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三年ぶり三時間の再会

私が11年続けた仕事を退職した頃
親友は引っ越しが決まった。

人生は酷だと思った。
重なる時は重なると思った。

 
引っ越し先は関東から関西。

今までならば電車で会いに行けたのに
今度は会うなら新幹線で行かないと会えない。

 
それでも退職した私には貯金と退職金、失業保険があり
お金はある程度にはあった。

退職後すぐ働く予定もなかったので旅行がてら親友に会いに行こうと思った時
コロナ感染者が日本でも出だし、遠出は困難になった。

 
退職してから半年くらい経ったまだ転職活動中の頃
一時的に感染者が少なくなり、親友が帰省し
久々に再会した。

 
高校時代からの仲だ。
お互いに他県の大学に行っても毎月のように会っていて
就職しても友達が結婚しても小まめに会っていた。
半年ぶりに会うのは初めてだった。

 
あの時、私はまたすぐに会えるだろうと思っていた。

 
だけど
感染者は増えたり減ったりを繰り返し、会えない日々が続いた。

 
親友はやがて妊娠し
感染を恐れ、里帰り出産は控えた。

妊娠、出産、家事育児に追われ、相変わらずのコロナ禍で感染リスクを考え
親友は家族以外と積極的に会おうとはしなかった。
外出も最低限だったようだ。

  
コロナ禍の中、関東と関西と離れた場所に住んでいるということがこんなにネックになるとは思わなかった。

 
転職し、仕事に慣れていって余裕ができても
お金や時間はあっても
相手を想えばこそ
会うのを我慢しなければならなかった。

 
やがて親友は、再び関東に引っ越してきた。
再び電車で会いに行ける距離になった。

  
だけど
相変わらず感染リスクを恐れていたし、旦那さんも仕事で忙しいらしく
会わずにLINEや電話の日々が続いた。
時々は手紙を送り合ったりもした。

私達は一人一台携帯を持つ時代になっても
時折絵はがきを送ることが好きな者同士だった。

 
私はこの三年間、連絡を取りつつたまに探った。
そろそろ会えるかどうかを、だ。
答えはNOが続き、まぁ小さい子がいるし、仕方ないと諦めてもいたが
ようやく今年の春に今度会おうという言葉が向こうから聞けた。

 
しかし、私はそのタイミングで足を骨折してしまう。

 
GWに会いたいと言われたが、包帯が外れてもなかなか思うように歩けず
私の足が治るまでは会えないと伝えた。

 
いよいよ骨折が治り、だいぶ歩けるようになり、具体的に会う日と時間と場所を決め
楽しみにしていた。

 
ようやく会える!と思ったが
会う前日になり、子どもが具合が悪くなったと連絡が入り、延期になった。

 
まぁ仕方ない。
子どもは体調を崩しやすいし、三年待ったのだから
会えることが決まった今なら全然待てる。

 
落ち込みはしたが、未来への約束があるのは心強かった。

 
約束から数週間経ち
日にちを改めて会うことになった。

 
楽しみすぎて早起きしたし
電車が遅延しても大丈夫なように現地には約束の30分前に着いた。

 
会える時間は三時間と決まっていた。
旦那さんは子どもを見ていてくれるらしい。

 
写真だけでまだ一度も会ったことがなかったから一目会いたかったが
スケジュール上、今回は難しいことになった。

 
親友も子どもと離れてたまにはゆっくり話したり、ご飯を食べたい気持ちも分かるし
こうして会えるだけでよしとしようと思った。

 
親友は親友で待ち合わせ時間よりも早く来ていた。
というより、ほぼ同時だった。

 
話には聞いていたが、写真で見るよりもかなり痩せていた。
家事育児のハードさが伝わる。

私は逆に薬の副作用で当時より太ったから逆だなぁと思った。

 
三年ぶりの再会に思わず涙ぐむ。
ファミレスでたくさん話そうと、ファミレスへ向かった。

なんせ時間は三時間しかない。
貴重な三時間だ。

 
二人でまず写真を撮り
それからファミレスに入り、注文をした。

 
話が止まらない。
笑いが止まらない。

三年の間会わなかったなんて思わないくらい
自然体なままだった。

 
親友は私のことを私以上に記憶していて、相変わらず昔話した些細なことをよく覚えていた。

私の気持ちや出来事は私か、私の次か、家族の次によく分かっているだろう。

 
大切な友達は何人かいる。
誰もがかけがえのない特別な存在だ。
それは確かだ。

 
だけどこうして親友に会うと
例えば会話のテンポだとか価値観だとか
選ぶメニューや飲み物や身につけた時計でさえ
私達はよく似ている。
波長が合う。

 
私が何に喜び、何に悲しみ、何に怒り、何が楽しいかを知っている人だ。

 
三時間はあっという間に過ぎた。
本当にあっという間だった。

その間、トイレに行く時間さえ惜しいと感じた。

話したり聞いたり
お互いに近況の写真を見せ合ったり……楽しかったな。楽しかった。

 
お互いにプレゼントを渡し合った。

私は雑貨等、お菓子を親友に、そしてメインであるメロディ絵本を子どもに。

親友からはお菓子、雑貨等をもらった。

 
そして電車賃代わりにと、食事代は驕りだった。
私はそんなの気にしないでと言ったが
旦那さんからの強い要望らしい。気にしないでいいのに。

 
別れが名残惜しかった。
でもまた会うためにも三時間は超えちゃいけない。
そういう約束をしたのだから。

  
健康に気をつけて
仕事を頑張っていればきっとまた会える。

そう信じている。

 
最高の休日だった。
早くもまた会いたい。

 
会える日まで、もらった靴下やハンカチを愛用しながら頑張ろう。


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