ソファーの中で育まれる【ヒバとバネ】による素敵な関係。
皆さん、こんにちは。
静岡のソファD2CブランドMANUALgraphの鈴木大悟です。
前回のnoteでは、「Sバネ」についてとてもマニアックな記事を書いてしまいましたが、今回はそんなSバネと、ソファの中で素敵な関係を築き上げている【ヒバ材】について、これまたマニアックなお話をさせていただきたいと思います。
前回の「Sバネ」のお話はこちら。
まず、そもそものソファの中身について
皆さんも一度はご自宅のソファの中身が気になってぶった斬ってその中身を確認した事があるかと思いますが(笑)、ソファの中身は様々な素材、組み合わせで出来ています。
世の中には様々なソファが存在しますが、その大半は中身は木で出来ています。
当社のソファの中身
例外を言うと、
「モールドウレタンでウレタンのみの中身のソファ」
「ビーズなどのいわゆるダメにする系のソファ」
「木材以外の鉄などで中身が構成されているソファ」
が僕の知る限り挙げられますが、それ以外ほとんどのソファの中身は木材で出来ています。
今回はその木材の話です。
当社がもう50年近く採用してきた木材【ヒバ材】
当社のソファの全ての商品で使用する木材は「カナダ産のヒバ材」と「国産のヒノキ合板」です。
今回はこの「ヒバ材」とそして当社のソファの特徴である「Sバネ」の関係性のお話です。
なぜ今回この「ヒバ材」について書こうかと思ったかと言うと、皆様も聞いたことがあるかもしれませんが「ウッドショック」がきっかけです。
新型ウィルスの影響で木材が高騰した今回のウッドショック。
https://www.reform-online.jp/news/builder/20480.php
当社が長年使ってきた木材の価格も、今回のウッドショックにより約3倍に跳ね上がりました。
そこで、ヒバに変わる他の木材はないものかと、この機会に色々と調べると同時に、改めて当社が何故このヒバ材に拘ってきたのかを見つめ直してました。
当社が使用している木材は正確には「ベイヒバ」です。
別名イエローシダーと言い学名はヒノキ科「Chamaecyparis nootkatensis」です。
ちなみに日本国内の青森県などで採れる「檜葉(ヒバ)」とは学術的に別物なのですが、見た目や香りなどが似ている為ベイヒバと名づけられました。
さらにちなみにですが、日本語の「あすなろ」と言う言葉は「ヒバが明日ヒノキになりたい」と言う意味が語源とも言われています(ヒバ切ない...)。
主に北米が産地ですが、当社はカナダ産のヒバを使用しています。
特徴はその独特の香りと、青白いとも黄色白いとも言える見た目、ヒノキ以上に含まれると言われている「ヒノキチオール」と言う成分が多く含まれ耐腐朽性や抗菌性が高いと言われています。
匂いが強いのも特徴ですが、僕はこの木の匂いに囲まれて育ったのでなんとも言えない哀愁の匂いでとてもいい香りだと思っています。
正直木目と色の見た目は微妙で、特にヒノキチオールの影響か塗装が乗りにくく、クリア塗装をするとなんとも言えない青白い輝きを発する為、テーブルや柱など目に見える素材としてはあまり使用されません。
なので用途は限られる(人気がない?)為、比較的安価でもあります。
そして何よりその強度です。
強度に関しては次の項目で詳しく書きますが、強度がありヒノキチオールも含まれ、安価でしかもソファの中身で使うので見た目は関係ない。どう考えてもこれ以上ソファの中身に使う木材として適しているものはないのです。
今回のウッドショックでも、そしてこれまでも「せっかくメイドインジャパンのソファを作っているのだから、国産材は使えないものか」と検討してきましたが、特に強度面においてヒバに変わる適切な木材は見つかりませんでした。
そして何より当社では50年近く使ってきたその実績と歴史が、ヒバが最適であると言うことを証明しています。
ヒバの強度について
さてやっと本題です。
なぜ当社が長年ヒバにこだわってきたか、価格が3倍になっても使い続けるのか、についてお話ししたいと思います。
そこで今回のタイトルに繋がるのですが、その答えは「Sバネ」との関係です。
こちらの画像をご覧ください。
当社のソファの内部の座面の様子です。
真ん中の黒いバネが皆様お馴染み「Sバネ」です。
もう少しアップで見てみましょう。
そう!ここです!このSバネが止まっている部分。
ちなみにこの部分、Sバネは...
専用の道具でこうやって引っ張って止めています。
ここが重要です!
Sバネは力を入れて引っ張って止めて、かつ人の体重を支え、当然伸び縮みします。
その時のこの「Sバネが止まってる部分」の強度がとても重要です。
当社でも1番のベテラン職人Sさんに改めて聞いてみました。
最ベテランSさん。40年近くヒバと向き合ってきました。
僕:「ねえ、ヒバの代わりを探してるんだけどさぁ... 」(僕が子供の頃から会社にいるのでタメ口です)と聞くと、
Sさん:「またか!ダメだって何回も言ってるだろ、ヒバじゃないとこのSバネの引っ張りには耐え切れないんだって!。」
(実際のSさんはとっても物静かな方の為、文章にすると強い口調に見えますが、実際にはこのような事をボソボソっとおっしゃいました)
と一蹴。
写真を見ていただければお分かりだと思うのですが、非常に狭い面積のヒバの部分にSバネを止めています。
ここの強度が弱いとSバネの引っ張りにつられ木材が割れてしまいます。
つまり、座る人の体重を支え、その伸縮で快適な座り心地を演出するSバネを、ソファの中でしっかり支えてくれているのがヒバなんです。
この「ヒバとバネ」の素敵な関係が当社のソファの座り心地をつくり上げているんです。
と言うわけで、結局価格が3倍になろうがなんだろうが、やはり今の所ヒバに代る木材はありません。
ウッドショックはいつまで続くかわかりません。
この度涙を飲んで3倍に跳ね上がった(正確には材木屋さんに無理を言って2.5倍くらいまでまけてもらいました)ベイヒバを発注しました。
入荷するのは年明けです。
また来年も当社が長年使い続けてきたこのベイヒバを使ったソファを皆様にお届けしたいと思います。
またマニアックな話になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
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