「べきまみれの人」に夢を語ってもらう方法は?

 コーチングは「夢を語ってもらってナンボ」の世界です。もちろん違うタイプのコーチングも存在していますけど、基本的には「こうなったら最高だな!!」という夢に向かって進んでいくのがコーチングな訳です。

 だからクライアントが夢を語ってくれないと困っちゃうコーチも多くて、

「夢を語ってもらえない場合はどうしたらいいでしょう」 
「どうしたら大きな夢を語ってもらえるんでしょうか」

 みたいな質問を受けることも多いです。確かに夢を語ってもらえるとコーチングは楽ではありますね。なのでゴールを描くための基本的なアプローチは↓を参考にどうぞ

 別にワクワクするゴールとかいらないよ、って話は↓とかを読んでみてください。

 今日は「べきまみれの人に夢を語ってもらうにはどうしたらいいですか?」という質問に回答したいと思います。

べきまみれ

 すごい表現ですね。べきまみれ。

〜すべき
〜すべきでない
◯◯が正しい
××は間違ってる

 みたいなことをよく言う人のことでしょうか。

 まず第一に考えてみると面白いことは、相手のことを「べきまみれ」と呼ぶことで①相手と仲良くなれたり②良いことが起こったりしそうか、ということです。

 たぶんどっちもNOですね。もちろんこの質問をくれた人は、相手に対して「べきまみれさん!」などと呼びかけたりはしないと思います。ただ、自分が思ってることって、案外相手に感じ取られたりするものですよね。

 では、どうしたらいいか。呼び名を変えましょう。相手と仲良くなれる呼び名を考えます。基本は「相手が大切にしていること」「相手のもっている能力」を考えてみることですね。そうやって考えてみると

過去の体験から得た学びを大切にしている人
問題を起こさないを大切にしている人
同じことを守り続けることができる人
社会のことを考えることができる人

 みたいな特徴がありそうかな?※ちなみに「社会のことを考えることができる」というのは、「◯◯すべき」という考えは「問題を起こさないため」「迷惑をかけないため」「うまくやるため」みたいに対人関係とか社会秩序と関連することも多いからです。

 こうやってみてみると、

伝統を重んじる
平穏無事を願う
社会を大切にする

 そんな人物像が見えてきますね。こうやってみた方が、自分も相手のことが好きになれるし、尊敬できる。相手を変えようとも思わなくなる。そして、相手もまたあなたのことを好きになってくれる可能性が高いと思います。

相手に合わせたアプローチ

 そして、相手の特徴を捉えたら、自ずとアプローチ法も明らかになってくるのではないでしょうか。

・あなたが大切にしたいことは?それは何から学んだ?
・他に大切にしたいことは?
・社会がどうなることは避けたい?それはどうして?
・逆に、どんな社会になったらいいと思う?
・そのために、もっとどんな自分でありたい?

 とかの質問を繋げていけば、それなりにうまくいきそうじゃないですかね。

 過去や伝統を大切にする人なら、過去の出来事から指針を得てから(マッチング)、未来を考えればいい(リーディング)のです。

 問題を起こさないことに長けているなら、どんな問題を起こしたくないかをきいてから(マッチング)、逆にどんな未来になればいいかに話を進めればいい(リーディング)。

 社会に対して関心をもっているなら、どんな社会になったらよいと思うかをきいてから(マッチング)、自分はどうなりたいかをきいてみればいい(リーディング)。

 相手の特徴に合わせて(マッチング)から、コーチングで知りたいことに話をすすめる(リーディング)という方針でいけばいいわけですね

夢なんか語らなくてもいい

 そもそも夢なんか語らなくてもいいのです。その「べきまみれ」と言われている人も、そのスタイルで生きてきて、手に入れたものもあるし、ちゃんと避けてきたこともあるわけです。

 別に今どうしても夢を語らなくてもいい。これまで通り自分のスタイルで生きていけばいいのです。

 僕たちがそういうスタンスでいたときに、相手から

 「でもちょっと、困ってることがある」とか
 「これでいいのかなと思わないでもない」とか

 言ってくるときがあるのです。人間ってちょっと天邪鬼なところもあって

 「夢を語るべき」と言われると反発したくなるし、「夢なんか語らなくてもいいじゃん」と言われると、語りたくなることもあるわけです。

 「タバコやめたほうがいい」と言われると反発するけど、「好きなだけ吸えばいいじゃん。あなたの人生なんだから」って言われると「まぁ健康のことも気にならないではないんだよね」みたいになることがあるのと同じですね。

