仕事観の背景は、家族にある
皆さんの家族のお正月の風物詩はなんですか?
僕にとって、その風物詩は仕事観と繋がっていました。
良い振り返りの機会となるお正月でした。
料理人の父親がいる家族
父親は団塊世代の昭和21年生まれ、8人兄弟の末っ子として生まれました。
中学卒業と同時に、東京に料理の修行に行って、そして地元に戻ってきて、母親とお見合いをして結婚。
昭和55年に、僕が生まれました。
父親の職場は、結婚式や宴会、仕出しなどを行なっていたので、夜、祝日、土日はとても忙しかった。
今でこそ、働き方や労働時間について改革がされているけど、当時は「24時間戦えますか」の時代。家で、職場の発注や問い合わせを実施したり、時間は不規則で、長時間労働なんて当たり前だった。
そのため、父親と遊んだ記憶はとても少ないけど、遊んだ時の記憶は今でも鮮明に覚えている。
仕事に家族に、その時に一生懸命な父親だった。
なぜ、休みの時までだし巻き玉子を作るの?
だし巻き玉子1本に、たまご10個なので1パック。
それを、お正月には40~50個のだし巻き玉子を作ります。
父親は、仕事でも料理して、休みでも料理するんです。
せっかく孫が来てるんだから、一緒に遊んでやればいいじゃないかと思うのですが、でも料理なんです。
料理は、仕事に自宅でも。
そう、父親にとって料理は、すでに「お風呂」や「寝る」、「食事」と同じように、生活の一部を占めているのです。
生活を変えるのは難しいし、料理が生きがいになっているのなら、それはとても素晴らしいと思えるようになりました。
料理をすることで、得られることはプレイスレス
さらに、お正月はだし巻き玉子だけではなく、酢の物なんかも作ります。
50個のだし巻き玉子は、全て知人やお世話になった人に配ります。
さらに、配送までします。
それを、毎年行っています。お正月以外でも。
だし巻き玉子を上げる → 喜んでもらえる → 嬉しい → 次回も
という、サイクルがますます強化されます。
もし、料理をできなくなったらと思うと、とても心配です。
できるうちは料理を続けてもらい、人と交流する機会を保ってもらいたいです。
父親は、ソーシャルキャピタルがとても豊かです。
実は、50代の頃に脳梗塞になりました。
幸い、障害は軽度で、すぐ仕事に復帰できました。
その後の再発していません。
きっと、だし巻き玉子を作って、誰にかに喜んでもらうという行為が、父親の健康にとても良いのだと思います。
だし巻き玉子は、父親にとっての非常に大きな「健康の社会的決定要因」です。
日本プライマリーケア連合学会「健康格差に関する見解と行動指針」
だし巻き玉子と、僕の仕事
橋本家にとって、だし巻き玉子は、家族の健康を考える上でとても重要です。
良い影響の反面、その苦労をしている母親もいます。
掃除・片付け、発送作業など。
本人にとって良いこと ≒ 他者にとって良いこと
帰省すると母親は、この大変さを多く語ります。
しかし、ある程度話すとスッキリし、また聞いてくれるだけで良いのといい、結果的にメリットの方が多いと考え、だし巻き玉子を作り続けることを受け入れています。
世の中の仕事の多くは、「誰かの困りごとを解決し、喜んでもらうこと」です。
何かをすることは、トレードオフになることがほとんどです。
僕らの仕事は、目の前の人の当たり前の暮らしを取り戻す取り組みや、新しい暮らしを一緒に創造することです。
例えば、「再び畑仕事をしたい」という高齢者と、「転ばないように外に出ないで」という家族。
これは、意見の対立のように見えて、実は手段の違いであることがほとんど。
これらを、二者択一で考えてしまうのは、自分の実力の至らなさ。
必要なのは、議論でも結論を出すことでもなく、対話。
ここ数年、ようやく分かり始めました。
誰かに喜んでもらう、誰かに安心してもらう、誰かに笑ってもらう。
それは、巡り巡って自分のため。
でも、そういうことは意識しないで、目の前のことに夢中になれる
父親はカッコイイです。
父親のように、誰かに喜んでもらうことに一生懸命なこと、そしてそれを支える母親のように、一人一人の人の想いを大切にしていきたい、と思うお正月でした。
そして、自分も、そんな大人に、親になりたいなと思いました。
皆さんの、お正月の風物詩は何ですか?
それには、どんな物語がありますか?
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