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入院104日目:母の偉大さ
『リーダーが仕事の関係で職場に来た。
久しぶりに会うリーダーは相変わらず素敵だった。
私はリーダーに「ちょっと聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」と廊下に呼び出し、「今の職場はぶっちゃけ残業ありますか?土日の勤務はないんですか?手取りは求人に載っていたとおりでしたか?」と前々から気になっていたことを聞いた。
リーダーは少し寂しげに微笑んだ後、周りに会話が聞かれないように私の存在を隠すように私の全身を毛布で覆い、抱きしめながら耳元でささやいた。
周りからは、毛布を運んでいるだけに見えるように。
「残業はあまりないけど、手取りは思ったほどじゃなかったですよ。」
「土日の勤務はない。だから休みは増えた。」
私は毛布に覆われているからリーダーの姿は全く見えない。
だからリーダーがどんな表情をしていたかは見えない。
「……リーダーがいなくなってから、うちの職場は悪化しました。
リーダーがあんなに頑張って私達を支えてくれたり、書類を簡略化してサービス残業しなくてすむようにしてくれたのに、仕事は増えていくばかり。
職員に余裕がないから、施設の雰囲気も悪くなり、上と現場の距離はひどくなるばかりです。」
「リーダーは転職して悔いはないですか?」
「悔いはない。自分で決めた決断ですから。」
リーダーは言い切った。』
…そんな夢を見た。
リーダーは女性に触れない紳士だ。下ネタも一切言わない。
抱きしめるなんてありえない。それなのに、夢の中では夢と気づかなかった。
実際リーダーに会った時に聞いてみたい。
リーダーが今の働きをどう思っているか聞いてみたい。
「ずっと(転職の)タイミングをうかがっていた。」
かつてのリーダーの言葉が最近はずっと浮かんでいる。
私もタイミングをうかがっている。
次のステージへ行くべき時は近づいている気がする。
朝、お父さんは6:00に遊びに出掛けた。
体力がある。
私は頭痛と共に目覚めた。
貧血か、気圧のせいか。
夏が私は苦手だし、弱い。
起きたら料理をし、掃除をし、昨日お母さんがオススメしていたテレビをTVerで見て、それから買い物に出掛けた。
「今日水を差し入れで持ってきて。腰痛ひどいのにごめん。」
お母さんからLINEが入る。
水くらいなら大丈夫……
と思ったら、買い物中に立ちくらみがした。
貧血のようだ。
少し休んだら歩けたのでホッとした。
家事と仕事以外の時間帯は読みたい欲や書きたい欲や休みたい欲が強いが、最近は休日に一時間くらい昼寝するのをあらがえない。
元彼が死ぬ夢を見てハッとして目覚ましで起きる。
お母さんの病院に行く時間だ。
今日の面会指定時間は15:30だった。
いつものように時間ピッタリに行くが、お母さんはいなかったので持ってきた荷物を整理したり、洗濯物をカバンに入れる。
向かい側のベッドの人が声をかけてくれ、挨拶をした。
「母がいつもお世話になっています。」
「お母さん、もうすぐリハビリから戻ってくるわよ。」
以前いた向かい側のベッドの方は退院し、新しい方に変わっていた。
見た感じ、お母さんと大して年は変わらないように見える。
人生いろいろだ。
待っている間、お母さんのリハビリ記録ノートを読んだ。
パラパラとめくると、ノート1ページ目にはこう書かれていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1719735448188-IsXkVtPZkS.jpg?width=1200)
スタップに笑いながらも
こうして感謝しつつ前向きなところがお母さんらしくもあり、お母さんのすごさでもある。
私は今、仕事や人生に対してこんな気持ちにはなれない。
自分が情けなくてみっともなくて、泣けてきた。
以前はリハビリ時間や担当者くらいしか書かれていなかったが、最近は事細かに何をやったか、体調はどうだったか書かれていた。
輪投げが楽しかったらしい。
お母さんが書くピースサインを見て懐かしくなり、笑ってしまった。
お母さんは今、認知症予防にと計算や点つなぎ絵もやっているようだ。
輪投げ、計算、点つなぎ絵かぁ。
私が利用者に用意するレクや活動をお母さんがやっていると思うと、なんともいえない気持ちになった。
![](https://assets.st-note.com/img/1719735672167-2Pk4ukeK7d.jpg?width=1200)
やがてお母さんが理学療法士さんに車椅子を押されて帰ってきた。
その方は明日スタジオツアー東京に行くらしい。
「この前有吉の壁でスタジオツアー東京ロケだったから、ともかと行ったのを思いだしたよ。」
「見た見た。懐かしいよね。」
あの日…
まさかお母さんとスタジオツアー東京に行ってから一ヶ月も経たないで入院となり
その日買ったバッグを入院先で使うことになるなんて想像もつかなかった。
お母さんとは一時間くらい色々話した。
お父さんが火曜日に面会なので、差し入れの要望を伝えられた。
また
今日は調子がいいが、昨日は畳で足が床についていないような感覚になったことや、自宅玄関はピックアップで出入りできそうなことや(すごい!それは無理だと思っていた)腕の筋力がつき、片手でも重いものを持ち上げられたことを話していた。
お風呂も介護用椅子を用意してほしいと話していたが、理学療法士さんの話では滑り止めマットで十分ではないかとのことだった。
週に二回訪問リハを希望し、その後様子を見て通所リハ検討でいいのではないかとも話していたらしい。
そして
来週の家屋調査の時には玄関を掃除してほしいことや差し入れや飲み物を買ってほしいことが伝えられた。
お互いに近況を色々話したり、お父さんの愚痴を話したりもした。
話を聞いてもらえて心が軽くなった。
お母さんと話す一時間はあっという間で、瞬く間に過ぎていく。
尊い時間だ。
それでいて色々な感情が押し寄せて、帰り道車の中で一人泣いた。
来週の日曜日、家屋調査によって見通しが立つだろう。
来週の土曜日、仕事の予定がなくなってよかった。きっと日曜日に向けてバタバタだろうから。