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入院161日目:退院

今朝はお母さんの夢を見た。
退院したお母さんが家で笑いながら雑用をしている、そんなリアルな夢だった。

目を覚ますとまだ5時だった。
最近は大抵5時に目が覚めてしまう。

 
 
 
8月最後の月曜日。
いよいよ今日、お母さんは退院となる。

 
私は明日休みをとっているため、今日は普通に出勤だった。
14:30に退院予定だったため、職場で時計を見て、あぁ今退院なんだな、と内心思う。
退院の件は職場の人何人かは知っていたが、誰も何も言わなかった。寂しい職場だと改めて思った。

 
お母さんから「母無事帰ったぞ」とLINEが入る。

 
その後、異変が起きた。
頭がズキズキと痛むのだ。ロキソニンを飲むが効き目がなく、送迎中痛みは増していった。
更に、吐き気も込み上げた。
貧血か低気圧か急に暑くなったから脱水だろうか。

はたまた、緊張や不安によるものだろうか。

こんなに激しい頭痛と吐き気は久しぶりだ。

   
 
帰り道、お母さんに頼まれたチーズケーキを買った。
ケーキ屋さんの甘い匂いだけでウッとなる。
本当は私の分も買おうと思っていたけれど、とてもじゃないが食べられない。

 
 
帰宅した時、玄関とリビングに明かりがあって、涙が込み上げた。
お父さんは先に帰宅していても明かりをつけておかない人だった。

お母さんが帰ってきたんだな、と実感する。

 
 
「ただいまー。」

そう言って中に入ると、「おかえり。早かったね。」とお母さんの声が聞こえた。
今日はお母さんの退院日だし、体調が悪いこともあり、さっさと帰ってきた。

  
お母さんは、いた。
いつもの席に座っていた。

どうやら私が買った介護用椅子は合わなかったらしく、私が使うことになった。

 
お母さんから昨日そうめんをリクエストされ、用意しておいたが、どうやらお父さんとお母さんも買ってきたし、作ったらしい。

更に、冷蔵庫を開けると私がお母さんのために買っておいた好物が追加で買ってあった。
お父さんは私が買っておいたと気付かなかったらしい。はぁ。
冷蔵庫は中身がギューギューになっていた。

 
 
お母さんとしては久々に三人でご飯が食べたかったようだが、私は体調がどうしようもなかったため
二人で食べるよう伝えた。

私が残り物を次から次へと並べると、「こんなに作ったの!?」と驚いていた。
お母さんには私が普段どんなものを作っているかはあまり知らせていない。

 
本当はもう一品追加で作る予定だったが、あたためたり、洗い物だけで精一杯だった。
まぁおかずはたくさんあるから大丈夫だろう。

 
 
私が仕事中に、業者さんが来てトイレの手すりがつけられていた。 
これで左右手すりがある。
お母さんも使い勝手がいいらしいし、手すりは今後つけておくようだろう。

 
 
お母さんは退院後買い出しをして疲れたらしく、「ただいま。」と静かに帰宅したらしい。
私やお父さんの予想は外れた。

お母さんは陽性で隔離でリハビリがなくなったため、体力は落ちたし、今日もまだ本調子ではないと言っていた。
昨夜は興奮して眠れなかったともいっていた。

お父さんも疲れがドッときたらしいが
それでもお父さんが一番嬉しそうだった。

 
お父さんもお母さんも私もズタボロといえる。

 
 
 
今日はみんなで早く寝ることにした。

日中やけに眠かった。
寝て起きたら食欲がまた戻るといい。
私はまさかの21:00に眠った。相当調子が悪いらしい。

 
 
お母さんが退院してきたら、もっと劇的で感動的なのだと思っていた。
まさかこんな、自分が具合悪くなるとは思わなかった。
無理していたのかな。それが一気にきたのだろうか。情けないな。

 
それでも、家にお母さんがいて、お母さんと話せるのは安心した。
「ポカリ飲め~」だとか「お父さん、部屋にクーラー入れてあげな~」だとか
具合が悪い私を気遣うところを見て、やはりお母さんだと思った。

 
 
今日から私の生活は変わるけれど、それは想像より悪くないものなのかもしれない。

入院161日。
長い戦いだった。

そしてまた新たな戦いが始まる。


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