人生は紙飛行機
私がAKB48の曲で一番好きな曲は「365日の紙飛行機」だ。
なんといっても歌詞がいい。
口ずさみやすいメロディがいい。
新しい朝が似合う、希望の歌だ。
一人散歩をしながら
もしくは朝出勤する時に
ついつい口ずさんでしまう。
ある日リーダーが紙飛行機を折って利用者に渡した。
「遠くに飛ばしてみて。」
言われた通り、利用者が紙飛行機を飛ばそうと構えた。
私が「人生は~♪」と歌うと
隣にいた別の利用者が一緒に歌い出した。
「人生は~紙飛行機~♪」
歌に合わせるように紙飛行機を利用者が飛ばした。
紙飛行機はすごい勢いでUターンした。
えぇぇぇえ!?
予想外の展開に私はずっこけた。
気を取り直して、もう一度飛ばしてみようと利用者に声をかけた。
私と利用者は再び歌い出した。
「人生は~紙飛行機~♪
願い乗せて~飛んで行くよ~♪」
結果はやはり同じだった。
もはや紙飛行機だかブーメランだか分からない。コントか。
「ちょっと貸して。」
歌うのを止め
私は紙飛行機を手にして飛ばした。
二回試したが、やはり勢いよくUターンした。
Uターン人生。
そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
リーダーは手先が器用で冗談が好きだ。
笑わせようと思ってわざとこんな折り方をしたに違いない。
そう思った私はリーダーに尋ねた。
すると、わざとではなく
偶然こんな飛び方になってしまったらしいことが判明した。
リーダーが飛ばしても紙飛行機は何度もUターンした。
AKB48は歌う。
紙飛行機が飛んだ距離を競うよりも
どう飛んだか、どこを飛んだのかが大切だと。
AKB48の理論で言うなら
こんなUターンな飛び方はどうなのだろうか。
私がこの曲を口ずさむ時は
人生が上手くいっていなかったり、その日不安なことがあったり
そんなどこか憂いがある状態の時もある。
それなのにこの日以降
歌う時はこのUターンの紙飛行機が頭に浮かび
思い出し笑いするようになった。
憂いも何もあったものではない。
思い出し笑いで始まる朝。
一緒に歌える利用者がそばにいて
Uターン人生を笑える人がそばにいる
そんな転職三年目のある日。
人生は案外大丈夫かもしれない。