【ネタバレ有】物思いNo.35:アガサ・クリスティーの代表的4作を初めて読んでみたら世界が広がった
※注意
このnoteの下部には、ミステリー作品の核心に触れる部分、いわゆるネタバレが含まれます。
作品を読んでから知りたい方は、途中で記事をお閉じください。
ネタバレがOKな方は先にお進みください。
きっかけ
それはとある日のいつもの行きつけのお店で、常連さんと話していたときでした。
どんな流れだったかは詳細は忘れてしまいましたが、「“刑事コロンボ”のエピソードで印象的なものがあるんだ」という話から。
そのエピソードとは、「別れのワイン」。
気になる方は検索してみてください。
その時に、これまであまりミステリーとかは読まなかったな、作者の名前だけ知っていて代表的な作品を知らないな、とふと思ったのでした。
唯一、自分の中で有名どころで知っていたのはアガサ・クリスティーの『オリエント急行の殺人』。
しかしそれも、文字では読んでおらず、映像作品で見ていました。(後述)
それを伝えたところ、「温故知新です、いつ読んでもいいんですよ。有名なものは一度読んでみてほしい。きっと君なら楽しめるはず。」
という言葉が返ってきて、なんだか一気に熱が高まり、決心。
それから、久々に活字を追う日々が始まりました。
アガサ・クリスティーについて読む前に知っていたこと
・結構昔の女性(失礼すぎる)
・名探偵コナンの阿笠博士の名前の元ネタである
・『オリエント急行の殺人』の著者。
・探偵役はポアロ
・『オリエント急行の殺人』を元にしたドラマを、三谷幸喜さんの脚本でやってた
→普段テレビをみる習慣がない自分が、珍しく食いつくように見入っていました。必然的にトリックは知ることになったものの、自分なりに犯人やトリックをあれこれ想像しながら見るも全然わからず、最後に種明かしをされた瞬間の快適さは強烈なものでした。登場人物などはアレンジされていますが、「こんな話だったのか!」と感銘。
・そういえば、『そして誰もいなくなった』って、アガサさんじゃなかったっけ?
…恥ずかしながら、本当にこの程度のレベルの知識でした。
いかにこれまで触れていないかがよくわかる。
逆に言えば、いまだ純粋な気持ちで読めるというもの。
ただ、代表作品をネットで調べようとすると、すぐに“ネタバレ”、“あらすじ”、“トリック”という関連ワードがでてくるので、すごく気を使いました。
古典的、かつ人気作品だから致し方ないのかもしれませんが。
読んだ作品とそのあらすじ
すべて早川書房・ハヤカワ文庫で買いました。
オリエント急行の殺人 Murder on the Orient Express
そして誰もいなくなった And Then There Were None
アクロイド殺し The Murder of Roger Ackroyd
ABC殺人事件 The A B C Murders
調べたところ、この4作品が大抵並列して代表作として紹介されていました。
自身の状況としては、
・オリエント急行の殺人→本の名前も内容も知っている。
・そして誰もいなくなった→本の名前だけ知っている。内容は知らない。
・アクロイド殺し→全く知らない。初耳。
・ABC殺人事件→全く知らない。初耳。
という状況です。
読んだ順番は、上記の並び順です。
だいたい文庫で400ページほど。隙間時間をぬって読んでいたらだいたい3−4日で1冊のペースでした。
また、文章も読みやすく、ストーリのテンポもよくて引き込まれるので、すいすい読めてしまいました。
いい趣味ですね、読書って。
感想 ※ここから先ネタバレあり注意!
