折り返し地点から始まる本当の人生
「なんだか最近落ち込んでいて」
先日クラスに見学にきてくれた方に言われました。話を聞くと、40代後半で、仕事面や体力面、そして家族の関係でもさまざまな変化が訪れているとのこと。
確かにしんどくなりますよね。まさにミッドライフ・クライシスです。(日本語だと『中年の危機』になりますが、中年という言葉の語感が一般的にイマイチなので、ミッドライフという英語のままいきたいと思います)
ミッドライフクライシス。なんだか難しそうな言葉ですけど、要するに人生の折り返し地点で感じる不安や混乱のことだと思ったらどうでしょうか。
仕事がこれまでのようにうまくいかない、家族との関係も変化してくる、健康が心配。。。そして「これまでやってきたことって、よかったのかな?」って自問自答する。これが、まさにミッドライフクライシスです。
でも僕は、これを危機と思わず、むしろチャンスである!って思った方が良いのではないかと考えています。 どうしてそう言えるのか。まずはそれについて考えてみましょう
ユングの説
ユングって名前きいたことありますよね。カール・グスタフ・ユング。スイスの精神科医で、心理学の世界に大きな影響を与えた人です。このユングが、ミッドライフクライシスについて、とても面白いことを言ってるんです。
ユングは、人生を太陽の動きに例えました。朝日が昇って、お昼に最高点に達して、そして夕方に沈んでいく。。。人生もこれと同じだと言うんです。
そして、ミッドライフクライシスっていうのは、ちょうどお昼時にあたるんですね。太陽が最高点に達して、これから下降していく。。。そんな時期なんですね。
「下降していくって考えると、やっぱりイメージ良くないな」と思うでしょうか。でも、ユングはそうは考えませんでした。
ユングは言います。
「人生の前半は外の世界に向かっていく時期。でも後半は内なる世界に向かう時期なんだ」
下降っていうのは、内側に向かっていくってことなんですね。
つまり、若い頃は社会的な成功や地位を求めて頑張ったりするわけです。社会の枠組みのなかで、期待に応えたり結果を出すためにチャレンジする。でも、人生の折り返し地点を過ぎたら、今度は自分の内面を見つめる時期になるのです。自分の価値観、自分の考え方で生きていく時期に入っていくのです。
これって、とても大切なことですよね。私たちは、ついつい外の世界のことばかり気にして生きてきたわけです。でも、本当の自分に出会うには、内なる世界に目を向けることも大切なわけです。自分の内側に指針をみつけて、それに従って生きていくのです。
ユングは、このミッドライフクライシスの時期を「個性化」のプロセスの始まりだと考えました。要するに「本当の自分になっていく」ということです。
・今まで気づかなかった自分の新しい一面に出会う
・若い頃は認めたくなかった自分の側面を受け入れる
・社会の期待に応えるでなく、自分の内なる声に従うようになる
まさに新しい人生、本当の自分の人生が始まるのが人生の正午=ミッドライフなのです。
でもそのプロセスは簡単じゃないです。だって今まで築いてきたものを手放さなきゃいけないかもしれないからです。それってやっぱり怖いことですよね。
だけど、とユングは言います
「この危機を乗り越えることで、人は本当の意味で大人になれるんだ」
ミッドライフクライシスは、本当の意味での成長のチャンスなんです。外へ外へと世界に向かって、どんどんと昇っているときには気づかなかった「自分の可能性」に出会えるかもしれない。新しい人生の目的を見つけられるかもしれないのです。
人生の折り返し地点は、単なる折り返しじゃない。新しい始まりなんです。
だから、もし人生の折り返し地点にいるなら、恐れずに、新しい自分との出会いを楽しみにするのが良いと思います。きっと、素晴らしい発見が待っているはずです。
本当の人生への道
ではミッドライフクライシスを乗り越えて、新しい人生を始めるためのポイントについて考えましょう。実は人生の折り返し地点では、コーチングがとても役に立ちます。
①自分を見つめ直す
まず大切なのは、自分をしっかりと見つめ直すことです。いろんな質問を自分に投げかけてみましょう
いま、本当に大切にしたいものって何だろう?
後悔してることって何だろう?本当はやりたかったことって何だろう?
今からそれをしたらどうなるだろう?
本当に勇気があったら、自分は何を選択するだろう?
10年後、20年後の自分はどんな人生を送ってたいんだろう?
人生の後半を生きる上でロールモデルにしたいのは誰だろう?
後悔しない生き方って何だろう?
80歳の自分が後悔するとしたら何に対してするんだろう?
人生の最後に「やれてよかった」と思えることはなんだろう?
