税理士の先生が知っておきたい雇用をめぐる最近の法律問題 #13 2024年問題とは?(1)
働き方改革といった言葉で表された一連の労働法規制の改正が行われてから数年、雇用関係を巡っては続々と変化が現れてきています。
この連載では税理士の先生方にもぜひ知っておいていただきたい、最近の雇用を巡る問題をご紹介していきたいと思います。
今回からは、最近報道などでもよく耳にする「2024年問題」について解説していきます。
1 2024年問題とは?
2024年問題と呼ばれているのは、働き方改革に伴う労働法の改正によって、労働時間の上限が規制されることに伴って生じる問題のことを指します。
法改正によって、労働時間の上限が規制され、違反した場合には罰則の対象にもなります。
2 2024年問題として取り上げられている業種は?
一般に、報道などで、「2024年問題」と聞く場合、物流の危機といった文脈で語られることが多いかと思われます。
ただ、それ以外にも、例えば建設業や医師などにおいても同じ問題が起こっています。
3 どうしてこのような業種だけが2024年問題といわれるのか?
なぜ運送や建設業だけが2024年問題として取り上げられるのでしょうか。
実は、2024年問題で採用されている労働時間の上限規制については他の業種では既に実施されています。大企業については2019年4月から、中小企業についても2020年4月から、既に実施されているのです。
ただ、運送業や建設業は、慢性的に労働時間が長く、すぐに規制を適用してしまうと混乱が生じることが懸念されました。
そこで、これらの業種については、2019年4月から5年間、その適用が猶予されていました。
この猶予期間が切れ、2024年4月からは運送業や建設業などにも労働時間の上限規制が及ぶこととなります。
4 まとめ
昨今、宅配便の利用量は増加した状態のままですし、建設業については大阪万博での建設工事の遅れなども問題になっている中で、労働時間の上限規制が社会に及ぼす影響は小さくありません。
そのため、2024年「問題」として、マスコミなどでも取り上げられることが増えているのです。
次回は実際の法律上の規制の内容をご紹介します。