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つくらねば
日付をまたいでしまったが、昨日は長崎3日目。青木くんと一緒に、午後にみさきちゃんと会う、というざっくりとした予定ではじまる。
10:00に青木くんとホステルを出発し、近くの専門店でパンとコーヒーを買って、海の近くで食べる。どちらもとてもおいしい。そのまま、市内から見えている稲瀬山のてっぺんの展望台に行ってみる。ロープウェイで景色を見ながら登る。頂上の展望台から街を一望するのもよかったけれど、ロープウェイで動きながら見ているときのほうが、景色をより現実的に感じた。
降りてきてから、2人ともお腹が空いてしまったので、気になっていた中華に行った。青木くんはちゃんぽん、僕は皿うどん。これもおいしい。
リュックを背負って歩くのが疲れるので、それぞれの宿にチェックインして置いてくることに。荷物をロッカーに入れてから散策すればよかったけど、これくらいは大丈夫だと思っていた重さで疲れてしまう自分にすこしがっかりもする。普段からもっと体力をつけなくては。
ホテルの部屋で荷物を置いて、一息ついたら、ふと、ジャグリングの活動を続けることって、グライダーに乗ってバランスをとり続けるような感じだなと思った。鳥人間コンテストのような。上がりすぎず、下がりすぎず、うまくバランスのとれた中心点に自分をコントロールしながら、落ちないようにすーっと進んでいく。今回の長崎も、自分のバランスを調整するために来たのだと思う。ひさびさに遠出をして、ジャグラーと会うことで、失われていたジャグリングの魅力や実感が、回復していると感じる。偏っていた自分のバランスが調整されている。
青木くん、みさきちゃんと港のカフェでテラス席で合流をして、しばらく話をした。夕日がまぶしくて、海の方へ沈んでいくのを眺めつつ。普段はこんなにじっくり夕日を見ることなんてない。ジャグリングカルチャーのことや、海外のサーカスのことなど、視野が広い2人の、そういう話を聞けるのがうれしい。贅沢な光景だった。
長崎美術館へ入って「土地の名 土地と記憶をめぐる旅」という企画展と、常設展をみる。映画でみたフランスの風景に心を奪われて、その場所を8年かけて探して描いたという絵が、なんだかかわいくていいなあと思った。本人は必死かもしれないけど、はたからみると、かわいくみえることもある。こうして僕が長崎に来ていることも、そもそも、ジャグリングに一生懸命になっていることも、他の人にとっては意味がわからず、変にみえるだろう。みんなそういうものを、いろいろ持っている。僕のようななにもない凡人は、それこそ、つくらなれければなにもない、ということも感じる。
夜はこれまたおいしい、インドカレーのお店で食べた。会話が半分くらい英語だったので、がんばって聞き取る。ナンと、5辛のカレーと、ジャグリングと、英語に、もぐもぐしながら向き合う。EJCの食堂を思い出した。
みさきちゃんと別れたあと、青木くんのバイクに乗せてもらって、午前中とは違う、鍋冠山の展望台へ行った。バイクに乗ると風が冷たく、これで長崎まで来るのは、そりゃなかなか大変だと感じる。と同時に、その気持ちよさの一端も感じる。男2人で夜景を前にしながら、思ったよりも長く話していた。