コーチと一緒にタイムラインを歩きましょう。亡くなった後の世界まで歩いてみるのもいいでしょう。家族や仲間にポジションチェンジするのもいいです。
② 新しいことに挑戦する
人生の折り返し地点以降、別に店じまいするわけじゃありません。そんなことはもっと後で考えればいいのです。
新しい価値観で、新しい人生を生きる。それが大切なのです。
だから新しいことに挑戦しましょう。「えっ、こんな年で?」って思うかもしれません。が、それがいいんです。むしろ私たちには、今までの経験があるから、新しいことにも挑戦できるんです。
仕事でも社会貢献でも趣味でもスポーツでもいいですね。やってみたいと思ったものに取り組むのです。現在50歳なら、あと30年以上楽しめる。楽器を始めたらめちゃくちゃ上手くなることもできますよ。
仕事もそうです。あたらしい分野で新しいスタイルでスタートしてみるのです。若い時にはできなかったことが、これまでの経験も何らか生かしながらできるかもしれません。
人はいくつまででも成長できます。新しいことを始める。新しい場所にでかける。新しいことを勉強する。そうやって死ぬまで成長していけるのです。
もちろん身体的には衰える側面もありますが、精神的には、どんどん成熟していって、人生の最後を最高の自分で迎えられたら最高ですね
ぜひコーチにその時々のチャレンジを勇気づけてもらってください。そしてチャレンジから何が生まれたかを振り返ってみてください
③人間関係を見直す
人生の折り返し地点は、新しい人間関係を作るチャンスでもあります。仕事一筋だった人が地域のボランティア活動に参加して、新しい友達ができたりします。子育てが一段落した夫婦が、一緒に新しい趣味を始めたりすることもありますね。
だから思い切って別の世界に出かけてみて欲しいのです。まずは顔を出すだけでいいんです。そして興味をもったら少し話してみる。これまでの自分は傍に置いて、その世界に純粋に興味をもって楽しんでみる。
あたらしい世界と会うことは、新しい自分と出会うことです。
「新しい人たちに出会ったら、そこでは新しい自分にも出会える」。そう思っていれば、これまでとは違う人生が始まっていくのです。
新しい自分になるためには、本当の意味で自分に自信が持てていることと、他人のことを信頼できる自分でいることが大切です。そのためにも、コーチと一緒に、これまで自分がやってきたことを振り返ったり、人との関係を振り返っておくことも役に立ちます。
④健康を大切にする
健康も忘れないようにしましょう。体力の衰えを感じて落ち込む人もいるかもしれません。でも、それをきっかけに健康的な生活を始める人もたくさんいます。
運動を始める。食事に気をつける。十分な睡眠をとる。。。。こういったことが、人生を豊かにしてくれます。私たちは動物でもありますから、身体を大切に生きること、身体を感じながら生きることはとても大切です。マインドフルネス瞑想やヨガなどもいいですね。
心身は繋がっていますから、身体が整えば、心も良い状態になりやすいです。そうしたときに私たちはもっともっと自分のことも、世界のことも感じ取ることができるようになるのだと思います。
⑤人生の意味を考える
人生の意味について考えることも大切ですね。
「私たちはどこから来て、どこへ行くんだろう」
「何のために生きてるんだろう?」
「人生とは何だろう」
「この命を何に使いたいんだろう」
「自分が亡くなった後に残したいものは何だろう?」
「亡くなった後に、どんな人だったと言われたいだろう?」
ご先祖さまや、子々孫々のことを考えてみるのも良いです。アドラー心理学でいうスピリチュアルタスクです。普段関わっている人たちよりも、もっと大きな集団。生きている人々を超えた存在。そんなものをイメージして、その中で、もう一度自分の存在を捉え直し人生の意味を考えるのです。
答えはすぐには出ないかもしれません。人生が終わるまで出ない可能性も高いです。でも、考え続けることが大切です。そうすることで人生に対する理解が深まっていくのだと思います。
終わりに
「いいですね」と僕はスクール見学に来た人に伝えました。身体のことや家族のこと、そして仕事のことで悩むかもしれない。
でも、悩むことがなかったら、そのまま進んでいってしまうのが人間なのです。人生の折り返し地点は一旦止まる時期なのです。一旦止まったからこそ人生を見直すことができるのです。
自分の価値観で、新しいルールで人生を作っていく時期なのです。そうして精神的にさらに成熟していくのだと思います。だから勇気をもって、舵を切ってください。不安の先には、本当の人生が待っています。
そんなときのベストパートナーがコーチです。ぜひコーチを活用して、新しい人生をスタートしてください。全力で応援しています。
とはいえ僕もなんだかんだ中年なので、一緒に新しい人生に進んでいきたいと思っています。
新しい人生つくる知恵と勇気を僕たちと一緒に手にしましょう