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鍼灸治療で思った東洋医療の教育について【後編】

この記事は、前回の続きになります。

お時間があれば前回の記事をご覧になってから、今回の後編を見ていただければ幸いです😊

後編では、東洋医療の養成校とニーズについて触れていきたいと思います。

では、早速いきましょう!

▢東洋医療の養成学校

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医道の日本社WEBサイトを参考に東洋医療従事者(はり師・きゅう師、柔道整復師、あんまマッサージ師すべて含む)の養成校を調べてみました。

(▼2021年6月5日現在)
専門学校:107校(83.6%)
短期大学:1校(0.8%)
大学:20校(15.6%)

養成校のほどんどは専門学校のようで、大学はというと1割程度です。

続けて、養成校の職種別割合についても調べてみました。

(▼2021年6月5日現在)
1位:柔道整復師(49.3%)
2位:はり師+きゅう師(39.3%)
3位:あん摩マッサージ指圧師+はり師+きゅう師+柔道整復師(10.0%)
4位:あん摩マッサージ指圧師(1.5%)

柔道整復師の養成が多い理由として、スポーツ科学との融合といった形が多いように感じます。

参考までに職種ごとに、大学のみですが抜粋してみました。

(▼2021年6月5日現在)
①はり師・きゅう師の養成校
帝京平成大学(池袋キャンパス)/東京
東京有明医療大学/東京
常葉大学/静岡
常葉大学(浜松キャンパス/静岡
鈴鹿医療科学大学/三重
明治国際医療大学/京都
関西医療大学/大阪
森ノ宮医療大学/大阪
宝塚医療大学/兵庫
九州看護福祉大学/熊本
九州保健福祉大学/宮崎
(▼2021年6月5日現在)
②柔道整復師の養成校
帝京大学/栃木
帝京平成大学(千葉キャンパス)/千葉
了德寺大学/千葉
帝京平成大学(池袋キャンパス)/東京
帝京科学大学(千住キャンパス/東京
東京有明医療大学/東京
日本体育大学(横浜・健志台キャンパス/神奈川
帝京科学大学(東京西キャンパス/山梨
常葉大学/静岡
常葉大学(浜松キャンパス/静岡
明治国際医療大学/京都
関西医療大学/大阪
宝塚医療大学/兵庫
IPU・環太平洋大学/岡山
東亜大学/山口
(▼2021年6月5日現在)
③はり師・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の養成校
筑波技術大学(春日キャンパス)/茨城
※視覚障がい者の方の専攻

こうみてみると、東洋医療従事者の養成を行っている大学は、北陸・東北から上に存在しないようです。

また、あん摩マッサージ指圧師のみの養成校は大学では存在せず、専門学校でもほぼ存在しませんでした。

よって、複数の資格を掛け合わせて取ることが教育的にマスト、といった感じがします🤔

それに、東洋医療の養成校が存在しない県は、11県(青森、秋田、山形、富山、福井、奈良、和歌山、鳥取、島根、徳島、高知)もありました。

ここまで、東洋医療の施術所数や養成校数をみてきました。

一方で、巷では鍼灸師は飽和状態で需要と供給のバランスが合っていないとも言われているそうです。

続いて、市場的なニーズも見ていきたいと思います。

▢東洋治療のニーズと課題

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ここでは、鍼灸治療についてのニーズについて触れていきたいと思います。

明治国際医療大学 矢野先生が行った「国民の鍼灸療法の年間受療率調査」によると、2014年の受療率は何と4.9%のようです。

つまり、鍼灸治療においては、需要と供給のバランスが合っておらず完全に供給過多の状態が考えられます。

また、新規顧客以外にもリピーターも根付かない状況が慢性的に続いていることも深刻な問題なようです。

その背景の一つに、鍼灸院で治療を受けていた人が低価格帯で受けられる治療が多いとされる接骨院へ流れていること等があるようです。

そのため、鍼灸院は生き残りを掛け「柔道整復師」の資格も併せて保有することで「鍼灸+接骨院」としての施術サービスを提供しているようです。

ここで、柔道整復師を養成する機関が多いということが繋がってきました🤔

そういったニーズの高さもあって、教育機関では『ダブルスクール制度』を設ける学校も多いようです。

(▼事例校:日本医学柔整鍼灸専門学校HP)

一方で、筑波技術大学の藤井先生は、このダブルスクール型教育が鍼灸治療の受療率の低さを招いているのではと指摘しています。

つまり、ダブルスクール制度を利用した場合、資格取得のため座学中心のカリキュラム体制となり臨床実習時間が不足した結果、技術面が十分に醸成されない可能性があると述べています。

(>>筑波技術大学,藤井亮輔,2016,鍼灸業態の実情分析-鍼灸教育の規制緩和策からの考察-)

とはいえ、現場の技術面に関しては、実際に満足度を測っているわけではないので何とも言えませんが、『施術を受けた人の 35%が1回で受療をやめている』という調査結果もあるようです。

つまり、3人に1人の割合で2回目を受療するかどうか、といった現状のようです。

▢まとめ

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ここまで東洋医療に関する市場のほか、教育も交えながら述べてきました。

市場原理によるニーズの高まりによって、複数資格取得のカリキュラム制度など、教育機関もそれに引っ張られている現状を読み取ることが出来ました。

書いてて思ったことは、私もそうでしたけど、まずは病院に通院し、その過程で患部に改善がない場合に、知人から接骨院や鍼灸院を勧められ行くパターンが多いと思います。

それに東洋医療というと、『ピップエレキバン』でのツボ押しや、『せんねん灸』といったセルフメディケーションのイメージもありました。

ですが、その意識が今回の治療で180度変わりました。

アメリカでは、鍼灸師は治療の一環として、大学院などで養成するほどプロフェッショナル化がより進んでいる傾向にあるようです。

一方、日本の場合はというと、東洋医療は治療というよりもマッサージやリラクゼーションといった文脈で語られることも多く、どちらかというと競合はマッサージ店などのようです。

今後、世界になぞらえ西洋医療と東洋医療の融合も進んでいく事も考えられる一方で、東洋医療の専門学校が専門職大学になるような動きはまだないようです。

それは、市場の需要と供給のバランスによるものもあるかもしれません。

ただ、日本の医療費は2019年度には43兆6000億円となり、3年連続で過去最高を更新し続けていることから、医療政策は医療費を抑えるための『予防』に重点をおいています。

以下の書籍では、東洋医療とは直接関係ないですが、近年の医療政策についてマンガを交え分かりやすく説明しているのでオススメの一冊です🙂

最後に、東洋医療の根底には、そもそも病気にならないよう自己免疫力を付け、健康を維持しようという『予防医学』の考え方があるようです。

つまり、東洋医療は治療と予防の選択の一つとして考えることが出来るなぁと感じました。

自身の健康を管理していく上で、今後も継続して鍼灸治療を受けてみたいと思っています😊

最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。
Twitterもやっています。@tsubuman8

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