だいふくが大阪でゲーム音楽をDIGる時のセオリー・基本編
■はじめに
こんにちは、だいふくです。
この記事は、例によって例の如く、「だいふくはこういう考え方で、こういう選択肢を認識していて、こうやってDIGっている」というのをメモ書きしているに過ぎません。
なので、これを読んだ人が真似しても良いし真似しなくても良いです。
■この記事が役に立ちそうな人
この記事が役に立ちそうな人は、下記に当てはまる人です。
ゲーム音楽DJをやっている、あるいは新しく始めようと思っている人
石油王ではない人
手間がかかっても仕方ないと思える人
■この記事が役に立たなそうな人
この記事が役に立たなそうな人は、下記に当てはまる人です。
該当する場合、ここから先の内容を読む必要はありません。
石油王
大富豪
■ゲーム音楽DJを始めるのは難しい
私はオールジャンルDJを名乗っておりますが、一応メインとしてはゲーム音楽畑の出身です。
ゲーム音楽をフィーチャーしたパーティの主催や所属もございます。
その上で敢えて言いますが、ゲーム音楽DJを新しく始めるのは難しいと思っています。
ざっくり挙げるだけでも、
総じてCDの流通量そのものが少ない、よって値下がりしづらい以前の問題で、中古市場に出回らないものが多い(記録的な売り上げといわれたDDR2ndのサントラですら50万枚オーバーなのである)
CDが出回っていても高い(有名どころは特に高くなりがちである。また、値付けのわかってない店舗が、とりあえずゲーム音楽だからみたいなノリで中古相場からかけ離れた高値をつけるケースも散見される)
配信されていても辿り着けない(iTunesやレコチョクで配信されていないものについては、どこで配信されているかの情報から手に入れなければならない)
といった事情から、
まず音源を揃えることのハードルが高くなりがちであります。
それと同時に、そもそもの話として、
初心者の方がイメージしている「ここまで揃えておく必要があるのではないか」というラインナップについて
「本当にそこまで音源を揃える必要があるか?」
と考え直せる余地があるように見えるケースも多く見られます。
なので、今回の記事では
心理的ハードルを下げる
具体的なDIG手段の種類と、その特徴を理解する
DIG手段の優先度を考える
それぞれのDIG手段の詳細を解説する
この4段階に分けて話を進め、
無料公開の基本編では上の3つを説明します。
「それぞれのDIG手段の詳細を解説する」は具体的すぎる内容になるでしょうから、「応用編」にて有料公開予定とさせてください。
■心理的ハードルを下げる:「ゲーム音楽の超有名楽曲って、DJ目線だと使いづらい曲が多くないですか?」
何らかのジャンルでDJを始めるにあたって、気になる事としてありがちなのは「やっぱり有名な曲ってある程度持っておいた方がいいですよね……?」だと私は個人的に思っているのですが、
ゲーム音楽というジャンルは、他ジャンルに比べて有名作品の楽曲は入手難度が高いものが多い
傾向にあるのではないでしょうか?
例えばスーパーマリオ64とか、
星のカービィ夢の泉の物語とか、
スーパードンキーコングシリーズとか、
いわゆるオールタイムアンセムなサウンドトラックは10万円を優に超えるものが多く、
あの辺りを原盤で揃えてDJしようものなら、
マジック・ザ・ギャザリングのレガシーデッキのように「札束がセットリスト」とでも言えるような状況になりかねません。
しかし、安心してください。
これからゲーム音楽DJを始めようとする人に、「まず新車を買えるぐらいの貯金を崩すところから始めようか」みたいな事は起きません。
シーンの新規参入者を増やしたいと思ってこのような記事を書いているのは、
そんな形でしか参入出来ないなんて事は決してなく、
もっと気軽に音源集めは出来る・DJする為のレパートリーは揃えられるのだと知って欲しいからです。
まずそもそもの話として、
ゲーム音楽DJにおいて超有名楽曲、
特にレトロゲーム音源のままである「原曲」は、DJとして使う時の難易度が高いのです。
JPOPやアニソンでも年代によって、
楽器の音色や録音時の音質、
ミックスやマスタリング技術の差があり、
年代を跨いだミックスをする際には、そこを考えた音量調整やイコライジングをしないと、
音がなじまず違和感のある繋ぎになってしまう……
ということが多いと思いますが、
ゲーム音楽ではそれがゲーム機の音源チップの差として、世代の差がよりハッキリと出てくる事になります。
そのため、せっかく高いお金を出して名作のサントラを手に入れても、
その曲をかけるのに適したタイミングを用意するのが大変だったり、
無理やりかけたらグルーヴが吹き飛んでしまった、なんてことも起きかねません。
初心者であれば尚更です。
そんな、せっかく苦労して手に入れた音源で悔しい思いをする、といった経験はだいたい周りも含めて誰も幸せにならないので、意識を変えて未然に防いでしまいましょう。
原曲より安いことが多い、後発のリミックスやアレンジを有効活用しましょう。
例えばレースゲーム曲中心のセットで、
「スーパーマリオカート64の曲を使いたい」
となった時に、前後をグランツーリスモやアウトモデリスタなどのジャズフュージョン系の曲で固めれば、
マリオカート8のサウンドトラックに収録されたアレンジ版の方が馴染みやすいと思いますし、
ヨッシーストーリーのエンディング曲を使いたい場合も、
パーカッションの効いているスマブラForの特選サウンドトラックに収録されたアレンジ版の方が、パタポン等と繋ぐのに使いやすいと個人的に思っています。
もちろん原曲がかかった方がテンションが上がる、という方は多いと思いますが、
初心者DJとしては「ちゃんとDJとしてのプレイをする事」「現場に立つ事」を優先して考える事を私はお勧めしたいですし、
経験を積みながら少しずつ憧れの音源を手に入れていく、というライフスタイルはとても素敵だと思います。
高価なサウンドトラックに頼らなくても良いという気分になりましたか?
