婚活パーティー【もう少し話がしたい】
その日の休日はたまたま予定が空いていた。
先日、友達AちゃんやBちゃんに久々に会わないかと誘われていたが、都合が合わずに話が流れていたため
私はすかさず、Aちゃんに連絡した。
Aちゃんは予定があり、会えないという。
それならばBちゃんに、と思い連絡した。
だが、Bちゃんは体調不良だという。やはり会えない。
自宅でやりたいこともあったが、全く何もない休日というのもつまらないので、私は婚活パーティーがないか調べた。
まだ予約ができ、時間の都合がよかった婚活パーティーは二つあった。
一つは会場に駐車場がなく、金額が高かった。お洒落な場所でやるらしかった。
もう一つは駐車場がたくさんあり、職場に割と近い場所での開催だった。早期予約特典で女性は無料だという。
職場近くの婚活パーティーならば、上手くいけば仕事帰りにデートが可能かもしれない。
大抵の婚活パーティーは、開催地からほど近い場所に住む方が参加する。
そこで私は、後者の婚活パーティーに予約をした。
不思議なもので、予約をしたあと、婚活パーティーの前と後に行きたい場所ややりたいことができ、その日の予定はあっという間に埋まり、忙しくなった。
本当ならば友達に会いたかったが、まぁ日にちが合わないなら仕方ない。
年内最後になるであろう婚活パーティーに参加し、何かしらに繋がるよう祈るしかない。
余裕をもって会場入りするはずが、なんだかんだでバタバタし、到着は思ったよりもギリギリになった。
婚活パーティーの看板がある場所を見つけ、私はおそるおそる扉を開けた。
会場にはポツリポツリと同世代の女性や男性がいた。
私はそれを見て嫌な予感がしたが、その予感は見事に的中した。
プロフィールカードを記入していても、新たに人が来る気配はなかった。
置いてある名札より人の方が少ない。
婚活パーティーは当日ドタキャンはよくある話だが、今日はどうやら女性四人、男性四人で行うらしい。もはや合コンのような小規模さだ。
あまりの参加人数の少なさに、予定より早く婚活パーティーは始まることになったようだった。
ネット予約時に見たスケジュールでは、プロフィールカードを記入する時間はもっとあったはずだが、私が書き終わる前にスタートしてしまった。
まずは、Cさんと話すことになった。
私より7歳年上だった。
見た目が文化系でメガネをかけた方で、趣味が海外旅行などらしい。
私と同じく、独身生活を謳歌しているのか多趣味な印象だ。
福祉職と伝えると、「大変ですね。」と言われて私は株が下がった。
先入観や表面だけでそう言われては不快だ。
見た目は真面目そうな方だったが、パーティー中にスマホをイジっていたのも残念だ。
今回の婚活パーティーは自己紹介タイムと雑談が終わるごとに、相手への評価を書いて渡さなければいけない。
①好み
②まずはお友達から
③もう少し話してみたい
④まだよく分からない
の、四項目のいずれかを選ばなければならない。
更に同性参加者が同じ人に対してどう思っているかも分かるという嫌な仕組みだった。
目当ての方がいたら、積極的にアピールすべきなのだろうが
たかが五分くらいしか話さない相手への評価は可もなく不可もないのがほとんどだ。
続いて、Dさん。
私より7歳年上だった。
お洒落な方で、うんちくが長い自分語りの方だった。
悪い人ではないのだろうが、話が長いのが難点だった。
次はEさん。
こちらも7歳年上。
話しやすい方だった。
服装も清潔感があり、お洒落過ぎなくてよかった。
最後にFさん。
こちらも7歳年上。たまたま、全員が7歳年上だった。
だが、友達同士というわけではないらしい。
会場から近場の方が参加すると思いきや、まさかの全員が遠方だった。誤算だ。
こちらの方も話しやすかった。
全員と話し終わった後、もう一度全員と話した。
以前の婚活パーティーはフリートークという時間があり、参加者のうち何人か目当ての人に声をかけ、話しかけなければいけないという時間帯があった。
だが、最近の婚活パーティーはそのフリートークをなくし、全参加者とよりたくさんの時間話せる時間を設けるようになってきている。
私にはそれがありがたかった。
二回目に話しても、全員の評価は変わらなかった。
違和感を感じる人に対しては感じるし、話しやすいと感じる人は話しやすい。
ちなみに男性全員は私に対して「もう少し話がしたい。」と評価をしていたことが分かった。
一回目に話した際に相手から評価をもらうわけだが、男性と女性で①~④の順番が入れ替わっているため、結局は評価が分かったのが全員と話し終わってからだった。
つまり、自分及び同性は対象の人に対してどう思っているかは評価カードで分かるが
異性が自分をどう評価していたかは最終で分かるという、極めていやらしい仕組みだった。
さて、私は気がない人に対しては「④まだよく分からない」と評価したし、話しやすい人に対しては「③もう少し話してみたい」と評価したが
果たして異性の方はどうなのだろうか?