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◼️オリエント急行の殺人
ネタバレ:12人乗客全員が共犯で犯人
僕は映画もゲームも本も、ストーリー重視の楽しみ方をするので、基本的にネタバレが大嫌いな人間です。
前述の三谷幸喜さんのドラマであらすじ、トリック、全員が犯人という内容を知っている状態です。
そんな完全ネタバレの状態でミステリーを読むのは初めてでした。
いわば答え合わせというか、確認のような状態だったのですが、それでも面白かったです。
犯人たちがお互いがお互いを庇い合っているものの、偶然や小さなミスの積み重ねから徐々に綻びが生じていくことのハラハラ感。
そして、最後にポアロが犯人達に与える選択。
そこに至るまでの胡散臭さ、理屈っぽさなどの面倒臭い感じのポアロのキャラの流れがあってからの、強烈な人間味だと思いました。
この4作品では一番好きですね。
◼️そして誰もいなくなった
ネタバレ:人を裁く立場だった人間が、定年後に殺人をしたくなる。自作自演で孤島にターゲットを呼び寄せて&閉じ込めて自身も参加者の形で計画スタート。途中で犯人は自身の死を偽装し、表舞台から消えて犯行を継続。すべて終えた後に自殺。
はじめ、「ポアロはいつ出るんだろう」、と思って読んでいましたが、これは出ないやつでした。笑
こちらも自分なりに犯人が誰なのか、トリックはどんなものかを想像しながら読むもまったくわからず、最後の種明かしで「おまえか!!」と歓喜と悔恨を覚えました。
種明かししてから振り返れば「明らかにここ怪しいわ」「なんで気づかなかった」というのがわかるだけあって一層歯痒い思い。
作中で触れられていた、“燻製ニシン”にまんまとはまってしまっていた自分。こんな言葉、読まなかったら絶対に知らなかったでしょうね。
あと、タイトルを回収するのって形式美ですね。
これはぜひ映像で見てみたいな。どう表現されているのでしょう。何かしらあるでしょうから、調べてみます。
◼️アクロイド殺し
ネタバレ:ポアロの相棒役を担うキャラが犯人。文章はその相棒役(=犯人)が記録した手記、という体裁をとっているが、犯行部分が都合よくぼかされているなど、リアルの読者に対しても騙しが入ったものになっている。
ポアロへの、オフィシャル変人扱い・いじりがひどい。
こちらの作品を検索すると、必ず、このトリックは是か非かという「フェア・アンフェア論争」がでてくるんですよね。
いったいどんなトリックなのか?と思って読み、いざそのトリックを知ってみたときに、なるほどな、と感じました。現代では叙述トリックはもはや、いわば「あるある」になっていますしね。個人的には結構好きなんですよ。叙述トリック。
好きな人と嫌いな人と分かれそうですね。「いやぁこれは一本取られたな!」な人と、「いやいや、作中内の世界の中でやりとりしてほしいわけで、現実の我々まで干渉するのはなしでしょ」な人と。
まぁ僕はもれなく一本取られて楽しく読んでいたのですが。
◼️ABC殺人事件
ネタバレ:犯人が本当に実施したかった殺人は1件だけ。しかし、それをカモフラージュするために、狂人による連続殺人というシナリオや、その嘘の犯人候補までをすべて準備、演出していた。
木の葉を隠すなら森に隠せ、の理屈で、「殺人事件1件なら目立ってしまうが、連続して起こせば一連の事件がまとまりになるため、それぞれの事件は着目されにくい」という発想。割と狂気なことしているけど動機は結局「お金」て…。どんだけ遺産ほしかったんだ、と。
偽犯人役に仕立てられた人間がてんかんで時々記憶がない、暗示にかかりやすい、とか、そのへんはちょっと無理がありませんかね。ドジっ子ですか。
ポアロが事件の説明をするときの言葉で、印象的だった言葉があります。
「バランスの取れた、理性的な精神のなかには、直感などというものはありません。(中略)しばしば直感と呼ばれているものには、じっさいは論理的な推論もしくは経験にもとづいた印象なのです。」
まさにそう!すごく共感しました。
ただのテキトー、ではないのですよ。実は頭がフル回転していて、タイムラグもとても少なく、多角的な判断が直感なのですよ。これも経験的にしっくりきました。
ポアロのキャラがぐっと好きになりました。はじめに抽象的な話をして、それから具体的に落とし込んでいく言い方はちょっと似ているような気もします。
最後に
これまで活字では触れていなかったミステリー、推理もの。
まぁジャンルとしては元々好きで、それこそ漫画ではコナンや金田一などは散々読んでますが、これを機にちょこちょこ読んでみようかしら、と世界が広がりました。
こんなもの↓もあるようですし、本屋さんにいく時に意識してみてみましょうか。
ではでは。
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