いつもatelier daidye(d)をご愛顧いただきありがとうごいます。 手記につきましても、読んでいただいている皆さま。重ねて御礼申し上げます。 まともな商品紹介なんてもう暫く書いておりませんし、自己満足なのか自己批評なのか分からないエッセイばかり書いているにも関わらず、面白がってくれるディープな皆さま。あなた方のおかげで私の精神衛生は保たれています。 感謝を綴り出すとキリがないので主題に移ります。 先日、Mr.Ash AW 1stの製作が全行程終了しました。 本番
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「愛してるよゲームしましょうよ!」 「嫌だ」 「なんでですか!楽しいからやりましょうよ」 「やらないよ。一人でやればいい。最近のゲームは一人でも十分たのし」 「一人で出来ないゲームだから誘ってるんです!愛してるよって言われて照れたら負けのゲームです。試しにあそこにいるコウキさんにやってみるんで見ててください!」 「コウキはああ見えて硬派だから照れないだろ…」 「あの…コウキさん…愛してます」 「いっ、岩井…」 「はい、照れた!コウキさんの負けです!じゃあ次は先
夕日刺さる部屋。 二人揃ってシーツから滑り抜けた。 ユナは何も言わず下着、ジーンズ、Tシャツの順に着て、テーブルの上に置いていた飲みかけの缶ビールを一気に飲み干した。 「どうして昨日のビールって不味いんだろうね」 「冷えてないからだろ」 「じゃあ、冷えたビールでも飲みに行きますか。早く着替えて」 僕は急かされながら下着、ジーンズ、Tシャツの順に着替えた。 町中華のテーブルの中央には、二人を隔てるように餃子とエビのチリソースと酢豚が並び、真白な霜が薄く張った生ビール
「なに、話って?」 「ごめん。急に呼び出して。」 「いいよ全然。ってか、ここどこだよ。」 「ドラッグちゃんの住んでるマンションの前。ほらあそこ、3階の端。電気ついてる部屋。」 「は?ドラッグちゃん?」 「前に言ったことあるだろ。好きな人が出来たって。その子。」 「あぁ言ってたな。で、ドラッグちゃんってなに?」 「あだ名だよ、あだ名。」 「そのくらい分かるわ。なにそのあだ名?ってこと。」 「ほら、おれの家の近所にドラッグストアあるじゃん。あそこで働いてるからド
少しだけ暖かさを含んだ、だけどまだ冷たい風がカーテンを揺らし、オレンジの陽射しが並べられた机に反射している。 放課後の校庭から聞こえる野球部の声が、二人きりの教室に僅かに届く。 「現実もゲームの世界みたいだったらいいのにね。」 「どうして?」 「次のクラス替えでもし私と田中くんが別々のクラスになったらさ、コンティニューして同じクラスになるまで何回でもやり直せるのに。」 「吉田さん…」 「なんちゃって。気にしないで。ほら、帰ろっか。」 鞄を肩にかけ、ドアの方に向かっ
胸の高鳴りには素直に従いたい。 だけどそれは大人になるにつれ難しくなる。 後のことを考えてみたり、楽な方を選んでみたり、慣れや計算が絡んでは、その高鳴りを深く鎮めるのだ。 「台所でスパゲッティをゆでているときに、電話がかかってきた」 ねじまき鳥クロニクルの始まりの一文を読んだ時はページを捲る手が止まらなかった。 初めてバスケットボールを持った時は辺りが真っ暗になるまでリングにボールを放った。 全部の瞬間で胸が音を立てて高鳴った。それはとても大きな音だったけど、今は同じこと
お年寄りに、若い時の自分に何かを伝えられるなら何を伝えますか? と質問すると、誰に聞いても大抵似たような答えが返ってくるらしい。 僕は何故か分からないが何処に住んでも近所のお爺ちゃんお婆ちゃんに異様に気に入られるという特殊能力を持っている。 ビックリするくらい早朝から開催されている近所の井戸端会議で同じ質問をしてもやはり似たような答えが返ってきた。 幾つか納得させられる答えがあったが、一番いいなと思ったのは「もっとリスクをとれ」だ。 要は後悔しないように大胆にいけ、もし
