![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/106564045/rectangle_large_type_2_5dced6cec3fb911c75be32a9ba909b65.jpeg?width=1200)
私とバセドウ病⑥【新人ハゲ】
バセドウ病だと診断されてから三ヵ月が経った。
処方された三種類の薬を毎朝飲む日々が続いているが
そのかいあって数値はよりよい方に変わっていっているらしい。
先日、薬は一種類減った。
骨折をしたことにより通院がネックだったが
骨がくっついた今は
次回の通院が自力でできるだろう。
問題はひたすらに、髪の毛だ。
後ろ姿からは分からないが
髪をかき分けると相変わらずハゲがある。
左手で頭皮を撫でると
ツルツルとした空き地のような肌があるのに嫌でも気づく。
そう、頭部左側を左手で触ると、である。
私はそれにある疑惑が浮かび上がっていたが
あえて言葉にはしなかった。
毎朝薬をつける母の話では
皮膚科の医師の話では
私のハゲは上部や下部、右側にあったはずだ。
だが
何日頭を触っても
確かに左側に空き地があるのである。
私はついに母に聞いてみることにした。
「ねぇ、頭の様子はどう?」
「だいぶ毛が生えてきたよ。襟足は相変わらず生えないね。まぁここは生えない方がうなじがキレイだからいいけど、新しい方がね。」
「新しい方!?新人ハゲ?」
「そう、新しく新人ハゲができたの。」
「何個!?」
「三個。」
「今は合計で?」
「今は五つかな。二つはだいぶよくなったけど、三つ新しくできたから。」
やはり、私の予感は的中した。
新しくまたハゲができたのだ。左側に。
私が鏡でいちいちチェックできないのをいいことに
いつの間にか新しいものができていた。
二つとも一円玉くらいのサイズらしい。
二つ治って三つ増える。残りは現状維持。
ハゲはまるで人生のようだ。
進んだり戻ったりを繰り返す。