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どんなテーマの相談でも怖くない①

 コーチのもとには様々なテーマが持ち込まれます。どんなテーマが来てもしっかり対応できるようになるためには

 ・基本を押さえる
 ・ある程度のケースを経験して、ケースごとのポイント理解する

 が大切なんですが、ある程度のケースを経験するところまでが大変なんですよね。

 ということで、このシリーズでは、コーチングをしていると出会う「いろいろなテーマ」の捌き方を紹介していきます。僕が以前にクラスの中で数十件のテーマに関して解説したものをベースに、補足をいれました。

 これからコーチング頑張っていきたいコーチたちの参考になればと思います。ぜひ活用してください

ヴィジョンの創造がしたい

「ヴィジョンをつくりたい」「ビジョンが欲しい」などと言われたら、

①何に関するビジョンが欲しいのか
②どうして(なんのために)ビジョンが欲しいのか
を確認してみるとよいかもしれません

 ②の質問は「そのビジョンが手に入ると何が変わるの?」とか「何を期待してそのビジョンが欲しいと言っているの」の意味ですね。

 実はビジョン形成も一種の手段であって、ビジョンを描くことで「モチベーションを上げたい」「チームが一丸となるとよい」など、得たい目的があるわけです。その目的を満たすような形でビジョンを描くことが大切ですし、その目的が満たせるならビジョン以外の手段でもいい可能性もあるわけです。※この視点をもっておかないと、必ずしもビジョンをつくる必要がないのに、ビジョンづくりで苦労するケースもあります。とくにビジョンを描くのが苦手なクライアントの場合は別の方法で代替できないか検討してみてください


 そして、実際にビジョンを描いてみようと思ったら、簡単なのは過去のエピソードからエッセンスを引き出す方法です。

・充実感や幸福感を感じた体験
・ハイパフォーマンスを発揮した体験
・尊敬する人、憧れの人との体験

 などを具体的に思い出してもらい、そのエピソードから「人生で大切にしたいこと(エッセンス)」は何かを考えていくのです。

 そしてそれらのエッセンスが実現している未来を自由に思い描くのです。実践していく上では、こちらの記事も参考になると思います。

 ビジョンは絵で描いてみたり、物をつかって表現してみるのも面白いです。「宝地図」や「ビジョンボード」などのキーワードで画像検索してみると、コラージュで作られたビジョンを見ることができると思いますので参考にしてください。


 ヴィジョンができたら、ヴィジョンだけで満足したらもったいないです。そこからもっと短期的な目標を作って、実際にアクションを起こすことが大切です。

モチベーションをあげたい

①どんなシチュエーションでモチベーションを上げたいのか
②モチベーションを上げることで何を手に入れたいのか

を確認してみるとよいですね。人生全般にモチベーションを上げるのは難しいので、モチベーションを上げたいシチュエーションを特定するのが大切です。

「特定」ですから「仕事でモチベーションをあげたい」では特定度合いが低いわけです。「資料づくりのモチベーションを上げたい」くらいは特定してみると、

 ・いつ
 ・どこで
 ・だれと
 ・どのように
 ・なんのために

 資料づくりできたらモチベーションがあがりそうかなど、考えられるようになるわけです。コーチングをうまくやるコツは個別具体のケースを扱うことなのです。

 もちろん「そのシチュエーションで何が起こったらいい?」など未来の理想をきいてもいいし、過去にヒントになりそうな出来事があるなら「何があったらそのときモチベーション湧いたの?」って過去の中からやる気の素になる要素を引き出すこともできます。

 遠い未来のことを考えて、現在やっていることがそこと繋がるとモチベーションが湧くこともありますし、プライベートでやりたいことや欲しい物と結びつけても良い訳です。

 多くの場合は、楽しく集中して仕事ができればいいのでしょうから、そのために何ができるかを一緒に考えてみてください

 状態を変えるためにはSPACEモデルも有効です。以下の記事などを参考にどうぞ


仕事の成果を認められたい

 コーチは「別に認められなくてもいいじゃん!」って思えることも大切です。誰に認められようが、認められなかろうが、自分がやりたいと思うことをやり、それで貢献できればいいのです。

 『嫌われる勇気』ではありませんが、誰かに認められるために動かなくてもいいのです。

 でもクライアントが「認められたい」と言うなら、協力することもできます。

 誰に認められたい?どういう風に認められたいの?何のために認められたいの?何があったからもっと認められたいと思ったの?