 変えようとするな。理解しようとせよ

カール・ロジャーズ

 という言葉がありますが、「変えようとするな、そのままで良いとせよ」の指針でいくと、相手が自らのタイミングで変わっていくのかもしれません。

 僕たちは「でもちょっと、困ってることがある」とか「これでいいのかなと思わないでもない」とか言われた時に、

 「そうなの?どういうこと?」とか
 「何に困ってるの?」からの「それがどうなったらいいんだろう?」

 みたいに話を進めればいいのではないでしょうか。

あなたがクライアントである

 もしあなたが「いや、相手に夢を語らせないといけないんだ!」「なんとしても夢を語らせたい!!」と言うなら(言わないと思いますが)、

 あなたは今、コーチではなくクライアントです

 そのことを自覚して欲しいのです。

 「なんとしても子どもを学校に行かせないといけない!」と思っている親は子どものコーチではなく、自分自身がクライアントであること(コーチングやカウンセリングを受けた方がいいこと)を自覚したほうが良いのです。

 それと同じことで、相手に何かを強いたい気持ちになっているときは、一旦自分がコーチングを受ける側になってみることをお勧めします。

 夢を語らせようとする自分の目的はなんだろう?相手の立場からそれはどう見えるだろう?相手と自分が合意する共通の目標ってなんだろう?そこに向かってどんなコミュニケーションをとったらいいだろう?

 そんな風に考えみた上で、相手とのコミュニケーションを見直してみるとよいのではないでしょうか

あなたが夢を語ろう

 話を戻しましょう。相手に夢を語って欲しい場合、コーチが先に夢を語るのも選択肢の一つです。

 コーチが自己開示しないと、クライアントは自分だけが語ることになるんですよね。

 コーチが夢を語るから、クライアントも夢を語りやすくなる。コーチが自分の悩みも口にできるから、クライアントも悩みを口にしやすくなる。

 ぜひ、必要を感じたら自己開示しましょう。相手が信頼感や安心感を感じて語りやすくなることもありますし、「こんな感じで話せばいいのか」という参考になるので話しやすくなるという効果もあるかもしれません。

 とくに「べき」の感覚が強い人の場合、正しくやりたいと思う傾向があるのかもしれませんね。その場合は、見本や参考があると動きやすいと思いますので、あなたが語るのもいいし、他の人の夢の例を参考として伝えるのもありかもしれません。

語るべき理由を説明する

 相手が「べき」が好きなら、夢を語るべき理由をきかせてあげると良いですね。

 夢を語ることで誰にどんないいことがあるのか
 夢を語らないことで起こる残念なことは何か
 
 そう言ったことをきちんと説明すれば、納得して語ってくれるかもしれません。「べき」を大切にしている人は、理屈を大切にしているとも言えますから、納得してもらうために、理由を説明するのはいいかも知れません。

不安を取り除く

 「べき」の背景には不安があります。未来に起こるかもしれない問題を避けるために「べき」で規制をかけてコントロールしようとしているのです。人から後ろ指を指されないために「べき」で自分を律している人もいるでしょう。

 だから

 「何も問題が起きないとしたら、どんなことがしてみたいか」
 「好きなことをやった方がうまくいくとしたら、何をするだろう」
 「皆が理解協力してくれるなら、どんな人生を生きたいか」

 などと、不安を取り除いた上で、想像をしてもらうというのも一つのやり方です。思考実験に付き合ってもらうつもりで提案し、一緒に想像してみると、こんなやり方でも何か出てくることもあります。不思議ですね

 もちろん物理的にリラックスしてもらうことも効果があります。伸びをしたり、深呼吸したり、明るさを変えたり、お香を焚いたり、好きな景色を見たり(想像してもらったり)。。。。

 そんなことでも気持ちが穏やかになったり、広がったりして、未来のイメージが湧いてくることもあります。

 なんにせよ、相手にとってやりやすい環境をつくろうというコンセプトは大切ですね

来世はどんな人生を生きたい?

 もし生まれかわりがあるとしたら、来世ではどんな人生を生きてみたい?

 そんな質問が効果することもあります。これは「べき」が強い人に限らずですが、人はどこか違う人生に憧れる側面もあるのです。だから今世で変わる勇気がなくても、来世なら◯◯な人生を生きてみたい!みたいになることもあります。

 もうすこし強く迫るなら

 来世は全然違う生き方をするとしたら、どんなものがいい?
 来世は人間以外に生まれ変わるとしたら、何がいい?どうして?

 とかね。もしこんな質問について考えてくれそうなら、これを起点にして、「人生で大切にしたいこと」「自分の可能性」「人生の喜び」について考えることもできますね。

 コーチングは自由なものです。ぜひ僕たちコーチが思考の羽を広げて、自由に飛び回りましょう

終わりに

 夢を語ってもらうことは手段に過ぎません。だからこだわりすぎるのはやめましょう。夢を語らずとも幸せに生きていく方法を探索しましょう。

 ・価値観を大切に生きる
 ・日々改善を積み重ねる
 ・貢献できることを探す
 ・いい状態を大切にする
 ・後悔のない毎日を送る

 いろんなやり方がありますね。視野広く、目の前の人と一緒に幸せに生きる道を探しましょう

僕たちとコーチングを極めたいと思う方はこちらへ




いいなと思ったら応援しよう!

だいじゅ@コーチング脳のつくり方
お気持ちありがとうございます。資料入手や実験などに活用して、発信に還元したいと思います。