ー詩と形而上学ーNo.43
傘を差す、ブルー
この冬空の水色を
翻訳しようとして
誰も知らない
国のことばを探していた
この色彩の、にじんだ輪郭を
透き通る、青い温度の余韻を
風に秘められた、果実の予感を
何処かの国では、何と
洗剤のプラスチックの容器から
剥がしてベランダで干したような青
3度の気温を、パレットに並べて
抽象的な、風景画にした
ピンク色のレコードに
針を乗せる
回転し始めた音色と
旋回する旋律
リフレインを、反復させて
明後日の気配を眺めて
徒歩5分程の距離を
時間を掛けて歩いている
飛び去ろうとしたら
籠のなかで
飛び立とうとしたら
夢のなかで
降り注ぐブルーに、思わず傘を差した