 などを確認してあげましょう。そしてゴールを描いてみましょう。ゴールは単に相手から認められている状態ではなく

 ・そこにはどんな自分がいて、どんな行動をして、どんな結果を出しているか
 ・認めてくれている相手との人間関係はどう変化しているか?それ以外の人との関係もどう変化しているか?

 などを描いてみましょう。そしてそのために何ができるか考えるのです。認められることだけに拘らずに、より望ましいゴールに向かって進めるようにサポートするのです。

 上司や先生、親など相手の立場に立って自分を見てみるのも良いですね。案外認めてくれている場合もあるし、自分のアピールが足りないケースもあります。

 そしてどのようなコミュニケーションをとったら、クライアントが望むフィードバックがもらえるのかを考えてみましょう。

 自分に自信が持ちたいというような話であれば、もっと自分に自信を持たせてくれそうな別の人間関係を持ってみる方向で考えてみるのもありですね。

より自分らしいキャリアにしたい

自分らしいって何ですか?
今のキャリアで自分らしいと思う点はどこ?
どの部分が変われば、より自分らしくなるだろう?

 まずは何のことを言っているのか確認してみると良いかもしれませんね。うまく出てこなかったら、

 ・逆に自分らしくないキャリアってどんなものですか?

 からヒントを得ることもできるかも知れませんし

 ・自分らしいキャリアをつくってる人って誰?どうしてその人らしい?では、あなたらしいって例えばどんなもの?

 みたいなやり方が通用する場合もありますよね。もちろん

 ・あなたのロールモデルになりそうなのは誰?

 がいけるならそれでもいいのです。

 自分らしさがうまく表現できないクライアントなら

「これまで自分らしさを感じたのはいつ?」
「のびのびやれたことを教えて」
「夢中になれたり、没頭したことは?」

 みたいなところからヒントを得るのもいいですね。鉄板ですが

「何でもできる自信があるなら何をしたい?」
「みんなが理解応援してくれるなら何をしたい?」

 もきいてみる価値がある質問です。

 もう一つ重要な点は、自分らしいキャリアは仕事だけを考えても出てこないかも知れないということです。

 どんな人生を生きたいか?
 誰と、どんなライフスタイルで生きていきたいか?

 みたいなことを考えた時に、自分らしい仕事の仕方や自分らしいキャリアが見えることもありますね。キャリアもプライベートも両方大切です。ぜひどちらも手にいれるコーチングをしてあげてください。

タイムマネジメントをしたい

 タイムマネジメントは手段です。手段よりも先に目的を押さえるのがコーチングの基本です。

 クライアントの目的は明確ですか?
 具体的なゴールは決まっていますか?
 アクションプランは作られていますか?

 これらが不明確なら、まずはそちらから押さえたほうがいい。

 そして

・アクションのために必要な時間を見積もる
・何を減らしたり、やめたりする必要があるか検討する
  →どのように調整や交渉するかを検討する
・実際にスケジューリングをする
・効率的に時間を使うために何ができるか考える

 みたいに進んでいく訳です。もちろんコーチは何もかもクライアントとする必要はありません。クライアントが支援を必要としている部分だけでいいのです。

 拙著「人生を変える!コーチング脳のつくり方」の110ページからの事例も参考になると思います↓


独立したい

 してもらってください(笑)
 もちろんリスクとかあるんですけど、たった一度の人生ですし、うまくいくかどうかなんてやってみないとわかりません。ただし

 ・何があったから独立したいと思ったの?
 ・独立に期待することは何?何が得たい?

