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運命論


運命論  


ブラジルでの蝶の羽ばたきが
テキサスで竜巻を起こしたので
そっと、今
頁を閉じることで
ふたたび

時折、蒼白く

田園から伸びた
一本の糸が
南アフリカの
貝殻の破片に
結ばれ

鞄に忍ばせた
前世紀の詩集
その背表紙から
微かに溶け出した
ひと際、甘い
或る、メランコリー

眺めていた空色は、90年代のanthemのそれで

薄荷の薫り
換気扇が、憎らしく
ケラケラと、回っている
人の絶望の
褪せた半色の鮮やかさも知らず

あまりにも
平坦な季節に
立ち尽くす
鎖骨の窪みと
絡まった、金魚鉢

思い出したように
笑い出した世界が
時々
ばちんと
破裂をして

睫毛に積もった、その青色は
ただ、無邪気に、無色だった

あの水平線は
8分の7拍子で
終わらない
運命にある

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