では次へ進みましょう。
■具体的なDIG手段の種類と、その特徴
私が普段やっているDIGの種類と、その簡単な特徴を列挙します。
より具体的な話は後述しますので、まずは「こんな手段があるんだな」と認識してもらえれば十分です。
ネットDIG
Xに投稿報告をしているトラックメーカーさんの投稿作品をダウンロードしたり、bandcampからダウンロードしたりします。
メリット:
自宅でDIGれる。
基本的に無料配布が多い。
デメリット:
基本的に一期一会なので、探せば必ず何か見つかるみたいな話ではない。
また、プロアマ混在のため制作環境がピンキリで、聴いてみるまで使える・欲しいものかどうかは分からない。配信DIG
iTunes、レコチョクなどの配信サイトで配信されている楽曲をダウンロード購入します。
最近は大手ゲーム会社のタイトルは結構な数が配信されているので、
これだけでも十分なラインナップが揃うでしょう。
メリット:
豊富なラインナップが常に用意されている。
自宅でDIGれる。
デジタル配信にあたってリマスタリングが施されているものもあり、音質にはそれなりに期待できる。
デメリット:
1曲あたりの単価が割高である。
ファイルのフォーマットが配信サイトによって異なり、フォーマットによってはCDJが対応していない可能性がある。
サイトによって配信されている・されていないがバラバラだったりする。
iTunes、レコチョク、Amazon mp3以外のサイトは結構マイナーなものが多く、知っておく必要がある。CD新品DIG
名前の通り、新作CDを買うDIGです。
近年は「定価が最安値」と言われるようなケースも多く、
また初回生産以降の再販がほぼないサウンドトラックも多いため、
新品を買うのが最短最安ルートであることはザラにあります。
新作ゆえに購入はしやすいため、新作が出るという情報を得られるかどうかが鍵となります。
特にゲーム音楽の場合、新作CDは商業流通(CD屋さんで買える)ではなく同人頒布のみ、
あるいは同人ショップ流通のみのものもありますので、
欲しい作品が後者である場合はうまく情報を仕入れましょう。
メリット:
通販もあるケースが多いので、自宅からDIGりやすい。
新品を買うから状態がいい。
新作なので音質がいいものが多い。
新作なので話題性があるものも多い。
デメリット:
新品価格なのでそれなりにお値段は張る。
売り切れ後に発売の情報を知るなどして、入手のチャンスを逃すと次が遠かったりするし、何より悔しい。CD中古DIG
我々のライフワークです(大袈裟だなぁ)。
中古CDショップにて購入します。
あるいは、メルカリやラクマで購入します。
定価より安く手に入ることもあれば、定価より高いプレミア価格を支払って手に入れることもあります。
メリット:
一期一会の緊張感。
面白い音源が安く手に入るのは楽しい。
何が眠っているか分からないウキウキ感が半端ない。
デメリット:
必ずしもそこに欲しいものがあるとは限らない。
過去にあったものが残っているとは限らない。
欲しいものが買える値段であるとも限らない。
ハマるとDIGジャンキーになり、生活がおかしくなる。CDレンタルDIG(定額)
ゲオの定額宅配レンタルと、TSUTAYA DISCASの定額宅配レンタルの、
どちらか片方、あるいは両方を使ってDIGります。
配信されていない、中古でもそれなりのお値段するような盤が普通に見つかります。
メリット:
配信されていない作品もレンタルできる。
借りてすぐ返すほど単価が安くなる。
デメリット:
欲しい作品がレンタル出来るまでかなり時間がかかることがある。
盤面の状態が悪いことがある。
借りて返すまでの時間が長いと月額料金的に割高になりがち。CDレンタルDIG(図書館)
大阪市立図書館ではCDのレンタルが可能な図書館があります。
無料でレンタルでき、TSUTAYA等では見つからないようなマイナー盤まで眠っている事もあります。
メリット:
無料。
宅配レンタルですら見つからないレア盤が普通に借りられたりする。
デメリット:
盤面の状態が悪い可能性が非常に高い。
図書館の閉館時間がそこそこ早い。ヤフオクDIG
最後の手段です。
どうしても欲しい場合のみ手を出しましょう。
メリット:手に入る。
デメリット:落札できるか不確実である。本物かどうか不確実である。状態が良いが不確実である。金がかかる。
■DIG手段の優先度を考える
さて、上記6+1(ヤフオク)種類のDIG手段を列挙したところで、
この中でどんなDIGから手を出すか、
どんなDIGを並行して行えるか、を考えます。
私の場合は、「恒常的にするDIG」と「ターゲットとする出演日のためのDIG」に分けます。
