セックスレスカップルと共有ゾーン
「セックスレスに関する相談を受けたら、どのように関わったら良いのですか?」
と質問されました。
コーチングでは特に、テーマ毎の対応法が存在するわけではなく、いつも同じ原理原則で動いたら良いのです。(むしろ、いつも同じ原理原則で動いた方が良いくらい)
だから、特に『セックスレス』に関係する指針があるわけではないのです。
でも僕に質問したくなる気持ちもわかります。相談に乗るのがちょっと難しそうなテーマですもんね。
例えば相談に来たクライアントが既婚女性だとしましょう
そのままGROWモデル
例えば、GROWモデルの教えの通り、まずはゴールの質問をしてみるとします
みたいなことになったらどうしましょう。ここからGROWモデルの手順通り進めたらうまくいくでしょうか。
ご主人が奥さんのゴールに納得してくれるなら良いですよね。でも納得しない場合は難しそうですね。
奥さんが、ご主人側から「セックスレスを解消する気がないなら離婚だ」などと言われた場合、離婚はおろか、ケースによっては奥さん側に慰謝料の支払い義務が発生する可能性だってあるわけです。そうすると先ほどのゴールには到底到達しない。
これはGROWモデルの使用上の注意点なのですが、
ゴールが独りよがりだと上手く行かない可能性があるのです。
当たり前ですね!人は思い通りにはならないですから。
嫌われる勇気を持ってゴールを描くことは大切です。自分軸でゴールを描くことは大切です。ただそれは自分に関するゴールに限ります。
Win-Win or No Deal
僕がコーチングの中で、こんなことを質問をよくしています。よくやっているので見たことある人も多いと思います。
「相手の椅子にも座ってみてよ。その人は本当にその場所にいたいと思っているかな?」
僕はコーチングで椅子を使うことが多くて、未来の場面なども登場人物の理想の関係性を椅子を使って表現したりしているのです。
今回のケースで言えば、クライアントである奥さんに「子育てパートナー」としての2人の関係+お子さんを椅子で表現してもらうわけです(以下はイメージ)
その上で、夫の椅子にも座ってもらい
「彼の立場で考えた場合、彼は本当にここにいたいかな?」
ときいてみるわけです。答えがNOであれば、
「ご主人はどこにいたいと言うだろう」と言って、ご主人の立場から椅子を再配置してもらった上で、
「なるほど、ご主人にきいたら、こういう関係がいいと言いそうなんだね。それを踏まえて、二人にとって、納得ができそうな関係ってどんなものだろう。もう一度椅子を配置してみよう」
とか問いかけてみるのです。セックスレスのことは一旦置いて、お互いにとって心地よい関係性くらいは想像してみることが、関係を良い方向に変えていく上では大切だと思うのです。(もちろん子どもの椅子にも同様に座ってもらいます)
アドラー心理学の影響を強く受けていると言われる大ベストセラー『7つの習慣』の中に
Win-Winを考える
という原則があります。「自分も勝ち、相手も勝つ。それぞれの当事者が欲しい結果を得ている状態」がWin-Winです。
そしてWin-Win or No Dealとも言われます。Win-Winにならなければ取引しない。妥協するくらいなら白紙に戻すほうが良いとの考えです。
今回のケースでは子どもがいるという設定なので、完全に白紙に戻すのは現実的でないかも知れませんが「セックスする/しない」「離婚する/しない」に関わらず、お互いにとって何が一番良い関係性であるかを考えてみたいのです。
僕たちはこのようにお互いが合意できる方向性を「共有ゾーン」と言っています
夫婦とは言え別人なので、全ての考え方が一緒になることはあり得ません。ただし分かり合える部分、合意できる部分は何らかあるはずで、それ(共有ゾーン)を探していきたいのです。それがWin-Winへの道だと思います
問題解決でないゴール
さらに先ほどの例だと、クライアントが描いたゴールは、クライアント側からの一方的な「問題解決のイメージ」でもありました。
クライアントはとにかくセックスを求められることが嫌だったり、離婚をちらつかされることが嫌だったりするのか、その問題がなくなった状態をゴールとして設定しているのです。
そのため夫側からすると「自分の主張は問題だとされて一切ないことにされてしまった未来」みたいになるので、合意しずらいのです。
コーチのゴールに関する質問が、以下のようなら、同じGROWモデルでいくにしても少し違った展開になるかもしれません
もしこんな風に展開できたなら、セックスレスの問題は別にして、何か家族の皆にとってWin-Winとなるような方向性となる可能性がありますね。
問題の解決ではなく、皆の幸せを考える
これがコーチングの大原則なのです。
そもそも何をイシューとするか
そもそも論ですが「セックスレスの問題で困っていて。。。」と相談されたからと言って「セックスレスの問題」を扱わなくてもいいのです。
セックス/セックスレスはとても大切なテーマだと思います。けれどもとても繊細かつ難しいテーマでもありますね。そしてそれが
セックスしたくない妻VSセックスしたい夫
のどちらかの意見を選ぶみたいな話になると、Win-Winになりにくいので、うまくいきにくいわけです。※もちろん僕は、誰であれ望まないセックスを強いられることには大反対です
だから、何をイシューにするのかを一緒に考えてみるというアプローチもありなのです。 ※イシュー=論点や課題のこと
そもそもセックスレス以外にコーチングで扱うテーマがないかを考えてみるということですね。例えば
コーチングではいろんな問題や課題を扱うことができますが、
どうせ扱うなら、扱う価値のあるものを扱ったほうがいい
と思います。価値のあるものとは、
・扱いやすく
・結果につながりやすく
・願わくば波及効果、相乗効果のありそうなもの
逆に、「扱いにくく」「結果が出にくく」「波及効果、相乗効果がなさそうなもの」を扱っても虚しいですね。
そんな観点もあっても良いと思います。
クライアントの幸せのために
いかがだったでしょうか。僕たちのフォーカスはクライアントに幸せになってもらうことです。だからクライアントの悩みが解消されることも大切ですが、
・クライアントの幸せは何か?
・どうしたらクライアントは幸せになりやすいか?
を考えたいのです。そして、そのためも関係者の人の幸せと、クライアントの幸せの共有ゾーンを探求したいと思うのです。
僕たちと人生を変えるコーチングを探求したい人は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?