自分のDJにおける技術のポジションを考える

■はじめに

この手の記事は毎度そうなのですが、あくまで現時点の私の中での考えを覚え書きとして記しているに過ぎません。
なのでひたすら読みにくいと思います。
そして、この考えは自分自身にしか適用しておらず、他者についてこうあるべきみたいな押し付けをする気はございません。
その点をご理解頂いたうえで、以降の内容を読んで頂ければ幸いです。

■技術って何だよ

技術の話をする前に、まず技術とはなんぞやという前提の部分を揃えておきましょう。

この話に出てくる技術というのは、繋ぎ方とかエフェクトとかEQとかスクラッチとかパッドやらCUEやらなんやかんやといった、おおよそ「技術」と聞いて思いつく要素を大体含むものです。

何故そんな大雑把なのかというと、この話においては技術の中身ではなく、自分のDJの中での技術の位置付けや向き合い方についてが大事であって、技術の中身について定義を細かくする必要はないと考えているからです。

■技術は目的ではなく手段

自分がDJする時の目的・目標は、大雑把に言うと「良いグルーヴを作りナイスパーティを作ること」と考えていますが、この字面の中に「技術」の二文字は見当たりません。
何故なら技術は手段であり、最終的な目的にならないと考えているからです。

「良いグルーヴを作る」ためのアプローチとして「綺麗な繋ぎ」をする、それを実現するために繋ぎの技術を向上させる

と言った感じです。

DJがより良いグルーヴを作るために、より良いパーティを作るために、今そこでそうしたい、という選択を叶えられるようにする為に、あるいはより容易に叶えるために、技術が存在する。

私はそう考えています。

逆に、「これをやりたい!」というものが明確なのに、それが技術不足で不可能な時が一番悔しいです。ひたすらにひたすらに悔しい。
そして大体そういう瞬間は、いい感じにプレイ出来ていて「よっしゃ次は……!」とテンションが高まっているタイミングのひらめきに対して発生するので、悔しさに倍率ドン!となってしまいます。

だから、練習する必要があったんですね。

■選択と技術の関係性の例

一例として、「トワイライト/ELO」から「Sakura/NIRGILIS」へ繋ぎたい、と考えた場合に自分が何を考えてどういう選択を取ったかを書きます。

この繋ぎを考えたのは、トワイライトが使われている「DAICON IV」のオープニングムービーと、Sakuraが使われているエウレカセブンの双方に空中サーフィンのシーンがあるからなのですが、
「文脈としてはいいけど両方のメロディが白玉多めで被りがち、特にSakuraのイントロはコーラス付きのアメイジング・グレイスなのではっきり聴かせたい」
というのが自分の見解となりました。
原曲同士を1番のサビ終わりにそのまま繋ぐだけという使い方は選択肢から外れます。

では、アメイジング・グレイスの入りの部分で繋ぐのにちょうど良いのはどこかしらと探してみると、2番終わりのCメロ直前「デデデデーーン……」となるところが良いかなと思ったので,そこで繋ぐことを選択しました。
繋ぎ方は、私の主に使う環境がPC+MIDIコンで、CUE飛ばしする技術は足りていると考えたので、HOTCUEを打って1番終わりから4小節後に飛ばすことを選択しました。

これがHOTCUEのない環境であれば、2枚づかいをする技術が必要になるかもしれません。
その場合、私はHOTCUEのない環境で2枚使いで確実に飛ばせるほどの技術は持っていないので、飛ばした展開をあらかじめEDITとして作ることを選択するかもしれません。
しかしその場合は、飛ばさずに曲をそのまま流し続ける場合の使い方ができないので曲が一曲増えてしまいます。
原曲とEDITのどちらを読み込んだかでできることが変わるということを認識する必要があるでしょう。

次に、DAICONのムービーでは元々トワイライトだけでなく、アルバム「Time」におけるその前曲「プロローグ」からそのまま繋がる形で使われていました。これはアルバムを取り込む際に1トラック目と2トラック目を結合して取り込むようにすれば良いだけなので、そうすることを選択しました。
別に2曲を分けてロードし、繋ぎ目のところで綺麗にトワイライトを再生開始する、というやり方もあるにはありますが、音が一瞬でも途切れたらストレスになりますし、トワイライトを再生開始する部分はオケが盛り上がってる時ということもありDJも両手を上げたりしたいタイミングですから、たとえ綺麗に繋げる技術があったとしても、そこで一手間入れる選択を取る気はありませんでした。

次はSakura側をどうするかです。
トワイライトの終わり方を工夫したので、別にSakuraは原曲をアメイジング・グレイスの出だしのところから入れる感じでも良いのですが、その前に何か欲しくなりました。
トワイライトのサビ終わりからCUEを飛ばすまでに4小節の空白地帯が存在します。そこで次の曲に期待を持たせる要素を持たせたいと思いました。
なので4小節のうち2、3小節目にアクティブループを仕込み、トワイライトのサビ終わりの瞬間にSakuraのサビを重ねる手段を取ろうとしました。
しかし今度は、Sakuraのサビの音が分厚いのが問題になりました。トワイライトのシンセの音がそれなりに太いので、できればSakuraのサビの声以外の音は少ない方が望ましかったのです。
ここで私のレコボが6以降であればボーカル以外をミュートして…ということもできたのですが、パートミュートの切り替えに使うボタンを増やすのは今使っているMIDIコンの構成バランスを崩してしまうことと、そもそもサブスクがあまり好きでないのでレコボ5を使い続けている私には選べない選択肢でした。
というわけでエウレカHi-Evoのサントラに入っていた「Sakura(RAM RIDER REMIX)」からブレイクのオケがほぼ無くてボーカルだけがある部分を拝借しようと考えました。
しかしこれをリミックスと原曲をそのまま使う場合、2トラックであればトワイライトの「デデデデーン」の2小節程度の間に、「リミックスを再生停止→原曲をロード→原曲のHOTCUEを呼ぶ」という流れを完璧に決めなければなりません。
特に楽曲ロードが間に合わなかったら台無しです。
3トラック使う手もあるにはありますが、そもそも私には3デッキ以上を操る技術と経験があまりに少ないですし、手持ちのMIDIコンではデッキの入れ替えスイッチをミスする可能性やフェーダーの下げ忘れの可能性も出てきます。
よってEDITを事前に作ってしまいました。
勝手知ったるStudio Oneくんを使ってREMIXの使いたい部分を原曲の頭に合体!
かくして出来上がったEDITをトワイライトのサビ終わりに重ねることで一件落着となりました。

以上が、自分の持つ技術と照らし合わせて選択を行なった具体的な事例となります。
これが結局どういう内容になったのかは、とあるMIXを聴いて頂ければ明らかになります。

■最後に

結局、自分がやりたいことをどう叶えるかで必要な技術も知識も経験も変わってくると思いますので、その時その時の自分と向き合って選択をしていくのが良いと思っています。
そしてその選択肢が物足りないのであれば、選択肢を広げるために技術を上げる、というステップを踏めば良いと思っています。
良い選択とそれによって生まれる良いパーティを増やしていけますように。

この記事は以上です。お疲れ様でした。

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