ー詩と形而上学ー27.0
七月の唄
ひとひらの心音が、鳴かなかった夜。新種の紫陽花の名前のない色の名前を思い出す。六角形の響きを残した月。くぐる雲の名残が、矛盾のない冷たさの、頬の横を流れていく。半袖とピアノが、反射している。南アフリカの、水色の鉄道が震えている。斜め下から、きみを証明する、手品の仕組みを眺めてみる。
柔らかくなった縞馬の骨を白いテーブルに並べて、黒砂糖の溶けた名残のような泪の跡と重ねている。 灰になったそれは二回目の遺骨となって、グラスのミルクの中で甘味を纏い、泳いでいる。息を沈