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税理士の先生が知っておきたい雇用をめぐる最近の法律問題 #15 同一労働同一賃金(1)

 働き方改革といった言葉で表された一連の労働法規制の改正が行われてから数年、雇用関係を巡っては続々と変化が現れてきています。
 この連載では税理士の先生方にもぜひ知っておいていただきたい、最近の雇用をめぐる問題をご紹介していきたいと思います。
 今回からは、「同一労働同一賃金」について解説していきます。


1 同一労働同一賃金とは?

 同一企業での正社員と非正規雇用労働者との間に生じる、不適切な待遇の格差を解消させる取り組みやルールのことをいいます。2021年4月1日から中小企業を含めた全企業を対象として適用されているパートタイム・有期雇用労働法や、2020年に改正された派遣法でも規定されました。
 非正規雇用の労働者というのは、パートタイム労働者、有期雇用の労働者(契約社員や嘱託社員など)、派遣労働者などが当てはまります。これらの労働者と正社員との間の待遇の格差を是正することで、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにすることが目指されています。

2 具体的に問題となる待遇とは?

 格差として一番明確に問題となるのはやはり賃金に関する待遇の格差です。基本給についての正社員と非正規雇用労働者との待遇格差の他、賞与の支給の有無や各種手当ての支給の有無も問題となる可能性があります。
 また、賃金以外の内容としてはいわゆる福利厚生や教育訓練に関する待遇も問題となります。

3 不適切な格差の解消

 これらの待遇について、不適切な格差の解消が求められているわけですが、あくまでも求められているのは不適切な格差の解消であって、一切の取り扱いの差異が否定されるわけではありません。

 次回からは、具体的にどのような内容が問題となっているかについてご紹介したいと思います。

【執筆者プロフィール】
弁護士 高井 重憲(たかい しげのり)
ホライズンパートナーズ法律事務所
平成16年 弁護士登録。
『税理士のための会社法務マニュアル』『裁判員制度と企業対応』『知らなかったでは済まされない!税理士事務所の集客・営業活動をめぐる法的トラブルQ&A』(すべて第一法規) 等、数々の執筆・講演を行い精力的に活躍中。

第一法規「税理士のためのメールマガジン」2024年3月号より

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