そして、出演日を見て、それに近い時とそうでない時で行動パターンがさらに分かれます。
⭐︎だいふくの場合
恒常的にするDIG
これは出演するしない関係なく常にしているDIGです。
直前に買ってろくに聴き込めなかった付け焼き刃は、
付け焼き刃なりの使い方しかできない、
ということは自分自身のこれまでの経験で分かっているので、
日頃のDIGと取り込みを繰り返して鍛えられたライブラリほど心強い味方はないと考えています。
・週1回、時間を作って図書館DIG(無料)
同時に最大5枚まで借りられる。
・週1-2回、TSUTAYA定額レンタル(月額約2200円)
一度に2枚送られてくる。
届いた当日にインポートしてそのままポストに返せばギリ週2回(合計4枚)ペースで借りられる。
・月1回、給料日の中古CD DIG(予算10000円)
日本橋駿河屋ワゴン、日本橋まんだらけ、梅田駿河屋ワゴンを巡回する。
この時、ワゴンだけでなく普通の商品棚もチェックしておく事。
・月1回、新品CD DIG(中古DIGの余りを毎月ストックして、そこから出すので実質無料)
足りないけど欲しい!という場合は反省しながら買う。
そういう時に買わない場合ほぼ確実に後悔するので、新品で欲しいなら買わない選択肢はない。
・Steamのセール時、Steamで欲しいサウンドトラックがセールをしていたら購入する。
Steam配信のサウンドトラックは予想以上に色々揃っている。
CAVEシューなど、一時期中古CDの価格が高騰していたものも安価で手に入るのでおすすめです。
・何か面白そうなREMIXとかが上がってたのを見つけたら随時ダウンロードする
ここをお目当てにしない。
あくまで偶然の産物でおまけだと意識する。
基本的に、これを繰り返していれば、
・無料の図書館DIG→4週間でCDが最大20枚
・TSUTAYA定額レンタルDIG→4週間でCDが8-16枚
・中古DIG→約50-90枚。駿河屋ワゴンが5枚以上購入で50%引きしているタイミングならCDが最大180枚近く
というわけで月額13000円弱で100枚以上のCDが増えます。
そこにあるかないか分からないREMIX系DIGがプラスアルファで乗ります。
3ヶ月あればそれなりのDJはできるライブラリが揃うのではないでしょうか。イベント狙いの場合:4日前まで
そのイベントで使いたい、必要な曲が判明していて、
それをこれまでのDIGで手にしていない場合、ここで揃えます。
重要なのは、買った後に聴き込む時間を作る事です。
聴き込むための2日と、MIXに使うイメトレのための1日を残しておきます。
・定額レンタルDIGでイベント向け音源が狙えそうならそちらを割り込みで借りる
・図書館レンタルも同様
・中古CDの商品棚に「そういえば……」と思い当たるものがあれば、まだ在庫があったら買いに行く。
その分はワゴン予算から差し引く
・新品CDで使うものがあるなら買っておく。イベント狙いの場合:4日前〜当日
基本的にこの時点で揃っていない音源を使う選択肢は避けます。
以下はそれでもどうしても使いたい曲が突然閃いてしまったの話です。
前提として、
「中古CDのDIG」「定額レンタルDIG」「図書館レンタルDIG」の3つの手段を封印する。
このタイミングで重要なのは「確実に手に入る」ということなので、
不確定性のある入手方法はそもそも視野に入れない、
選択肢として存在しないようにする。
・新品CDが必要なら在庫を確認し、在庫がある実店舗にて購入する。
・配信されている音源であれば、ダウンロード購入する。
もちろん、どんなDIGを優先するかは、すでに持っている音源のレパートリーや経済的環境、
部屋にCDを置ける空きスペースがどれだけあるか……
などで変わってくると思いますので、
これが万能の正解だとは思いません。
だいふくはこうやっている、
という参考資料として見て頂けたらと思います。
■基本編はここまで
基本編はここまでです。
ここまででもDIGの方針を考える上では参考になりやすいのではないかと思います。
地獄編では、それぞれのDIG手段についてより具体的に「で、実際どうすんのさ?」という部分を掘り下げます。
例えば、
図書館を利用し尽くすコツ
高額音源とされているけど実はこっちからなら安く買えるんだなぁという話
ゲーム専門の音源配信販売サイトがあるんですよね
DIGる前にググれる奴が勝つ
売ってる場所によっては非売品が一番安くなる
などといった話が出来たらと思います。
この記事を読んだ人のDIGライフが少し豊かになったらいいなと思います。
あと、大阪でゲーム音楽をプレイするDJやゲーム音楽イベントが少しでも増えたらいいなと願っています。
長文お疲れ様でした。
応用編でまた会いましょう。