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CBC㊲「電車に乗れない私」が受けた3つのレッスン(その1)

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 今年の『theコーチがするカウンセリング(CBC)』って感じのセッションについて、クライアントから公開許可をいただけたのでご紹介します。Mちゃんに感謝!!では早速

Here we go!

 「いろいろ辛いのでカウンセリングを受けたい」と言うスクール卒業生のMちゃん。渋谷の貸し会議室を借りて、そこに来てもらいました。その日は夕方から結構な雪になるという予報でした。とても寒い。。。

 雑居ビルの7階にたどり着くと、先についていた彼女は部屋に入らずに、寒い階段に腰掛けていました。普段明るい彼女ですが、表情から緊張感が伝わってきます。

部屋に入ると

「何を話そうか考えてきたけど、まとまってなくて」と彼女はいいます。ノートにいろいろ書いてきてきたというので一緒に見てみました。本当にいろいろ書いてあります。

 見ながらきいてみました。

CO「とりあえず何を相談したいか教えてよ」
CL「一番相談したいのは電車に乗れないことです」
CO「ん?乗ってきたでしょ?(笑)」
CL「そうなんだけど(笑)、今日も不安で」
CO「どういうこと?」
CL「雪の予報だから、帰りの電車が混むんじゃないかと心配」
CO「そういうことね」

 混んでない電車なら乗れなくもないけれど、混んでくると途端に不安からパニックになってしまうというのです。そしてそれを考えると電車に乗ることができず、普段の生活に相当不便を感じていると言います。

CL「それでパニックになると、もう狂いたいと思ってしまうくらいで」
CO「狂いたい?どういうことなの??」
CL「あまりにも辛くて、狂ってしまえれば、意識がなくなって楽になるんじゃないかって」
CO「そういうことあ。。。で、それをなんとかしたい?」
CL「はい」
CO「了解。それは最後におまけでなんとかするから別の悩みも聞かせて」
CL「なんとかなるんですか!!!」
CO「なるよ。試しに一緒に電車乗ってみる?俺と一緒に行けばなんとかなるから(笑)」
CL「だって最近はエレベーターもある程度人が乗っていると怖いし、美容室で髪洗ってもらうとき、顔をガーゼかけられる圧迫感でもちょっとパニックになりそう、ってなるのに。。」
CO「うん。そういうことはあるよね。だけど大丈夫よ。今日全部良くなるかは分からないけど、『こうすればうまく行きそう』ってのは何らか見つかるから。安心して」

 早速過激なスタートですね。パニック障害で悩んでいる方、ここまで読んで不愉快に感じたらすいません。決して軽視しているわけではないんです。

「(パニックは)おまけでなんとかする」「一緒に行けばなんとかなる」「大丈夫よ」

 ほんまかいな!という感じですよね。別に僕も百発百中で治るとか思ってません。第一、パニック障害を治すのはお医者さんや心理士さんの仕事です。場合によっては薬物なども使いながら、カウンセリングをして、よくなるまで数ヶ月とか、年単位でかかる場合もあるかと思います。

 僕がやるのは、それではありません。コーチとしての関わりです。

 彼女が一人では思いつかなかった「電車のうまい乗り方」もしくは「電車以外の移動手段(目的を実現する方法)」「自分をリラックスさせる方法」「パニックをやり過ごす方法」「自分を楽しませる方法」「周りのリソースの活用方法」「克服手段の発見」などを探していくのを手伝うわけです。

 彼女が生きやすくなるなら、何でもいいのです。彼女が自分の人生を生きる道を一緒に探したいのです。

 病を見るのはお医者さん。人を見るのがコーチなのです。

 僕はコーチとして延べ2万ケースほどの相談を扱ってきた経験から、このクライアントが今日あたらしい発見をしたり、変化をすることは分かっています。

 その上で僕は、パニック障害にフォーカスしたくなかったのです。不安やパニックにフォーカスして、それをなんとかしようとするのは、問題設定の筋としてあまり良くないと思っているのです。パニックに着目するとかえってパニックになりやすい。だから、他のことに意識を向けて「あれ?なんだかいけそうな気がする!」みたいに思ってもらいながら、乗り越えてもらえていってもらいたい、そう考えるわけです。

※問題設定に関しては以下の記事が参考になります。解決が難しいものを「問題」として設定してしまうと、解けなくなります。もっと簡単なものを「問題」だとすることができるなら、そっちのほうがいいのです。何を問題とするかは方便にすぎないのです

