単体テスト(コンポーネントテスト、ユニットテスト)とは?効果的なテスト手法とweb3における適用例を徹底解説
ソフトウェア開発において、単体テスト(コンポーネントテスト、ユニットテスト)は品質保証の要です。特にweb3の分野では、分散型アプリケーションの複雑さから、各コンポーネントの正確な動作を検証することが不可欠です。
本記事では、単体テストの基本概念から、効果的なテスト手法、そしてweb3における適用例について詳しく解説します。
単体テスト(コンポーネントテスト、ユニットテスト)とは?
単体テストの定義と目的
単体テストは、ソフトウェアの個々のモジュールや機能を独立してテストするプロセスです。
コンポーネント、ユニット、モジュール、コードとデータ構造、クラス、データベースモジュールといった単位のソフトウェア構成要素が単体で動作することを確認し、設計通りに機能しているかを検証します。
このテストの目的は、開発初期の段階でバグを発見し修正することで、全体的なシステムの品質を向上させることです。これにより、後の結合テストや総合テストの段階で発生する可能性のある問題を未然に防ぐことができます。コンポーネントテストやユニットテストとも呼ばれます。
また、単体テストのもう一つの目的は、コードの再利用性と保守性を高めることです。各コンポーネントが明確に定義され、独立してテストされることで、コードの変更が他の部分に影響を与えにくくなります。これにより、新機能の追加やバグ修正が容易になり、開発サイクル全体の効率が向上します。また、単体テストは開発者に対して即時のフィードバックを提供するため、コードの品質をリアルタイムで確認しながら進めることができます。
V字モデルにおけるテストの位置付け
ソフトウェアの開発プロセスには様々なものがありますが、ここでは開発工程とテスト工程を対応させた「V字モデル」を例として挙げてご説明します。
V字モデルにおいて、単体テストは実装フェーズの後に位置し、結合テストや総合テストの前に実施されます。
V字モデルは、ソフトウェア開発プロセスを視覚的に表現したもので、各フェーズが進むにつれて具体的なテストが実施される構造を持ちます。単体テストはこのV字モデルの左側の段階、すなわちコーディングが完了した直後に行われます。この段階でのテストは、後の工程でのバグ発生を未然に防ぎ、修正コストを低減する役割を担います。
V字モデルでは、単体テストの後に結合テストが続き、個々のコンポーネントが正しく連携して動作するかを確認します。さらに、その後に総合テストが行われ、全体としてのシステムの機能やパフォーマンスが検証されます。このように、V字モデルにおける各テストフェーズは、前のフェーズで発見された問題を修正しながら進むため、全体的な品質保証のプロセスが効率的かつ効果的に進められるのです。
単体テストで実施される主要テスト
単体テストのフェーズで実施されるテストには、検出したい不具合や目的に応じて様々な種類があります。
本記事では、仕様に沿ってインプットアウトプットの確認を行う「ブラックボックステスト」、ソースコードなどのシステム内部の要素の記述を参照して確認を行う「ホワイトボックステスト」に分けて単体テストにおける一部の主要なテストをご紹介します。
ブラックボックステスト
機能確認テスト
機能確認テストとは、コンポーネントが詳細設計通りに正しく動作するかを検証するテストのことを指します。ユーザーインターフェースや各機能の動作確認を行うため、ユーザーエクスペリエンスの観点からも重要です。
※機能確認テストは単体テスト以降のテストレベルでも実施されます。
リグレッションテスト
コンポーネントに変更が入った際に、同じコンポーネント及び他のコンポーネント、周辺環境に悪影響が出ていないかを検証するテストを指します。
※リグレッションテストは単体テスト以降のテストレベルでも実施されます。
ホワイトボックステスト
制御フローテスト
制御フローテストとは、「命令」「分岐した経路」「条件」のいずれかに注目し、これらがすべて実行されるかを検証するテスト技法のことを指します。制御フローの正確性を確認することで、プログラムが期待通りに動作することを保証します。
データフローテスト
データフローテストとは、ソフトウェアの中で使用されているデータや変数について、「定義」→「使用」→「消滅」のライフサイクルに沿って正しく処理されているかを検証するテスト技法のことを指します。未定義のデータが使用されていないか、使用されていないデータの定義が無いかなどを確認し、データや変数に起因する不具合を未然に防ぐことが可能です。
※これらのテスト2種については、現在は静的テストツールの充実に伴い、手動では実施しない場合も多く見られます。
web3における単体テストの具体例
web3プロダクトへの単体テストの適用方法を、ウォレットをサンプルケースとして解説していきます。ウォレットは、ユーザーが暗号通貨を管理し、取引を行うための重要なツールです。そのため、各機能が正確に動作することは、ユーザーの資産を安全に守るために不可欠です。
ウォレットには送金、受信、残高確認、といった機能がありますが、ここでは、実際に単体テストのレベルで検証できるウォレットの送金機能のテスト項目について詳述します。
例として、下記のような機能が実装されているプログラムの実行結果が正しいかを、開発者が主体となってテストコードを記述し確認を行います。
送金機能のコンポーネントテストの例
送金先のアドレスが正しい形式であること(EVM系、Bitcoin、Solana系、Cosmos系などそれぞれで規格があるのでチェック可能)
ネットワークが正しいこと(Chain違い、テストネットとメインネットの違いなど)
対象Tokenの残高が正しいこと
対象Tokenの対象コントラクトに対するAllowanceが正しいこと
送ろうとしているTokenの数量以上を自分が保有していること
送ろうとしているTokenの数量以上のAllowanceが設定されていること
送金後の送信者と受信者の残高が正しく更新されていること
これらのテストを通じて、コンポーネントレベルでの小さい単位での不具合を早期に検出し、手戻りなく修正を加え高い品質を維持しながら開発を進めることが可能になります。
まとめ
本記事では、単体テストの重要性と主要なテスト手法について解説しました。機能確認テスト、制御フローテスト、データフローテストなどのテスト手法を適切に実施することで、ソフトウェアの品質が大幅に向上し、web3プロジェクトの成功に寄与します。単体テストを体系的に行うことで、バグの早期発見と修正が可能となり、信頼性の高いシステムを提供できます。
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