 みたいなことは確認してあげてください。

 「会社の人間関係が嫌になったから独立」「なんか長時間労働で疲れたから独立」「今の会社の未来に可能性を感じないから独立」

 とかだと、必ずしも独立という手段じゃなくてもいいのかも知れません。場合によっては独立するとかえってしんどくなる可能性もあるわけです。配置換えがいい場合、転職がいい場合、休職がいい場合、単に上司と話せばいいかも知れない場合、いろいろあるわけです。

 闇雲に独立させてあげようとするよりも、クライアントが本当に望んでいることが何なのかに、ぜひ関心を向けてください。

 また独立するにしても、どのタイミングが良さそうか、それまでにどんな準備があると良さそうか、想定されるリスクは何か、なども必要に応じて考えてあげてくださいね。

 いろいろ考えるのが難しい人は、とにかく独立路線に乗っかって、

 ・何ができたら最高か
 ・結局何が欲しいのか

 を明らかにしたら、それを実現する手段として良さそうなのは、本当に独立することなのかを考えればいいと言うことです。

ライフワークを見つけたい

 確かに、こんなテーマを持ち込まれることもありますね。とにかく大切なのはクライアントのもっているイメージを明らかにしようとすることです。

◯◯さんにとってライフワークってどんなイメージですか?

 とかでいいんです。ぜひ教えてもらってください。

 あとは鉄板ですが

 ・何があったからライフワークを見つけたいと思ったの?
 ・ライフワークが見つかると何が変わるの?人生どうなりそう?

 とかの質問をしながら、クライアントが何を求めているのかを明らかにしてみると良いですね。実際にライフワークを探すなら

 ・今の仕事は10点満点中で何点くらいライフワーク

 みたいなスケーリングの質問から「何があればもっとライフワークに近づくだろう?」とか「例えば10点満点の仕事ってどんなもの?」みたいに迫っていくこともできますね。これまた定番の

 ・ライフワークを生きてる人は誰?どうしてそう思う?

 とかやって「あなたはどんな仕事ができるといいんだろう?」とかやってもいいですね。過去に色々仕事をしている人なら

 ・どの仕事が一番ライフワークに近かった?

 も何か得られるかも知れません。いつか転職してライフワークを生きる!とかでもいいのですが、副業ライフワークや趣味的ライフワークもありではないでしょうか。

 ライフワークだからこそ、長い時間楽しみたいですよね。だから

 ・生涯関われたら嬉しいことはなに?
 ・時間をかけても学びたいことは何?
 ・ずっと応援し続けられる対象がいるとしたら誰?

 とか考えてみて、いまから少しずつでも、そんなことに関われるのもいいかもしれませんね。


現職での目標設定をしたい

 「目標あるんじゃないんですか?」

 ときいてみてください。ある場合も多いんじゃないかな。ある場合は

 「その目標のどの点が不満なの?」

 と確認してみましょう。現状を確認するのは結構大切です。定番の

 ・何があったから目標設定したほうがいいと思ったの?
 ・目標設定することで何が得られるといい?

 も確認すると良いですね。その上でクライアントが必要としていることに関連してコーチングをしてください。現職での目標設定をするなら

 ・どれくらい先の目標があると良さそうか

 を確認しましょう。

 それが例えば3年後なら、

 ・それよりも先にどうなっていたらいいか

 を可能な限り明らかにする姿勢が大切です。コーチングは基本は未来から逆算して考えるパターンだからです。

 なので例えば「10年後にどんな自分になれてたら最高?」を押さえてから「3年後にどんな状態になっていたら、理想の10年後に繋がるだろう?」と考えたいのです。

 『共有ゾーン』の考え方も大切です。会社の目標や指針と、クライアントのゴールに接点です。それがないと、組織人としては困るだろうからです。

 そう言った意味では、

 ・会社は◯◯さんに何を期待している?他には?
 ・◯◯さんがどうなったらより会社に貢献できる?

 のような質問の答えと、理想の自分の未来とを指針にしながら、

 ・◯年後どのような状態になっていたら良いのだろう

 を一緒に探してみてください。

 短期目標もあった方が動きやすいので、ぜひクライアントが取り組みやすい短期目標をつくるのも手伝ってあげてください。


今回はここまで。このシリーズではたくさんのケースへのアプローチ方法を紹介していきます。基本は同じでも、ケースによって気をつけたいポイントがありますので、ぜひいろんなケースへの取り組み方のイメージをもってください

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だいじゅ@コーチング脳のつくり方
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