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窓越しの再会
3月いっぱいで退所した利用者の保護者が
書類や集金の関係でやって来た。
保護者だけが来る予定だったが
車にはその利用者が乗っていた。
私は思わず声を上げた。
その利用者が車から降りてきたからだ。
作業をしていたので窓から眺めただけだったが
それでも久々に見たその方が元気そうで嬉しかった。
もう会えないと思っていたのだ。
何人かの職員や利用者が近寄り
また近寄れなくても
私のように窓から眺めた。
変わらない元気そうな姿だが
その方は施設の建物内には入らなかった。
いつもだったら
今までだったら
入るのに
入ったのに
建物内には決して入らなかった。
そして
洋服は変わらないけれど
リュックが変わっていた。
それが切なくもあった。
私の知らない今や元利用者なのだということを
思い知らされた気がした。
近くて遠い。
窓越しの再会に似た距離感を感じた。