「今回のターゲットは橙広告だ。内容次第では多少色もつけよう。U、頼んだぞ。」 「えぇ、分かったわ、ボス。私、失敗しないので。」 ———・・・ 大手広告代理店。 テレビCM、広告、近年ではウェブCMなど企業(クライアント)の広告活動を請け負う会社だ。 大手企業の広告活動を請け負う、それ即ちメディアを牛耳ると同意義である。 スポンサーが無ければテレビは作れない。 ウェブCMが無ければYouTubeは成り立たない。 そこでは信じられないほどの金が動く。 昭和から現代まで日
鷲は生涯を一羽の相手と添い遂げる。 相手への貞節や愛の象徴として語られることもあり、一夫一婦主義を貫く珍しい生き物である。 街から随分と離れた高台に暮らす、とても貧しいが仲睦まじい若い夫婦がいた。 同じ誕生日の二人は、毎年欠かすことなくプレゼントを送り合っている。 今年もその日が近づいていた。 「なぁネリー、もっと安くしてくれよ。」 「これ以上は無理よ。いくらソニアへのプレゼントだからってダメなものはダメ。」 「ソニアがいつも穿いてるスカートがあるだろ?かなり気
美大は半年も経たずに中退した。 「絵ってさ、教えてもらうものじゃないでしょ。わたしは好きなように描く。」 格好つけた台詞を吐いたが、要は周りの才能から逃げただけだ。 物心ついた時から絵は得意だった。 学校や町のコンクールで賞を貰ったことは何度もあったし、美術協会主催のイラスト展では著名な画家に表彰されたこともある。 全て高校生までの話だ。 高校一年の冬から徐々に色使いの感覚が鈍くなった。 はじめは思い過ごしかと思っていたが、次第に賞も取れなくなり、三年生になったころ
「きりーつ、れーい、ちゃくせきー。」 はい、国語の授業をはじめます。 今日は小説の書き出しについてですね。 小説の書き出しは作者が最も伝えたい、もしくは書きたいことが凝縮されていることが多いです。 "天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず" みんな知っていますか? 1872年に出版された福沢諭吉の学問のすゝめの書き出しです。 人間は生まれながらに平等で、上下の差別はない。と言った意味です。 では次の言葉。 "恥の多い生涯を送って来ました。 自分には、人間の生活と
「こんなのはじめて。」 この台詞を女性に言ってもらう為に男という生物は存在している。 半年前に何とか予約がとれたフレンチをご馳走したり、 誕生日にとっておきのサプライズとプレゼントを渡したり、はたまたベッドの上で。 この台詞は雄として他より秀でていると同意義で、ヒエラルキーの上位に立つことを意味するのです。 この台詞を引き出す為に男達は働き、学び、今も眉間に皺を寄せながら凄まじい速度で脳を回転させています。 ここで僕が聞いた瞬間に思わず両の親指を立ててしまった素晴らしい
結局、今週はずっと雨だった。 太陽と一度も顔を合わすことなく過ごした月曜日から金曜日は、特に嫌なことがあった訳ではないけれど、私の心の針を少しだけ暗い方へ振った。 テレビのニュースに目をやると、女性アナウンサーが機械のように正しい口調で明日も雨だと伝えている。 「なかなか会えませんねぇ、太陽さん…」 テレビと部屋の灯りを消し、ベッドに飛び込む。 枕に顔をうずめた時、心の針がまた一つ暗い方へ振れた音がした。 翌朝目を覚ますと、雲一つない青空、とまでは言えないけれど十分
新年度のフレッシュな気持ちは何日も続かず、満開だった桜は散り始めた。 だけど行楽シーズンはまだまだこれから。 外出しづらい昨今だったけど、今年はたくさん外に出るんだ。 足取りも軽くなるご機嫌な季節にそっと寄り添う。 そんなスプリングジャケットがunrodinから登場です。 今っぽく着られるボリューム感がGOOD!たっぷりと生地を使った、包まれるようなボリュームのあるシルエットが今っぽい。 ドレープ感のある軽い生地が春風に揺られて、グッと季節感を演出してくれそう。 ショ
♪タラタラタータラタラター ♪タラタラタータラタッタッタッ 「こんばんは、モリタです。」 「こんばんは、白壁テレビアナウンサー、井上です。 では早速今夜の歌ステ!最初の曲を披露していただきましょう!白壁坂96で"夏風邪ローライズ"」 ♪ 「白壁坂96のみなさん、ありがとうございました!」 「後ろの方は顔も見えなかったねぇ。」 「みなさん可愛かったですね。続いてのゲストは、ぞうみょんさんです。」 「よろしくお願いします。モリタさん、お久しぶりです。」 「久しぶり