入院97日目:神様ありがとう
土曜日まで仕事だと疲れが残る。
だけど、若い頃のように昼まで寝ていられず、いつもと同じ時間に起きてしまう。
今年、関東の梅雨入りは遅く、6月21日(金)にようやく梅雨入りした。
金曜日は予想外のどしゃぶり、土曜日は晴れだったが、夜から雨が降り出し、今朝は朝からザーザー雨だった。実に梅雨らしい天気だ。
卵焼き、キュウリの浅漬け、ご飯のストックを作った後は
部屋の片付け等をしていたら、あっという間に出発時間になった。
適当に昼ご飯を食べ、家を出る。
今日は髪を染めた。
新しいワンピースを買ったのでそれを着て出掛けたのだが、髪染め中体がだるくて仕方ない。眠い。
お店ではいつも、お母さんの調子を尋ねてくれた。
前向きにリハビリを頑張っていると伝えると「想像がつきます。」と言われた。
母はサザエさんのような人だ。
家でも、外でも。
髪を染めた後はスーパーに寄ろうと思ったが、体のダルさがどうにもとれず、一旦家に戻り、1時間仮眠した後、お母さんの面会に行った。
雨は降ったり止んだりを繰り返していたが、この時は本降りだった。
寝起きでボーッとするし、出掛けるのが億劫だった。
着替えや差し入れのお菓子を持っていく。
時間ピッタリに病室に着くが、お母さんはいなかった。
着替え類を棚にしまっていると背後から「どこの素敵なお嬢さんかと思ったら私の自慢の娘だった。やっほ~♪」と声が聞こえた。
振り返ると、車椅子に乗ったお母さんがいた。
今日は私にしては珍しい、ノースリーブワンピースだった。
「なんか食べる?飲む?羊羹食べな。」
母はどこにいても母だ。
いつも病室にある飲み物やお菓子を私に食べさせようとする。
今日は久しぶりに1時間一緒にいられた。
色々な話を二人でできて嬉しかった。
母のリハビリノートには色々なメモが書かれていて、昨日は神様への感謝が綴られていた。
何故かこの日だけだ。
私「昨日は何かいいことあったの?」
母「うんちが出て、お腹スッキリした!神様、ありがとう!」
笑ってしまった。
リハビリができて感謝もあるだろうが(一時期血圧が高くてリハビリが制限かかったから)、まさかの排便での感謝だった。
でも確かに感謝している。
脊髄梗塞でここまでですんだことは、間違いなく奇跡なのだから。
昨日からピックアップを使ってトイレに行く練習を始めたらしいが、リハビリ制限により体力が落ちているらしい。
その反面、車の運転リハビリがスタートし、車椅子を運転席から助手席に移動できたというから驚いた。左足の運転も上手くいきそうなようだ。
アクセルとブレーキ位置を逆位置にしたり、棒を差し込むことで左足の運転がしやすくなりそうとのこと。夢は膨らむ。
ピックアップでの歩行ができるなら、助手席にピックアップを乗せて、現地で車椅子を借りることも可能だ。
また、お父さんは退院してからお母さんとベッドを選びに行きたいらしいが
(私は「ベッドは退院前に準備じゃないの?」と言った)
お母さんに聞いたらやはり、ベッドだけは退院前にほしいらしい。
布団で寝れなくはないが、ピックアップを使うとなると、やはり高さが合った方がやりやすくはあるだろう。
お母さんは介護ベッド希望だが
要介護1では介護保険が使えないので
通常ベッドに手すりをつけ(手すりは介護保険適用らしい)
要介護度が重くなったら介護ベッドにしたらどうかと提案した。
実際、車椅子利用者もベッドは普通のものを使っている。
逆にお父さんがこだわっているお母さんの鏡台に関しては「もう捨てちゃってもいいかもね。40年以上使ったし、お疲れ様ってことで。」と、執着はそこまでなかった。
実際麻痺足ではスツールもあぶなっかしくて使えないだろう。
また、お母さんはお父さんには今後も継続して働いていてほしいことや(「お父さんと四六時中一緒なんて面倒くさい!ぼけても困るし、働いてぼけ防止してほしい!」)
訪問リハを希望したいことを言っていた。
てっきりリハ特化型デイ希望かと思ったので予想外だった。
お母さん希望では、週二回一時間訪問リハを入れ、入浴は自宅で一人で入れるとのことだったが
点数が大丈夫ならば、私は訪問リハとデイリハを可能な限り入れて、リハに特化した方がいいと伝えた。
今は毎日一日約三時間リハだが、退院してからは体力や筋力が落ちやすいからだ。
自宅でのリハには限界がある。
リハの合間に編みかごを作っているが、案外手が疲れるのと、病室で周りとしゃべって過ごしがちだという。
スタッフの方々だけでなく、同室の方…年上の方とも上手くやれていてよかった。
先日退院した方からは座布団をもらったと見せてくれた。
お母さんのベッドそばには計算用紙があった。
「ぼけ防止に!」ともらったらしい。
次回日本地図を持ってきてほしいと言われた。
都道府県の位置を学ぶらしい。
確かに病院は世界が狭い。
様々な刺激があった方がいいだろう。
病院から出る時もどしゃ降りだったが、心は軽やかだった。
母の存在は偉大だ。
一週間分の買い出しをして、帰ってからすぐに夕飯を作った。
水曜日は振替休日だ。
早く火曜日夜になるといい。
また明日から、不毛な戦いが始まる。
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