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自分のことをとてつもなく不幸だと信じて疑わない青年の自己肯定感を高めた方法
結論:彼よりも不幸だと思われる実体験をポップに話す。
7割の日本の高校生が自分はダメな人間だと思うと回答
自己肯定感、ここ数年とてもよく聞くようになった言葉です。
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自分はダメな人間だと思う―7割(日本の子ども)
最初に、日本の子どもたちは本当に自己肯定感が低いのかを検証しましょう。
上のグラフは文部科学省もよく引用するデータの一つです。この調査(「高校生の生活と意識に関する調査」国立青少年教育振興機構、2015年)は、高校生に対して「自分はダメな人間だと思うことがあるか」を聞いています。何とも、直接的にたずねたものです。図表を見ると、日本の高校生の肯定率は、7割を超えます。次いで高いのは、中国の56.4%。これに、米国45.1%、韓国35.2%と続きます。社会によって違いがあることがわかります。
質問の内容やたずね方、調査対象によって多少の差はありますが、日本の子どもたちにはどの調査でも同じような傾向が表れます。たとえば、1994年に私たちが行った5都市(上海・ソウル・ロンドン・ニューヨーク・東京)の小学生の国際比較調査(「モノグラフ・小学生ナウ」Vol.14-4)では、「親切」「よく働く」「スポーツが得意」「勉強ができる」などの自己像に対する肯定率が、東京の子どもたちはもっとも低いことが示されています。また、2006年に実施した6都市(東京・ソウル・北京・ヘルシンキ・ロンドン・ワシントンDC)の小学生に対する調査(「学習基本調査・国際6都市調査」)でも、東京の子どもたちは成績の自己評価がもっとも低く、学習に自信がもてない子どもたちの様子が表れています。これらを見ると、やはり日本の子どもたちの自己肯定感は低い印象を受けます。
ちなみに、子ども自身の自己評価だけでなく、日本人の保護者は子どもの成長に対する評価が低い傾向があります。これも少し古いデータですが、1993年に当時の文部省が行った調査(「家庭教育に関する国際比較調査」)では、10~12歳の子どもをもつ親で「子どもの成長に満足している」という割合が、アメリカ、イギリス、スウェーデンでは8割を超えるのに対して、日本では4割に満たない結果でした。日本の子どもたちの自己評価の低さは、そうした周囲からの評価のされ方も影響しているのでしょう。
自己肯定感が低いことの問題
それでは、自己肯定感が低いとどのような問題があるのでしょうか。
自己効力感(self-efficacy)の研究で知られるバンデューラは、行動に対する見通し(自信)が強いほど、人はその行動に対して努力することを明らかにしています(Bandura,1997)。自己効力感は、ある目標に対して自分がそれを達成する能力があるかどうかという可能性に対する認知です。「自分は目標を達成できる」と思えば行動する確率は高まりますし、「自分には無理」と思えば行動は起こりにくくなります。自己効力感には、自分に対する信頼や価値認識だけでなく、目標の困難度や抽象度などがかかわります。ですから単純には言えませんが、過去の経験などから自分には能力がない、失敗しそうだと判断してしまうと、やはり取り組もうという意欲はわきにくいだろうと想像できます。
また、日本の幸福学の第一人者、前野隆司・慶應義塾大学大学院教授は、「自己肯定感が高い人は幸せ、低い人は不幸せと言い切れるくらい相関が強い」と説明されています。
自分のことをとんでもなく不幸だと思い込んでいる青年の自己肯定感を上げる方法
私たちはヒキタシのわという教育支援団体で、国内外の行政や様々な教育機関に伺わせていただいています。
そこでキャリアやSDGs、コミュニケーションについてのプログラムを提供しています。
以前、ご縁があって通信制高校のサポート校に複数回実施するコミュニーケーション講座をさせていただきました。
そこの生徒さんは色々な理由で通信制高校に通っています。
不登校だったり、病気が原因だったり、自分の意志で意図的に通信制高校に通っているなどバックボーンは様々です。
私たちがサポート校の学院長から受けたオーダーは「人とかかわってつらくなかった、楽しかった、自信がついた」そう思えるような体験をさせてほしいというものでした。
それらの体験を通して少しでも彼らの自己肯定感が高めていきたいという願いです。
実際に彼らと接する中で当初想定していないような様々なドラマやストーリーがありました。
世の中には様々な自己肯定感を高める方法があるようです。
「自己肯定感 高める 方法」で検索すると山のように手法が出てきます。
例えば以下のような感じです。
自己肯定感を高める7つの方法
(1)短所を前向きに変換する
(2)「自分のいいところ」を書き出す
(3)感情をありのままに書き出す
(4)否定的な言葉を口にしない
(5)我慢しない、わがままを言う
(6)SNSから距離を置く
(7)身体の姿勢を正しくする
確かにどれもよさそうです。
ただ、「とんでもなく不幸 自己肯定感 高める 方法」ではヒットしません。
今回は一般的な方法を実践する以前の状態の生徒たちが対象のようなので、プログラム開始前から学院長と入念に何度も打ち合わせをしました。
いきなりノウハウやワークから入るのではなく、お互いにラポール(信頼関係)を築くことが第一としました。
初回のプログラムでかかわるスタッフが学生に人生での赤裸々な失敗談を話すことに。
狙いとしては自分のことをダメだ、失敗してしまっていると思っている生徒が多いらしく、大人は完璧で自分だちとは違うと思い込んでいると。
先生ではない大人から直接の失敗談を聴くことで「大人も沢山失敗してるから少々のことは大丈夫だよ。」と安心してほしいという意図です。
参加者の中に自分のことをとてつもなく不幸だと思って疑わない青年がいました。
私と彼のグループが同じテーブルになった際、エピソードカードからどんな話が聴きたいか選んでもらいます。
彼らが選んだエピソードは「詐欺師にも感謝。大学生の私が詐欺師に騙された話」でした。
私が大学生の時に詐欺師に騙された話をポップにした途端、彼の表情がみるみる明るくなっていきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1656950056236-vPYUAChEwI.png?width=1200)
「自分はとてつもなく不幸だと思っていたけど、それが少し薄まった」
その日のプログラム終了後に提出された彼の感想にこう書かれていました。
そしてプログラム前後のセルフチェックアンケートで自己肯定感に関する数値が大きく伸びていました。
人間の性として、自分よりも不幸に見える人と比べて自分はまだましだと思うことありますよね。
まさに彼にとっての自分はそう映ったのでしょう。
健全な反応かどうかよりもそれによって彼が一歩を踏み出すきっかけになったことが私たちとしては大切でした。
私個人でいうと騙された当時の自分は人間不信になりかけてやばかったです。
なんて自分は人を見る目がないんだろうとかなり落ち込みました。
時間が過ぎると少しずつ元気になってきて、その経験から学んだことを分析して話せるようになってきました。
実際にその話を気に入った方からうちの会社に来ないかとその場で声をかけていただいたり、今回のケースのように若者への警鐘としてポップに話せるようになりました。
騙されて落ち込んでいた当時はまさか、十数年後に自分のことをとてつもなく不幸だと思い込んでいる青年の役に立つことになるなんて夢にも思いませんでした。
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過去は変えられる。
すべては捉え方と活かし方次第。
尊敬する経営者の栗原志功さんが先日のフォーラムでそうお話をされていました。
どんな過去でも捉え方と活かし方次第で変えられると私も上述の経験から強くそう思います。
仮に今不幸のどん底だと感じている方がいたとしても、その経験がいつか自分か誰かの役に立つタイミングが来るかもしれません。
笑い話としてポップに話せるくらい成長してやりましょうや!