"BE"がマジでMusic for Healingである件

私がBTSにハマったきっかけは前々回のnoteに書いたが,決定的に「あ,いよいよ彼らなしで生きていけないのでは...」と思ったきっかけは「Life Goes On」を聞いてからだった。

という話を書き忘れたから,近々「Life Goes On」と「BE」について書きたいなあと思っていたところ,ちょうど先日Weverse Magazineで「BTSが心の治癒を伝える」という記事が出たので,寝不足上等で書いてみることにする。

Life Goes Onを聞いて立ちあがれなくなった

2020年11月,私はコロナから来るストレスと仕事の繁忙期によって疲弊していた。2か月ぐらいほとんど休めてなくて,でもあと少し頑張れば落ち着くかも...!というタイミングで,Dynamiteを聞きながらなんとか自分を保っていた。

しばらくして,11月20日にニューアルバムが出るという情報を得た。ていうかその情報を得たのは11月20日,その日だった。えー!ニューアルバム出るの?言ってよー!!!(超言ってた。ずっと言ってたし何なら作成プロセスも公開してた)

というわけで,退勤のバスのなかで聞いてみることにした。Apple Musicは歌詞が出るから便利だな~~~といって軽い気持ちで1曲目のLife Goes Onを歌詞を追いながら聞いてみたところ,

そのあまりの目線の優しさに心を溶かされて,足に力が入らなくて,座席から立てなくなってしまった。

4月から新天地で就職して,コロナで家族にも友達にも会えず,しかも就職先がブラックで,でもこの環境から脱出するためには今頑張らなきゃいけない...という状況のなかで,恐らくずっと気を張っていたのだと思う。そんな緊張の糸がLife Goes Onという曲によって切れて,もう立ち上がれなくなるのではないかと思った。

これは危険だと思った。この繁忙期が終わるまでは緊張を解けないから,これ以上聞いたらダメなのではないか...

ということでしばらくはDynamiteと,あとはもともと好きで修羅場期に士気を高めるために聞いてたLDHの曲を聞いて「テンション高めでいきましょう!」「Badな周期もポジティブに乗り切っていきたいっていうか...」(※SHOKICHI語録)とか言いつつ,なんとか繁忙期を乗り切った。

改めて,Life Goes Onの優しさを感じる

繁忙期が終わり,改めてアルバム「BE」に向き合ってみた。まずはLife Goes Onから。

まずグッと来たのは,ナムさんの

나 겨우 사람인가 봐(俺も結局,人だったみたいだ)

世界的スーパースターになってからの彼らしか知らないので,この言葉は新鮮だった。そうか,確かに彼らも人なのだ。しかも,私たちと同じくこの状況に無力感を感じている。

その後のテヒョンのパート

끝이 보이지 않아 출구가 있긴 할까 발이 떼지질 않아(終わりが見えない 出口はあるのだろうか 足を踏み出せない)

でも,やっぱり彼らも先が見えない不安の中にいるんだ,みんな同じなんだという親近感。

そしてサビ

Like an echo in the forest 하루가 돌아오겠지 아무 일도 없단 듯이 Yeah, life goes on(森のこだまのように 一日が戻ってくるよ 何事もなかったかのように 人生は続く)

もう泣くしかない。この絶妙な,楽観的とも悲観的ともいえないバランス。希望を持つのにも絶望するのにも疲れてしまっていたこの時期の心情にぴったり寄り添ってくれる。決して押し付けず,ただそこにいてくれる感じ。なんて優しいんだろう。

日常が戻ってくるのが何年後なのか,そもそも同じような日常は本当に戻ってくるのか,誰にも分からない。年数回は韓国やタイに遊びに行くことを生きがいにしていた私にとって,移動ができない状況がいつまで続くのか分からないというのは正直言って生きている意味を見出せないほど息苦しいことだった。それでも遠くない将来にまたあの日常が戻ってくると信じたかったし,そうでないと本当に生きていけないと思っていた。

それでも,こんな優しい歌を歌ってくれる人がいるなら,この人たちの歌を聞けるなら,この閉塞感の中でももう少し生きていてもいいのかもしれないと思うようになった。大げさでなく,BTSは私に生きる理由を与えてくれたんだと思ってる。

まさかこの歳になってアイドルに生きる希望を見出すとは。アイドルがファンに向けて言う愛の言葉はビジネスだから割り引いて聞かなきゃいけないんだと思ってたけど(偏見),いや,多分バンタンのARMYへの思いはガチだ...と感じずにはいられなかったし,世界的スーパースターなのにこんなに繊細で優しい目線を持っていることにも感動した。

我らがバンタンの所属事務所Big Hit Entertainmentのキャッチコピーは"Music & Artist for Healing"である。MVを見るたびに毎度おなじみのアレだけど,本当にその通りだなと思う。素敵なコピーだよね。

コロナ禍だからこそ生まれた"BE"

私が新規ARMYとして常々思うのが,コロナ禍でなければ(おそらく)ARMYになっていなかったということ。

コロナ禍でツアーがキャンセルになって,DynamiteとLife Goes On,そしてBEというアルバムが生まれたわけで,これらの曲は彼らの壮大な計画の中にはなかったものだ。そして私はそれを聞いてARMYの端くれとなった。

初めてちゃんと聞いたのがBEだったから気がつかなかったけど,このアルバムはこれまでのBTSのアルバムとはちょっと違うらしい。壮大なコンセプトや社会批判はなく,いつでもどこでも気軽に聞けるアルバムになっている。それはナムさんがEsquireのインタビューで語っている通り。

今度のアルバムには、社会問題を訴えるような内容の曲は入っていません。今、世界のすべての人々がつらい日々を経験しているので。なので、あまりアグレッシブな曲は、この時期にはふさわしくないという考えになりました

もちろんLove YourselfシリーズもMAP OF SOULシリーズも大好きだけど(あと彼らの社会を見る目の的確さをとても尊敬している),恐らく最初に聞いたのがDynamiteとBEだから,そして心身ともに弱っていた時期だから,私は彼らのことが好きになったんだと思う。コロナ禍で本当に本当につらい思いをしたけれど,それがBTSを好きになるきっかけになったという皮肉。このことは自分の中でも整理がついていない問題なので,また別の機会に書けたらいいなあ。

バンタンのメンバーもツアーがキャンセルされてファンに会えずつらい日々の中で,「今できる最善のこと」としてこのアルバムを作ったのだと思う。私がアルバムを聞きながら癒されたように,作業をしながら彼らが少しでも癒されていたらいいなと心から思うし,遠くない将来に彼らがARMYと再会できる日がくると良いなと思う。そこに私はいられないかもしれないけど,とにかく7人が幸せであればそれでいいや。

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