温度について 14
藤林邦夫の3分メッセージ(『生きる楽しみ』1991年版、pp.20-21。)
私の家には、玄関を入ったところと、ベッドルーム、そしてリビングルームと3箇所に、温度計を置いています。
そして、毎日温度を見て、暮らしの参考にするのですが、朝晩、またその都度みておりますと、もう今は何度くらいだということが、分かります。大体は見当を付けたくらいの温度です。
寒さの分岐点は10度くらいです。10度を下回ると、寒さを覚えますし、5度近くなると、かなり厳しく感じます。
逆に、10度を超えると暖かいです。15度くらいからは、暖房が要りません。20度となると、もう暑く感じます。
1番善いのは、17,8度、といった所です。
ところが、面白いことを発見しました。
それは、夏が終わり、秋となり、10度に近くなると、秋風が身に沁みて、寒さを覚えるのですが、その同じ温度でも、冬から春にかけての時期だと、暖かくなったなぁと感謝できるのです。
同じ10度でも、寒さを覚えるのと、暖かさを覚えるのと、その違いは、どこを通り越してきたか?です。
人生も同じです。冬の試練を通った人は、恵みを感じ易いです。厳しい生活を過ごした人ほど、ちょっとしたことでも、喜べるのです。
戦争が終わって、長い間抑留されていた人が、日本へ帰って、最初に味わったご飯と味噌汁に、涙をこぼして、美味しいなぁと、感嘆の声を上げました。空腹を抱え、労働に疲れた身に、日本の味は優しかったのです。
飽食の今日、涙を流すほど、美味しい味を知っているでしょうか。
同じ10度、これを、寒いと採るか、暖かいと感謝出来るか。
聖書は言っています。
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<著者紹介>
藤林邦夫 1935年(昭和10年)生まれ。日本純信聖書学院自主退学、京都福音教会で、35年牧師として従事。ホザナ園園長も務めた。1992年2月26日、56歳で召天。この一連のエッセイは、亡くなる直前に、4年間にわたり、3分間テレフォン・メッセージとして書き溜めたもの。
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