Mちゃんにヒアリングする様子

CO「ま、電車はなんとかなるから、他の悩みも教えてよ。あとは?」
CL「パニックの原因ではないかと思ってるんだけど」
CO「うん」
CL「お父さんに布団蒸しにされてたことがあって」
CO「布団蒸し???」
CL「そう。布団に巻かれて。。。押しつぶされる。。。子どもの頃。やめてっていってもやめてくれなかった。それが怖くて」
CO「そっか。なんだろう。それ。。。。お父さんにとっては、何だったんだろう
CL「わかんない。。。」
CO「儀式的な何か?」
CL「うーん。違うと思うけど。。分からない」

「儀式的な何か?」という質問は、以前懇親会かどこかで、彼女のお父さん(故人)が宗教家だったときいたことがあったからです。

CO「なるほど。オッケー。それもなんとかしましょう。他には?」
CL「え?。。。他だと。。。。お父さん、自殺したんです。何年も前に。海に飛び込んで。。最初知らなくて。。。お父さんと連絡とれないと思ってたら突然遺書みたいなのが送られて来て。警察に連絡したんですけど、見つからず。。。それから2年かかって警察から連絡がきました」
CO「どうやって見つかったの?」
CL「底引網にかかって。。。」
CO「あら。。漁師さんも大変でした。。。」
CL「損傷状態ひどかったみたいですけど。。。DNA鑑定したらお父さんだって分かって。すでに焼かれてた骨を受け取って。。。散骨しようと思ったのですけど、まだできてないです。なんか海で苦しんだんじゃないかと思うと、また海に返すのも。。。」

 ここにも彼女の『未完了』がありますね。ちょっとどんなご事情かわかりませんが、お墓に入れるような状況ではなかったのかな。宗教家ということなので。ただ散骨がしにくいと言いながら、他の手段も取らないでそのままなのは、彼女の中に何か引っ掛かりがあると僕は思いました。

 考えてみれば当然です。お父さんは理由もよく分からず、自殺。まして海の中ですから、ご遺体の損傷はひどい(というか骨に近い状態だと思います)。それらの心理的な処理はなかなかに大変なことだと思います。だから埋葬にせよ散骨にせよ、プロセスをすすめにくい

 だから僕は

CO「わかりました。じゃあお骨のことも、なんとかしましょう。あとは?」
CL「まだ?」
CO「だって色々あるんでしょ。全部扱えないかもしれないけど、何をどの順番で扱うと良さそうかは、考えたいから」
CL「そっか。。なるほど。。。。あとは主人の鬱です。。。」

 具体的な話を聴くと、ご主人は仕事関係で追い込まれて鬱になり、何度か本当に危ない時期があったと。その頃は、ご主人が死ぬのではないかと心配で、毎日走って家に帰っていたと言います。何年もたった今でも、まだ調子がよいとは言えず、ネガティヴなことを言ったりするので、それにどう関わったらいいか難しいとのことでした。

CO「なるほど分かりました。ところで、Mちゃんは将来どんなコーチになりたいの?」
CL「だいじゅさんがこの前に、クラスの公開コーチングでやっていたポジションチェンジみたいなセッションができるコーチになりたいです」
CO「なるほど!なかなかのスーパーコーチだね(笑)」
CL「。。。。(笑)」
CO「いつまでになりたい?」
CL「怒られそうですが、3年で!(笑)」
CO「いいじゃん!!やってよ!!じゃあそれに向けてコーチングしましょう!!」
CL「え、あ、はい。お願いします」


 このとき僕に妙案が湧きました。貸し会議室を出るまで残り100分。全部行けそうです(色々なテーマがありそうなので、最初から2時間はかかると予測して部屋を借りていました)。

 早速、僕は椅子を並べ始めました。タイムライン上の4つのエピソードに、それぞれ2人ずつ登場人物がいるイメージです。

タイムラインと椅子の配置

 僕は、古いもの(左側)から順番に
「これが布団蒸し事件のときの、あなたとお父さんね〜」
「これが亡くなる前、最後に会った時のお父さんとあなたね〜」
「これが現在の、あなたとご主人〜」
「これが3年後の、スーパーコーチのあなたとクライアントさんね〜」

と言いながら並べて行きました。

 そして

CO「じゃあ、まずは3年後のスーパーコーチシートに座ってみよう!」
CL「あ。。。はい」
CO「さぁ。隣に心から応援したいと思っているクライアントさんが座ってるよ。。。あなたの隣に座っているのは誰かな。。。」
CL「。。。。あぁAさんです」
CO「良いね。。。Aさん相手に、どんなコーチングをしているかな。。。」
CL「あああ。。」

