの女の子にポジションチェンジしてもらいました。そして女の子の立場から「クライアントが(教師として)したかった関わりの意味」に気づいてもらったわけです。そしてその意味をさらにしっかり感じるために
⑤女の子のタイムラインを伸ばし、社会人になるまでにどんなことが起こっていくか体験をしてもらいます。このことによって、教師である自分のちょっとした関わりが、いかに相手の子に生涯にわたる影響を与えるのかをしっかりと体験してもらうことができました。この部分が、このセッションの一つの核になったワークだと思います。このセッションの数年後、クライアントは会社を辞めて、小学校教師へと転職します。そこにはこのワークも影響しているのではないかと思います。
⑥いまいちど、小学校教師としての自分の立場に戻って、女の子の成長と自分の影響を見てもらいました。このシーンでクライアントは自分が大切にしているものに気づきました。すばらしい笑顔でした!
出向先での出来事
⑦つぎに、現在出向している会社(研修会社)のエピソードをきいたら、情熱的な上司のことが出てきました。自分とスタイルは違うが「仲間」であると感じたとクライアントは言います。
⑧そこでその二人の関係を俯瞰してもらいました。そこでクライアントは「この信頼感、そして目的意識をみんなが熱く語れたら」と言いました。そこで僕はそのことと①の学生時代の思いとの関連について考えてもらいました。ついで②「IT企業に入った自分」の自分には何が起こっていたかをきいてみたところ「仲間はいないと思い、斜に構えていた」と言いました。なので
⑨教育実習にいった自分の椅子から、②IT企業に入った自分の椅子を見てもらい、斜に構えている自分に暖かい言葉をかけてもらったわけです。斜に構えていた女の子に声をかけたのと、同じことを過去の自分にしてもらったわけですね。そして
⑩今一度出向先に戻り、よかったことを聴きました。クライアントは「結果を出すことと人を大切にすることが両立できることを知れたこと」を挙げました。そこでぼくは本当はこの部署でもっと何をしたかったかを尋ねます。彼は「みなが希望をもって情熱的に仕事ができる。そんなチームがつくりたかった」という思いを語ります
⑪そのことを一度俯瞰目線で見てもらい客観的にチェックしてもらいました。そしてさらにどんな研修を提供できたらよかったかを尋ねると「なかなか全員には影響を与えられないから、意味があるのかと思ってしまうことがある」と言います。なので
⑫大学時代の恩師にポジションチェンジし、恩師から見たら研修の仕事はどう見えるか?そして全員が変わらないから虚しいという言葉がどうきこえるか?と尋ねてみました。
こんな風にクライアントに役に立つ考え方を教えてくれそうなポジションにパッと入ってもらうことができると、クライアントはそのポジションからヒントを得ながら、どんどんとプロセスを進めていくことができるのです。
そして未来へ
⑬先生の言葉を受けて、再び現在の自分の椅子に戻りました。その上で、どんな未来を作りたかったかを聞いて
⑭タイムラインを未来へと進めていきました。そこで出てきたのが
⑮コーチングおじさんになりたい。コーチングおじさんでありたい。という思いだったのです。コーチングおじさんというのは、在り方として自然にコーチングしてしまう自分のことですね。面談とかの時間にコーチングをするとかではなく、いつでもコーチとして接する自分。そんな自分が理想だと気づいたのです。そしてコーチングおじさんが関わるのが
⑯悩める新人くんです。彼にポジションチェンジをして、彼の目からコーチングおじさんを見て、その関わりを体感します。「肩の荷がおりた」とクライアントは言いました。自分が緩んで視野が広がっていくのを感じるというのです。そして
⑰新人くんのタイムラインを未来へと進みます。そこにはいつでも応援してくれるコーチングおじさんがいて、勇気を与えてくれていました。
⑱いよいよこのセッションも大詰めです。全体を俯瞰してみました。
とクライアントは力強く言いました。大学生からの自分、恩師、黒木メイサ好きの女の子の生涯、仲間である上司、コーチングおじさんとしての自分と新人の未来。それらを俯瞰して、そう結論づけたわけです。
コーチである僕も強く感動しました。約1時間、一緒に素晴らしいドラマをたくさん体験して、クライアントは最後こんな風にまとめてくれたわけですから!
そして
⑲出向先から本社に戻った後の自分の場所に進んでもらいました
とても力強いです。自分の人生。関わった人の人生を踏まえて、力強く語るクライアント。セッション開始時とは別人のようです。
安心したコーチは
⑳俯瞰ポジションで、全体を見ながら、これからどんな行動を取っていくと良さそうか考えてもらいました。すると
クライアントは「すでに自分は理想の自分として生きていた!」ということに気づきました。本当に感動的です。
そしてこのことを受けて、実際にこれから何をしていくかを考えてセッションは終わりとなりました。
いかがだったでしょうか?複雑だったとは思いますが、タイムラインとポジションチェンジを組み合わせるセッションがどんなもので、どんな効果を持つか少しはイメージをもっていただけたのではないでしょうか。
このシリーズは、こんな書き出しで始まりました↓
僕たちはコーチングセッションの中で、この2つを縦横無尽に活用していきたいと考えています。
自分の人生全体に関する理解を深め(タイムライン)、現実の人間関係の中をありたい未来へと進んでいく(ポジションチェンジ)ようサポートすることが僕たちコーチの役割だからです。
コーチのそんな思いを少しでも感じ取ってもらえたなら嬉しいです。ということでおしまいです。改めてクライアントに深く感謝します。最高にカッコいい人生を見せてくれてありがとう!!
おわり
僕たちと人生を変えるコーチングカウンセリングを自分のものにしたい方は
お気持ちありがとうございます。資料入手や実験などに活用して、発信に還元したいと思います。