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TRPGキーパーはシナリオを改変すべきか

TRPGのシナリオを改変してもよいのか、という話が盛り上がっている。

改変の是非については正解がないため、あくまで住所不定の狂気としての見解を述べる。シナリオは「改変していい」どころか「改変すべき」だと考えている。『milestone』の各シナリオには「アレンジ案」を併記し、キーパーの裁量に委ねている。

現時点での考えをまとめたい。

◉シナリオは「料理のレシピ」

「TRPGのシナリオは料理のレシピのようなものだ」という例えを読んだ。これはかなり正鵠を射ていると感じる。

なるほど、シナリオには「悲しい、笑える」のような雰囲気があり、料理には「からい、甘い」のような味がある。分量はセッション時間やプレイ人数に相当する。

料理に苦手な食材があるように、シナリオにも好き嫌いのわかれやすい要素(エロ、グロ、PvPや秘匿情報など)がある。キーパーは、メンツによってはこれを抜いたり、別の要素に代替するなどしたほうが柔軟といえるだろう。時間の無い日は分量を減らしたり、笑えるシナリオが好きなメンツなら、笑いどころを強化したって良いはずだ。

◉シナリオの「核」への深い理解

注意すべきは、シナリオの「核」となる部分を守る事だ。核はシナリオごとに異なる、テーマとなる部分だ。ここを改変してしまうと、シナリオは方向性を失い、迷子になってしまう。
カレーを振る舞いたい時は、おでんのレシピを改変するのではなく、カレーのレシピを探す方がよい。

さらに、改変に際して、「独りよがりチェック」を入れることも重要だろう。自分の好みだからと言って、子供用の料理にコショウをたくさん入れたりしないように、シナリオも自分の好みではなく、プレイヤーの好みを基準に改変する。もちろん、自分好みの味にプレイヤーを少しずつ「慣れさせる」というやり方もあるが、基準はあくまでプレイヤーである。

結局、改変するからには、そのシナリオに対する深い理解が必要になるだろう。シナリオ製作者も、シナリオの核となる部分については言及しておいたほうがよい。

◉「嫌な気持ち」も物語の重要な要素

しかし、一概に料理に例えられない部分もある。
例えばプレイヤーがあるNPCの死に際して、納得がいかない、やるせない、なんとかしたかった。そういう気分になることは往々にしてある。実際にキーパーに向かって「こんな結末はナシだ」言うことさえありうる。

これは一見すると、プレイヤーが楽しめたようには見えない。しかし、この悲劇が物語の重要な核となっているなら、キーパーはその結末を改変すべきではないだろう。プレイヤーが感じる「嫌な気持ち」も物語の重要な要素だからだ。良い気持ちになるばかりが物語ではない。
むしろ、嫌な気持ちすら楽しめるからこそ、物語はおもしろいのだろう。

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