「好み」「まずは友達から」と、誰も評価していないのは今の時点でプラスかマイナスかよく分からなかった。
最終段階になり、誰を選ぶか第三希望まで書きつつ
かつ三人にまで個人的に連絡先を渡せるカードを記入して司会者に渡せる時間になった。
私はEさんとFさんを第一、第二希望に書き、二人にパソコン用メアドを書いて渡そうと思った。
手ぶらでは帰れないと。
だが、CさんとDさんはこの時間帯さえスマホをいじり、やる気のなさをアピールしていたし
誰一人メアドを書いたカードを司会者に渡すことはなかった。
私はメアドを書いた紙を握りつぶした。
私一人やる気になってはダメなのだ。
個人情報を渡すことは諸刃の剣だ。
本名、住まい、職業等が書かれたプロフカードを既に相手に見せているのだし
気のない相手にメアドの情報まで渡すことはない。
司会者は驚き、メアドカードを渡さなくていいのか確認してきたが私は首を振った。
八人中わたし一人やる気になっても意味はないのだ。
成立カップルはわずか一組だった。
参加人数自体が少ないので妥当とも言える。
だが、カップルになった女性でさえ、そそくさと会場から立ち去ろうとしていたレベルだったし
その一組のカップルでさえ、男女で熱量に差があったのかもしれない。
婚活パーティーは一時間半もかからずに終わった。
実にあっさりしたものだった。
これが2023年最後の婚活パーティーだった。
さて、秋~冬にかけて仕事が忙しかった私は、その婚活パーティーを最後に婚活を一回休止し、仕事を優先した。
年始は地震やら空港の事故やらで気が滅入り、婚活気分ではなかったが
今月は誕生日だし、また一つ年を重ねてしまうし、婚活は年を重ねると不利なので
マッチングアプリを再開した。
婚活パーティーは難しい。
例えば20代~30代が参加資格の婚活パーティーは
20代の女性が参加すると男性は大半がそちらにもっていかれる。
20代の頃、そういった婚活パーティーに参加していた頃は
美人な人やかわいい人(20代)に見劣りしてモテなかった。
では、30代~40代限定婚活パーティーに参加すればどうかといえば
若い女性を求める男性の参加率が著しく低下し、今回のような結果になる。
婚活中の30代~40代男性は
20代~30代前半女性を探している方が圧倒的多数だ。
子どもを産めて家事を任せられて、自分の仕事や趣味に理解を示してほしい方が多数だからだ。
私のように、30代後半で子どもをめちゃくちゃほしいわけでもない女性で、仕事にやる気があり、多趣味な方は婚活で相手にされなかった。
更に言えば、欲を言えば婿養子希望なんて論外だった。
では婚活パーティーやマッチングアプリ以外の出会いはどうかといったら
それも期待できなかった。
かつての元彼と復縁したり
男友達や同僚と付き合えたらいいのだろうが
元彼と復縁はできないし
同僚は既婚者で
男友達に対しては特に今のところ何もない。
私は詰んでいる。
だからやる気がなくても藁にもすがる思いで、婚活パーティーに参加するなり、マッチングアプリをやるなりするしかないのだ。
結婚したい気持ちが1でもあるならば。
「花火大会行きたいね。」
マッチングアプリで知り合った某年上の方は、メッセージのやり取り3回目でタメ口になり、花火大会に誘ってきた。
親しくなっていないのにタメ口をされたことや
まだお互いをよく分かっていないのに花火大会という大きなイベントにデートに軽くでも誘われたことに早くも苛ついた。
でも何が縁に繋がるか分からないし、これでやり取りをやめるのは早急すぎると言い聞かせ
内心苛つきながらやり取りを続行した。
だけど心とは正直で
一度違和感を感じると違和感はどんどん大きくなり、嫌悪感が強くなった。
「今までアプリで何人と会ったの?」………いちいち聞かないでほしい。正確なことなんて言えるわけないだろうが。嘘をついたり、表面的な会話も疲れるんだよ。
「アプリでいい人いなかったの?」………いたら今アプリしていないし、あなたとやり取りをしていないということも分からないほど無知なんですか?それを聞いてどうしたいわけ?正直にこちらが答えると思っているわけ?
…アプリを閉じた。
やっぱりダメだ。
マッチングアプリでメッセージのやり取りができた方とメッセージをしても
こんな風に言われることが日常茶飯事で、婚活はひどく疲れる。
会いたい、会ってもいい、と思える人は限りなく少ない。
大抵は多少メッセージのやりとりをしただけで苛立つか、嫌悪感を感じてしまう。
親からの結婚の圧は強い。
私の婚活は今日も険しい。
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