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あなたは犬や猫の物真似ができますか?
私は昔から物真似が得意だった。
仕事から帰ってきた母に、今日は学校でどんなことがあり、先生や友達とどんなやりとりをしたかを
物真似を交えながら話していた。
父や母はそんな私を見てよく笑った。
よく特徴をとらえていると笑った。
大人になった今も実家暮らしの私は
仕事や外出先から帰ると、今日一日どんな日だったかを物真似をしつつ話した。
父や母はそんな私を見て笑った。
昔からともかは物真似が上手だったと笑った。
物真似が上手といっても私は芸能人の真似は得意ではなかった。
一時期、河村隆一の物真似をしていたくらいで
私は主に身近な人の物真似をした。
利用者や職員の真似は職場で大好評だった。
よく特徴をとらえている、そっくりだと
みんなが笑った。
演じることが好きな私は
仕事中に身近な人だけでなく、動物を真似したり、映画やアニメのワンシーンを真似たりもよくしていた。
ミュージカル調に話をしたり、即興で替え歌を作るのも私の特技の一つだった。
先日、仕事中に同僚Aさんと利用者と目玉のおやじの物真似をした。
特徴的な目玉のおやじの物真似をする人はよくいるだろう。
その時ふと、新施設長は物真似をしないなぁと思った。
目玉のおやじどころか、動物の物真似も聞いたことがない。
「新施設長は犬や猫の物真似をしますか?」
仕事後、私は尋ねた。
すると、しないし、できないと言う。
そういえば、同僚Bさんの犬や猫の物真似も見たことがない。
私はBさんにも尋ねた。
「しません。」
「クオリティ低くてもいいんですよ。棒読みでワンワン、ニャーニャーくらいでもいいんで、できます?」
「やりません。」
私は驚いた。
犬や猫の物真似は大抵の人ができると思っていたからだ。
価値観が覆った私は、全職員に犬や猫の物真似ができるか尋ねてみた。
すると、約1/3の職員が犬や猫の物真似は容易い派であり、約1/3の職員が積極的にはやらないが、業務上やらなければいけないならやる派であり、約1/3の職員が「絶対にやらない。やったら終わる」派だと分かった。
私は驚いた。
犬や猫の物真似とはそんなにハードルが高いのか。
先日、某スーパーベンチで仕事中に、あぁ~しらきさんの「男かな?女かな?」を利用者の前で披露した私はなんだというのか。
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だが、思い返してみれば
今の職場は良くも悪くもノリが悪い。
行事の時に職員が仮装したり、かぶりものをするのも消極的だったし(逆に前の職場は積極的だった)
ダンス教室の時間帯にノリノリの方も少ない。
犬や猫の物真似ができない人が1/3もいるのは考えてみれば納得なのだ。
私はかわいいものや人や面白いものや人に囲まれて過ごしたいが
今の職場がいまいち自分に合っていないと感じるのは
こういったところなのかもしれない。
かわいさや面白さを私は身近な人と共有したいが
私の物真似のスキルや周りを笑わせる術は
今の職場で重宝されるか場違いか紙一重なのだ。
今日も私はぼけたり、ツッコんだり、物真似をして利用者や同僚を笑わせる。
明るい雰囲気作りを意識する。
笑顔を一つでも増やしたい。
どうせなら、楽しく仕事したい。