3年後の未来の様子

 Mちゃんは唐突に始まったコーチングセッション、しかも未来のシーンにもついてきてくれます。コーチングが大好きな彼女は、自分のクライアントを想像して笑顔になりました。

CO「うん。。。言葉にしなくていいから、Aさんがどんなこと言ってて、それに対してどんな風に関わっているのか、しっかりイメージするよ。。。このときの自分のエネルギーを感じて。。。」
CL「。。。。」
CO「ここにあるエネルギーは何色かな」
CL「。。。金色」
CO「いいね!!全身の細胞に酸素を送り込むつもりでしっかり呼吸をして、その金色のエネルギーをしっかり感じよう。。。。そして。。。Aさんのこと。。。あなた。。。。その繋がり。。。。そして外側の世界を。。。。しっかりと感じながら。。。。そこにある金色のエネルギーを。。。。増幅していくよ。。。。もっと濃く」
CL「。。。。。。。。」
CO「そして。。。そのエネルギーがしっかりとあなたのタイムラインに流れ込んでいきます。。。。金色の道。。。海に浮かぶ月の道みたいに。。。この場所と。。。。過去と。。。。。未来を。。。。。金色のエネルギーが。。。繋いでいきます。。。。。」

月の道

 僕は金色のエネルギーというものを使って、3年後のシーンをタイムラインにしっかりと埋め込みたいのです。そしてその影響をタイムライン全体に広げようとしています。CLは心地よさそうにイメージの世界に没頭しています

 これはNLPで言うところのサブモダリティを変化させているのです。3年後の未来を金色に染め抜き、その金色を過去にも、さらに先の未来にも広げていくのです。

 「未来は明るい/くらい」という言葉がありますが、未来は明るくイメージができたほうが、心も希望を感じて動きやすくなります。一般に、未来のイメージは明るい色で描いたほうが良いのです。

 あなたもちょっと想像してみてください。目の前に自分の未来が見えるとしましょう。それが金色に輝いている。そして、そこから現在までは「月の道」のように、金色の道で繋がっている。。。。ね、いい感じでしょ。

 そうして、クライアントの世界に3年後の素晴らしいコーチングのシーンがインストールされたのを感じ取った僕は彼女に言いました

CO「いまから、この未来を実現するための3つのレッスンをしましょう」
CL「。。。レッスン??」
CO「スーパーコーチになるためのプライベートレッスンです(笑)。受けますか?」
CL「(笑)ぜひお願いします!!」

 僕が思いついた「妙案」というのはコレです。彼女が何より実現したいと願っている「コーチとしての未来」。それを実現するための「3つのレッスン」という形で、一緒に問題を克服していこう。そしてその結果としてセッション終了時には「あれ?これなら電車にも乗れるかも。。。」と感じてもらいたい、そんな欲張りプランを思いついたわけです。

 もう一度、僕が置いた椅子のレイアウト図を見てみましょう。

椅子の配置と3つのレッスン

 最初に右端の3年後をイメージしてもらって、それを金色のエネルギーで染め抜きましたね。そしてそこから現在(左側)に向かって、金色のエネルギーを流し込んで「月の道」をつくったのです。

 そのエネルギーの影響を使いながら、これから現在の「ご主人の問題」過去の「お父さんとの最後」そして子ども時代の「布団蒸し問題」を、スーパーコーチになるためのレッスンとして、一緒に解いて行こうとしているのです。

CO「では最初のレッスンは、ご主人との関係です
CL「。。。そう言うことか。。。」
CO「そう言うことです(笑)。では、ご主人の隣の席に座って。。。。」
CL「はい」
CO「あなたが、鬱っぽい状態で苦しんでるご主人に、普段かけてる言葉を言ってみようか。。。」
CL「。。。。どうして!!!なんでいつもそんなふうに考えるの!!!そんな風に言ってるから、こうなってるんじゃない??」
CO「なるほど。他には、どんなパターンがある?」
CL「。。。。辛いよね。。。。苦しいよね。。。。どうしたらいいんだろうね。。。。」
CO「他には?」
CL「。。。。大丈夫だよ。。。。私がいるから。。。。何があっても。。。」

10

 このように、ご主人への関わりの「いくつかのパターン」を実演してもらうことからレッスン1が始まりました。

 この後、レッスンはどんな風に展開していくのか、そして3つのレッスンを経てMちゃんはどう変わるのか。彼女は最後電車に乗れるのか、それとも。。。。。

 次回以降をご期待ください。これは僕の2024年を代表するセッションの1つでした。


僕たちと一緒にスーパーコーチへの道を進みたいあなたは


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だいじゅ@コーチング脳のつくり方
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