入院87日目:ひろみちおにいさん……
『お母さんが仕事から帰ってきた。
お母さんはスタスタ歩いて、買い物で買ってきたものを玄関に置いた。
“あれ?お母さん、1mくらい歩けるようになったの!?”
私が驚くと、お母さんは“リハビリのお陰でね。”と言い、私がやった後のお風呂掃除をやり直した。』
…目を覚ました。
夢だった。夢に決まっている。正夢には決してならない。
それどころか今は血圧が定まらず、不安定な状態だ。
明日の大学病院の医師の診察が終わらない限り、不安は終わらない。
今日はポスティング作業だった。
最高気温は30度晴れ予報だったが、予報に反して曇りだったし、風があったのでまだマシだった。
それでもたくさん歩くと汗をかく。
相変わらず上はいちいちうるさい。
最近は疲れや苛立ちが重なってか、上からの命令や発言に対し「はい。」で話を終われなくなったので改めなくては。
何を言っても無駄な相手に、価値観が違う相手に意見を言ったらいいわけだのなんだのマイナスになる。
仕事は正しさなんて必要ない。
上がやれと言ったことをやればお金をもらえるのだから。
上がやれと言ったことは善になるのだ。
現場が何を思おうと、だ。
リーダーがいなくなった以上期待はするべきではない。
もう職場が良くなることはない。
耐えてお金と割り切って仕事をするか
期待をするくらいなら、さっさと仕事をやって帰宅して転職情報を集めた方が有意義だ。
午後、ひろみちおにいさん…佐藤弘道さんが下半身不随となったことを発表した。
病名は脊髄梗塞だと書いてあり、私は目が見開いた。
お母さんと同じではないか。
ニュースによると、研修指導に向かう機内で体調を崩したらしい。
脊髄梗塞は、まず背中の痛みがあり、その後下半身が動けなくなったりする、と医師が説明していた。
お母さんを重ねた。
ひろみちおにいさんは体操や体を動かすことで生計を立てていた方で、まだ55歳だ。
お母さんより若い。
そして、症状はお母さんより重そうだ。
ひろみちおにいさんの発症は6月2日で、発表した6月13日の時点で全く歩けないと書いてあったからだ。
先月医師から「あなたのお母さんは奇跡の人。」と言われた言葉が浮かぶ。
やはりお母さんは恵まれている方なのかもしれない。
お母さんもニュースを見て思うところがあったようだ。
お母さんは今日は血圧の数値が安定しているらしい。
よかった。
私の腰痛よりお母さんの体調が早く安定してほしいと願う。
腰痛は夜少しマシになったように感じた。
このまま治ったらいいのだが
どうにも長期化してしまっている。